ニュートンのりんご、アインシュタインの神 -科学神話の虚実-

  • 青土社
2.85
  • (0)
  • (5)
  • (3)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 91
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791768493

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 文系の人間だから、『科学』は全くうとい。理系と違う世界に生きているつもりだったが、『科学』の恩恵があってこその今の生活が送れているのだから、もう少し『科学』に目を向けるべきだと思い読んでみた。
    ニュートンはリンゴが落ちるのを見て重力の存在に気がついたというエピソードはあまりにも有名だが、実際ははっきりとはしない。ロンドンで流行っていた腺ペストを避けてニュートンは田舎に滞在していた時期がありそこでのニュートンの思索が後の重力の発見につながったのだ。その田舎には果樹園があり、リンゴの木があった。重力という偉大な発見はより神々しいものでなければという期待に応える形で物語=神話が生まれる。ニュートンは果樹園のそばで思索に耽った→ニュートンはリンゴが落ちるのを見て重力を発見した→ニュートンはリンゴの木陰で休んでいた時にリンゴが足元に落ちて重力を発見した→ニュートンはリンゴの木陰で休んでいる時に頭にリンゴが落ちてきてその衝撃で重力を発見したと、話はより面白く進化していったのだ。
    それぞれの章に分かれてテーマが違うが、底辺ではつながりがある。最後の14章の優生学と平等の神話では、ナチスがホロコーストにその神話を利用した経緯が描かれている。あのアイシュタインも優生学を信じていた。

  • ガリレオは、本当にピサの斜塔からものを落としたのか?
    ニュートンは落ちるリンゴによって重力の法則を発想したのか?
    何世紀にもわたって脚色され伝播した、科学や科学者にまつわる「常識」「通説」の信憑性を一から疑って調べなおすと、これまで私たちが科学的偉業の裏づけとして、あるいは美談や栄光のドラマとして印象づけられていた伝説や逸話、そして通説までが、どうやらフィクションだったのではと知らされる。(出版社HPより抜粋)

    ◆◇工学分館の所蔵はこちら→
    https://opac.library.tohoku.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=TT22008747

  • 証拠に基づいて科学史の神話を次々に解体していく良本。冒頭でアイザックソンによるアインシュタインの伝記を引き合いに。だいぶ実証的な本だと思ったけど,マルティネス氏には不満だったらしい。
    /1月の読書メモ(アインシュタイン) - Polyhedronの非多面体日記 http://t.co/EA7qwksj
    曰く,"偉大な作家でも科学史を描く際に神話の調子で味付けしていることを言いたいのだ"
    "意識的にせよ、そうでないにせよ、本を売ろうとして作家たちは話を膨らませるのである"p.8
    第一章はガリレオとピサの斜塔。
    彼が生まれるずっと前の1544年に,フィレンツェの歴史学者による落体実験に言及した記載が現れている。
    "哲学者は疑いもせず、物体は重いほど速く落下することを信じ、そう断言していた。だがこれは、証拠が示すように、真実ではない"p.19
    ピサの斜塔からの落体実験に初めて触れた文献史料は,数学者ヴィンチェンツォ・レニエリが盲目のガリレオに宛てた1641年の手紙。
    鉛の玉は木の玉より三クビト先行して落ちるのを観察したとしている。
    これ真に受けてしまってたけど,アインシュタインがノーベル賞の賞金をミレーヴァに与えたというのは"まったく事実に反する"らしい。
    "彼はそのお金で投資し、マリチと息子がそこから利益を得られるようにした"p.271
    人類の品種改良,優生学
    1917年にアインシュタインもこんなこと書いてる
    "「生殖能力のある年月を越えて生きられないものを生かし続ければ文明化された人類社会をむしばむ…未来を衛生的にするために、医者が手加減せず」断種するという「取り締まりを行うのが急務になるだろう」"p.317
    さらに,鬱と統合失調症に苦しみ,精神病院に収容された二男に宛てたアインシュタインの手紙がこれ。1928年2月23日付。
    "人類を退化させることは確かに悪いことだ。考えられる限りもっとも悪いことの一つだ"
    "お前のような存在を生み出した我を許したまえ"p.324
    こういうの読むと,もし仮に世界史にナチスのあの暴挙がなかったとしたら,優生学はいったいどういう風に終焉を迎えたんだろう?と思ってしまう。
    それとも,あるいは…。

    科学神話と風評デマ,罠にはまる層や方向性は反対だけど,構造は似ていることを痛感する読書でした。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:402||M
    資料ID:51500168

  • 2015年4月に実施した学生選書企画で学生の皆さんによって選ばれ購入した本です。
    通常の配架場所: 開架図書(3階)
    請求記号: 402//Ma53

    【選書理由・おすすめコメント】
    目次をみたところ、内容はどれも面白そうなものばかり。図や白黒の写真なども載っているため、興味も深まりとても良いと思う。外国の本を日本人が訳した読み物なので、また少し違う価値観が得られるかもしれない
    (数学科、2年)

  • 請求記号 402/Ma 53

全7件中 1 - 7件を表示

野村尚子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×