娘に語る人種差別

制作 : 松葉祥一 
  • 青土社
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本棚登録 : 20
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791769759

感想・レビュー・書評

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  • 非常にわかりやすく「人種差別とは何か」が書いてあるので、ネット中心に蔓延る(何かにつけ朝鮮と中国が悪いと決めつける)レイシストの皆様におかれましては、こういう本を読んでみたらいいのに、と思わずにはいられません。
    百田尚樹の本もわかりやすいでしょうが、こちらも十分わかりやすいですよ。10歳向けに書かれていますから、十分読解可能だと思います。

    「(猫は)別の猫や動物がエサを盗ったり子猫を攻撃しようとしたとき、(中略)全身で抵抗し、身内を守る。人間も同じだ。人間は、自分の家や土地、財産をもつことを好み、それを守るために戦う。これは正常なことだ。人種主義者の場合は、どんな人であれ外国人なら、自分の財産を奪いに来ると考えるんだ。その際、よく考えもせずに、ほとんど本能的に外国人を疑うんだ。動物は攻撃されたときにしか戦わない。でも人間は、ときとして自分から何一つ奪おうとしていないのに外国人を攻撃する。」(P23-24)
    「人種差別主義者は、一人のアラブ人に泥棒に入られると、すべてのアラブ人が泥棒だと結論づける。」(P61)

    「人種差別主義者はユーモアのセンスをもっていない。彼らの機嫌について言えば、たいていの場合不機嫌だ。彼らが笑うことができるのは、自分自身には欠点がないかのように他人の欠点を指摘して、意地悪く笑うことだけだ。」(P62-63)

    「じゃあ、まとめていうと、人種差別は、第一に恐怖、第二に無知、第三に愚かさから生まれるのね。」「その通りだ。でも、知識を持っていて、人種差別を正当化するためにそれを使う人がいることも知っておかないといけない。知性は、誤った主張のために使われることもある。」(P64)

    「政府が、自国に属していない土地に行って住み着き、それを力で維持しようと勝手に決めるんだけど、それはこの土地の住民を軽視しているからだし、彼らの文化には何の価値もないと考えているからだ。」「その国は少し開発される。何本かの道路、何軒かの病院と学校が建設される。利益のためだけに来たのではないことを示すためのこともあるが、つねにそれを利用してもっと儲けるためだ。」(P86-87)

    「子どもは、まったく自然にほかの子どもたちと遊ぶ。この肌の色の違う子が、自分より優れているか劣っているかなんてことは問題にしない。(中略)逆に、両親が肌の色の違う子どもに気をつけるように言えば、違った行動をとるだろう。」(P95)
    「弱い人たちや病人、老人、子どもたち、身障者、こうした人たちはみな劣っているの?」「臆病な人の目には、そう映る。」「人種差別主義者たちは、自分たちが臆病だということを知っているの?」「いや、臆病さを認めるのにも勇気がいるからね…。」(P102)

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プロフィール

Tahar Ben Jelloun(タハール・ベン・ジェルーン)
1944年モロッコ,フェズに生まれる.詩人,小説家.1973年小説第一作Harroudaを刊行.1987年La Nuit sacrée(『聖なる夜』)でゴンクール賞.2008年よりAcadémie Goncourtの会員としてゴンクール賞の選考にも携わっている.
主な作品に,『気狂いモハ、賢人モハ』澤田直訳,現代企画室,『不在者の祈り』文学の冒険,石川清子訳,国書刊行会,『歓迎されない人々─フランスのアラブ人』高橋治男・相磯佳正訳,晶文社,『砂の子ども』,『聖なる夜』いずれも菊地有子訳,紀伊國屋書),『娘に語る人種差別』松葉祥一訳,青土社,『火によって』岡真理訳,以文社ほか.

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