大読書日記

著者 :
  • 青土社
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本棚登録 : 174
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (664ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791768653

感想・レビュー・書評

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  • 文化史研究家で作家の鹿島茂さんが、週刊誌に連載していた「読書日記」15年分をまとめたもの。面白い人が読む本は面白い法則に違わず、好みや仕事の分野の違いはあるが、面白い本がたくさん。20冊以上購入することになりそう。この本の良いところは鹿島さんの感想が書かれていて、簡単な本の紹介文となり、内容により興味を持てること。また、その時々の出来事(政治、国際、社会)と絡んだ感想もあり、自分が過ごしたその時を振り返ることができること。本の帯にあった「読書に限らず大切なものほど事後性が高い。事後性の克服は人生の一大事と言って良い。ではどうすべきか。それは読書しかない。本は事後において書かれている。読書によって人は事後的にしか知ることのできないことを知ることができる。四の五の言わずにまずは読め。」これは完全に納得。 

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  • 他人の本棚を覗くのは、ことほど左様に面白い。
    という、読書好きには堪らぬ事実を思い出させる一冊。

    大部で何日もかかるかなと思ったけれど、面白くて
    面白くて3日で読んでしまった。

    フランス文学・文化史の大家であられるから
    ご専門の分野のご本もたくさん紹介されているけれど
    扱っている分野はとても広汎で、文学・時事・美術・
    芸術・自然科学・サブカル・なんでもござれである。

    これは言わば個人の読書日記の体をなしているから
    乱読であっていいのだ。
    私やあなたが読まない本も紹介されているし、逆に、

    「これ読んだわ。」

    というものも取り上げられている。

    何かを覚えておこうなんて考えないでいい。

    読んだ本のレビューが、そのままその本が扱う
    内容に対する一つの軽妙な論文であるのだから。

    今の私達の生活の中で、
    その内容がどんな意味を持つのか。

    今、私達の文明・文化の中で、
    何が起きているのか。

    ということを、本を通して実に様々な角度から
    親しく語りかけてくれる。

    だから、何かを覚えておこうなんて事より、
    巻末のブックリストをコピーし、
    あなたが読みたくなった本にどんどん印をつけて
    それを持って書店でも図書館でも、お目当ての本に
    出会いに行って、どんどん読むことだ。

    そして読んだあと、鹿島さんのお考えに頷くところは
    我が意を得たりと笑って頷き、違うと感じた部分は

    「私としてはこう思う」

    というのを走り書きでもいいから残しておかれては?
    印をつけた本と、そのメモから、今度はあなたの
    知らなかった「あなた」が立ち現われて
    来ると思う。

    どうしてその一冊に惹かれたのか。
    読んであなたは何を感じたのか。

    それは、何故か。

    それらを自覚する事に、読書の醍醐味が
    あるのではないか。

    『ああ、今私はこんなことにエッジ立ってるんだ。」

    と知る。それを社会や時代の中で捉え直す。
    親しい人と共有する…。どれも楽しい。

    とかく読書好きだと、自分の好みに沿った本ばかり
    読んでしまうが、時には優れたブック・レビューから
    刺激を受けてみるのもいい。

    読書はそのままその人を表す。

    思えば、だからブクログに投稿することも楽しく
    内容を読むのも楽しいのだ。

    この内容を鹿島さんがご覧になったら
    どうおっしゃるだろう。

    埒もない想像だけど、きっと

    「面白いから読んでご覧なさい。さぁ。」

    っておっしゃる気がしてならない。

    今度から文中に登場する神田の古書店街を歩くのさえ
    同好の士見つけたり、という気分で胸が弾みそうだ。

  • ようやく読み終わりました。書評を読むのが好きなので読み始めたのはいいのですが、見た目も内容も分厚いことこの上なく。
    おかげで図書館の期限をおそらくオーバーしています。

    内容は著者の専門もあり、フランス関係の伝記等を中心に非常に幅広い本が紹介されていました。また古本収集を趣味とされているため、蔵書の悩み等もなかなか共感できるところでした。まあスケールが全然違いますけど。

    構成としては2015年までの15年間の読書日記をまとめた、という感じでしょうか。その時々の時代背景も映し出していて、自分はその頃何をしていただろうかと振り返りながら読めました。

    あと個人的には表紙めくるとあるイラストが、本に溺れている著者を描き出したようで結構好きです(笑)

  • 2015/9/6

  • 商標で仕事筋肉の弛緩を防ぐほかない。書評は物書きにとっての筋トレ、ないしはジョギングに相当する。

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著者プロフィール

1949(昭和24)年、横浜に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。2008年より明治大学国際日本学部教授。20年、退任。専門は、19世紀フランスの社会生活と文学。1991年『馬車が買いたい!』でサントリー学芸賞、96年『子供より古書が大事と思いたい』で講談社エッセイ賞、99年『愛書狂』でゲスナー賞、2000年『職業別パリ風俗』で読売文学賞、04年『成功する読書日記』で毎日書評賞を受賞。膨大な古書コレクションを有し、東京都港区に書斎スタジオ「NOEMA images STUDIO」を開設。書評アーカイブWEBサイト「All REVIEWS」を主宰。22年、神保町に共同書店「PASSAGE」を開店した。

「2022年 『神田神保町書肆街考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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