世界からバナナがなくなるまえに: 食糧危機に立ち向かう科学者たち

  • 青土社
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レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791770052

感想・レビュー・書評

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  • 図書館本。面白かった!
    主にバナナ、ジャガイモ、カカオ、キャッサバ、小麦、トウモロコシ、ゴムノキ、種子について。天敵解放。クローン植物の脆弱性について知ることができた。

    色々と衝撃だらけだった。ふだんお世話になっている食物がこんな危機にさらされながら栽培されているなんて全く知らなかった。農作物が常に危機にさらされているということは、それに頼っている私たちの生活はいつ崩れてしまってもおかしくないバランスの上で成り立っている。食の豊かさを求めているけど、メインの農作物は画一化された品種ばかりで、病原体、害虫から逃れるために単純な方法しかとっていないということに驚いてしまった。で、人類は何度も同じ過ちを繰り返している。
    病原体・害虫の進化との追いかけっこに、追いつかれた時に未曾有の食糧危機が人類を襲うだろう。

    14~16章は難しかったけど、8章、9章のニコライ・ヴァヴィロフの種子コレクションの話と、それをドイツから守った研究員の話がとても深く心に残った。(あとルイセンコの章も)
    12章の「赤の女王との果てないレース」は、特に刺激的でした。

    マヤ・ルンデの『蜜蜂』を読む前に、この本を読んでよかったと思った。自分は無知なんだと思い知らされた。

  • 借りたもの。
    世界中で単一の食物を生産することで起こる危機――植物、ひいては環境の多様性の消失と、単一故にある特定の病原に脆弱で壊滅してしまうこと――に警鐘を鳴らす。

    今、商業目的で栽培されている農作物の品種以外には、疫病に強いものもある。にもかかわらず、そういったものが何故か栽培されずにいる。
    現在の農作物の品種は、味の問題だけではなく「単に上手く持ち込めたから」という、偶然(それも必然だったのか?)からもたらされたものも多い。

    多様性が失われると、品種改良で味も良く疫病に強い作物をつくることもできなくなってしまう可能性は、想像に難くない。

    自然の猛威が原因で全滅する可能性だけでなく、人為的な農業テロの可能性、その実例の紹介があり、衝撃的だった。一部のリベラル派が小作人への富の再分配を求め、大地主のカカオプランテーションに打撃を与えることが目的だったようだが、それによって農業政策が立ち行かなくなり、何十万人という失業者を生む。結局、別の農作物にシフトしてしまうという結果に。

    後半には、多様性を後世に残すための保護活動にも言及しているが、それは指揮者による研究、保存の視点からがベースで、はたしてどこまで人間の生活に密着し、活かすことはできるだろうか…?
    文章はサスペンスっぽくて面白かった。

    これら危機について解決策ではないが、そのための布石のようなものが提示されるに留まる。
    人間の都合で失ったもののツケは、人間自身に還ってくる。

  • 今、自分たちが口にしている作物の裏側、歴史、研究について。当たり前だけど、作物は栽培される環境・天候・害虫に、影響を受ける。当たり前のことなのに、読んでみて「そーだよね」と思う不思議さ。改めて農業酪農に関わる人・その研究に携わる人に、尊敬の念を抱きました。

  • 近代現代の農業が抱える問題点や今後の技術的な展望を、人間ドラマを通じてグイグイ読ませてくれる。ニコラス·ヴァヴィロフの人生との彼の種子コレクションを命懸けで守り抜いた人達の物語は特に胸に刺さった。あと毛沢東の雀狩り…中国は良くも悪くもつくづくスケールが大きいなと…。

  • 冒頭から真ん中あたりまでが、歴史大スペクタクルものとして面白かった。
    ピサロが活躍した大航海時代に、どのようにしてジャガイモがインカ帝国から持ち帰られたのかについては、当時の航海の状況が仔細に描かれていて、どれほどの奇跡だったのかがうかがい知れた。
    ブラジルチョコレートテロは、本来ならカカオ農園を支援するはずのCEPLACの数名のメンバーによって起こされたということにも衝撃を受けた。また、一度発生してしまった病原体は、コントロール不能になるのも、偏った品種に食料を依存していることを思うと恐怖を覚える。
    そして何より、第9章の第二次世界大戦中のレニングラードで種子コレクションをナチスドイツから守った研究員の人々の部分がもの凄く熱かった。この章の7ページは特に必見。

