- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791771004
作品紹介・あらすじ
数学を「社会的共通資本」にするために。
戦後を代表する経済学者、宇沢弘文の打ち立てた「社会的共通資本」とは、人間に不可欠の基盤的装置、市場取引や競争に委ねることが許されない資本の総称であった。数学もまた、社会的共通資本ではないか。宇沢理論を引き継いだ「小野理論」や「帰納的ゲーム理論」を紹介しながら、技術性に偏りすぎた数学の壁を乗り越える。宇沢弘文に親炙した著者による、数学と経済学のリハビリテーション。
感想・レビュー・書評
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宇沢弘文に対する追悼文のようなもので、かなり脱線気味。統計学が順序を無視しているなど、その基本的な考え方に改めて納得。
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タメになるとは思うのだが、ゲーム理論や統計学の基礎を間に挟めたのは、宇沢弘文に関連があるからと言えばそう解釈もできるが、敢えてこれを読みたかった訳ではなく、しかも極めて初歩的な内容で、何がしたかったのか分からずやや残念である。
もう少し発展的な宇沢弘文の考察、特に宇沢弘文が新古典派から制度学派に転じた理由、これに対し、決して転換したのではなく、渡米と帰国を経ながらも、学問は一貫した問題意識に通ずるとの著者の主張、宇沢弘文には生涯テーマとして資本と貧困があったと言うなら、これを深く掘り下げて欲しかった。 -
タイトルから想像する人がいるかもしれない”宇沢弘文の数学の業績”や”宇沢弘文の業績の数学的側面”とかいった内容ではなく、”宇沢弘文の業績”を理解するための助けになる数学的知識の紹介・エッセイが前半、後半は宇沢弘文の志を受け継いで発展させるために基礎になりそうな最新のゲーム理論などの知識の紹介となっている。差別の生まれる過程についてのゲーム理論からの知見など興味深い。タイトルでの印象のように硬くはなく、簡潔にまとまっており読みやすい。やっぱりタイトルとのミスマッチ感はあるかなぁ…著者の想いはわかるにしても。
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宇沢弘文先生の弟子を自称する小島博之氏の著書。
私は宇沢先生に興味を持って最近ずっと本を読んでおり、かつ、データアナリストとしてデータサイエンス(統計学)も日常使う立場なので、この本はかなりど真ん中のユーザだと思う。
著者も経済学者。
この方は宇沢先生に教えを受けて経済学者になったみたい。
私は宇沢先生が提唱されていた「社会的共通資本」に共鳴している。しかし、宇沢先生に教えを受けた経済学者でこの理論を語る人をほぼ見たことがない。ひょっとして、後継者は誰もいないのかな、実生活とかけ離れた理論だけを追い求める経済学者だらけなのだろうか・・と思っていた。
しかし、小島氏がいたわけだ。
内容はすごく面白かった。
宇沢先生の話は他の本の方が詳しいのであまり新しい情報はなかったけど、第4章の統計学、第5章のゲーム理論の話が本当にタメになった。
統計学は色々と腑に落ちないところが多い。
p値や統計量、最尤推定なども、とりあえずわかった気にはなれるけど、どうも最後のところで腹落ちしない。その辺の感覚が著者も同じだったので余計興味が持てたし面白いと感じた。まぁ、みなさん同じこと考えてるんだな・・ってことか。
最後の第6章で、宇沢先生の理論と今後の可能性を語っているが、2020年の現在だからこそ、「社会的共通資本」の示し方向性が有益だと私は思う。日本社会には正直全く期待していないが、今後社会実装する国が表れて、少しでもその理念を実現してほしいと願う。 -
東2法経図・6F開架 331.19A/Ko39u//K