  • 【世界からバナナがなくなるまえに】
    うろ覚えだけどきっかけは、どこかのニュースで見た、ポテチ用のじゃがいもが同じ品種で作られてるから、何か弱点あると一気に全滅しちゃうリスクのお話。
    効率性の名の下に、世界中の作物の画一化が遺伝子レベルまで進んでいることの危険性を歴史からお勉強。例えば、かつてアイルランドは同じジャガイモに依存しすぎたために人口が半減。同じような飢餓は生じにくいかもしれないけど、一度何か起こると種が絶滅してしまう可能性はあるわけで。対策は細々と進んでいるものの、赤の女王仮説「同じ場所にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」ことを、人為的に加速してしまってる状況は変わらない。
    我々にできることは、限られたグローバルな作物に頼るのではなくて、ローカルなマイナーな作物に目を向けてみること。
    バナナなんて食べられないからなくなってしまえば良いとは思いますが、なんでこんな邦題になるかな。
    #読書 #食料 #青土社

  • 大量生産向けに品種改良されてきた野菜作物。

    その一方で多様性が徐々になくなってきた、
    今の農業に対する警鐘をならす一冊。

    僕たちが普段口にしている作物がどのように栽培されてきたのか、その起源に遡る。

    農業関係に携わるものとして読みたい一冊。久しぶりに読み応えのある本を読んだ気がした。

  •  安価な糖分、塩分、脂肪分、たんぱく質に対する基本的な欲求を、どんな形態であろうが季節に関係なく満たそうとすればするほど、それだけ農業は単純化され、しかも地球上に存在する限られた資源を奪うことの単純化された農業のせいで逼塞する生命の多様性に依存せざるを得なくなる。本書は、生命の多様性を守ることで、作物と私たち自身を救うために馳せ参じてきた科学者たちのストーリーを物語る。それは、私たちが解明しなければならない謎に関するストーリーでもある。太古の生命のルールは、この謎を解くのに必要な手がかりをそれほど多くは残してくれていない。(p.19)

     おそらく考え得る最悪の事態は、アイルランドのジャガイモ畑を襲った悪魔が、今日の私たちにも襲いかかってくることであろう。19世紀のアイルランド人同様、私たちの食事様式はごく単純なものと化し、少数の作物に依存するようになっている。かつてのアイルランドと同様、少数の作物への依存は、必要性とともに私たちの選択にも起因する。今日の私たちは、単位面積当たり、かつてより多くの作物を収穫しなければならない。だから、最大の収穫量が見込める作物にしばられる。(p.34)

     何を買い、何を食べるかを変えることでは曲から救われ、スヴァールバルの趣旨バンクを使わずに済ませられるという主張は、大げさに聞こえるかもしれない。人々が、年がら年中似たようなものを食べている世界でも一向に構わない、と言う向きもあることだろう。今のところ、食物はいやというほど手に入る。たとえばアメリカでは、売れ残った穀物を自分たちで消費すれば、より効率的かつサステナブルなあり方で地球の資源を利用できるというのに。(中略)アイルランドのジャガイモ飢饉が教えてくれるように、ある地域における作物の損失は世界全体に影響を及ぼす。そのことがもっともよくわかるのは、シリア危機においてだ。(p.277)

     現代農業のテロに対する脆弱性、ならびに農業テロによってひとたび被害が生じたときの損失の程度は、かつてよりはるかに高まっている。(p.390)

  • 植物が人間にとっていかに大事なものかがよく分かる。農業の単一化大企業による生産による功罪、それらがいろいろなケースで紹介され、また種子を守る人達の壮絶な人生も語られる。これからの農政に警告を出し、個人として何ができるかを提示する。読み物としても面白く、知らない事も多くとても勉強になった。種子は命である。

  • ジュンク堂で見て

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