口の立つやつが勝つってことでいいのか

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 青土社 (2024年2月14日発売)
3.66
  • (101)
  • (149)
  • (136)
  • (35)
  • (14)
本棚登録 : 4073
感想 : 211
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784791775996

作品紹介・あらすじ

思いをうまく言葉にできないほうが、当然なのだ。本当なのだ。
どうしても理路整然とは話せない知人、酔うと後悔ばかり話し出す友人、洗面台で流されかけている小虫、授業中に夫の死を語りつづける先生……。弱いものたちのなかにこそ、陰影のある物語は生まれてくる。『絶望名人カフカの人生論』で知られる文学紹介者による、初のエッセイ集。

【目次】

はじめに 「言葉にしないとわからない」×「うまく言葉にできない」

【言葉にできない思いがありますか?】
口の立つやつが勝つってことでいいのか!
思わず口走った言葉は、本心なのか?
理路整然と話せるほうがいいのか?
好きすぎると、好きな理由は説明できない
「無敵の心理学」がこわい......
自伝がいちばん難しい
短いこと、未完であること、断片であること

【世の中こんなものとあきらめられますか?】
能力のある人がちゃんと評価されれば、それでいいのか?
金、銀、銅、釘のお尻
「感謝がたりない」は、なぜこわいのか?
「かわいそう」は貴い
どんな事情があるかわからない
愛をちょっぴり少なめに、ありふれた親切をちょっぴり多めに

【思いがけないことは好きですか?】
牛乳瓶でキスの練習
行き止まりツアー
思い出すだけで勇気の出る人
「カラスが来るよ!」と誰かが叫んだ
違和感を抱いている人に聞け!

【別の道を選んだことがありますか?】
後悔はしないほうがいいのか
8回、性格が変わった
人の話を本気で聞いたことがありますか?
意表をつく女性たち
もう嫌だと投げ出す爽快
迷惑をかける勇気

【あなただけの生きにくさがありますか?】
つらいときに思い出せるシーンがありますか?
倒れたままでいること
暗い道は暗いまま歩くほうがいい
失うことができないものを失ってしまったとき、どうしたらいいのか?
大好きな先生はいましたか?
とろ火の不幸
「死んだほうがまし」な人生を、どう生きていくか?
目を病んだときの父のにおい

【現実がすべてですか?】
永遠に生きられるつもりで生きる
神の矛盾
幻影三題
土葬か火葬か星か
人の青春、虫の青春
死んだ人からの意見
電話ボックスとともに消えた人間の身体
もうひとりの自分
誰かの恩人ではないか

おわりに エッセイという対話

初出一覧

みんなの感想まとめ

言葉にできない思いや感情をテーマにしたエッセイ集は、思考を深めるきっかけを提供します。著者は、理路整然と話せない人々の中にこそ、豊かな物語が潜んでいることを描写し、読者に共感を呼び起こします。特に「言...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 世の中、言語化できることのほうが少ない。

    本心と違う言葉がうっかり出てくる現象は、自分にも思い当たる節があって楽しかった。
    「私、何言ってるだろ」って思うことがよくある。

    涙ものの小説読んでる時も、泣くほど感情があふれているようで、心の中は「私、何泣いてんだろ」って冷静な時もあるしなー。
    この面白い現象は、なんて言うんだろう。

    ちょっとだけいい人になれそうなエッセイだった。時々親切な人になってみよう。

  • 頭木弘樹さんは初読み。それがこの初エッセイとなった。
    タイトルに惹かれて手に取ってみたけど、まさか頭木さんが「口の立つやつ」側だったとは。
    私もどちらかというと理路整然と話せてしまう方なので、言いたいことはすごくわかる。
    口下手が故に損をして、なぜだか謝らされて…という人が実は信用できるいい人だったりということはよくあるので。
    どのテーマも読みやすかったけど、「言葉にできない思いがありますか?」の章が特に好きなものが多かった。
    他の著書も読んでみようと思う。

  • 20歳で大病を患った頭木弘樹さんによるエッセイ集。昨日読んだ内田樹さんの「勇気論」にも、これから読もうと積んである勅使川原真衣さんの「働くということ」にも通じることが書いてあって、その偶然に嬉しくなりました。

  • 題名から勝手にハウツー本だと思い込んでいました。
    言葉にまつわる人間の感情や生き方についてのエッセイ集です。
    奥が深いのに、肩の力を抜いて読める、不思議な文章です

  • 環境や事情は違えども、いろんな弱さを持っている人にどこまでも寄り添った言葉で溢れていて、自分もこんなふうに物事を多角的に見て他人を理解したいなと思えました。

    印象に残っているのは、SNSである飲食店が「注文した食べ物の写真だけ撮って、食べずに帰るのはやめてほしい」という旨の投稿をしたのを目にした頭木さんは、子どもが病気で大好きだったパンケーキを食べられなくなった。せめて写真だけでも撮ってきてほしいと頼まれてパンケーキを注文した。でも子供が病気で食べられないのに、自分が食べるのは申し訳なくてできなかった。そういう事情がある人もいるのではないかということまで考える。
    大半の人は「映え」だけ狙って食べ物を残す非常識な人間を思い浮かべると思うし、私もそうです。
    でもそういう、もしかしたらいるかもしれない人のことまで考えられれば今よりちょっと他人に優しくなれる気がする。

    あと、私は自然動物番組を見て捕食する側とされる側だったら捕食される側を可哀想と思って見ていたのですが、意外と捕食する側のことを獲物に逃げられて可哀想という時点で見る人がいることにも驚いた。
    視界を広げるヒントがたくさんある、とてもいいエッセイでした。

  • 『NHKラジオ深夜便 絶望名言』著者、頭木弘樹さんインタビュー。 「誰かの苦悩に救われる、という時もあります」 | アートとカルチャー | クロワッサン オンライン(2019年06月27日)
    https://croissant-online.jp/life/96905/

    頭木弘樹|音楽っていいなぁ、を毎日に。| Webマガジン「ONTOMO」
    https://ontomo-mag.com/people/hiroki-kashiragi/

    頭木弘樹|note
    https://note.com/kashiragi_box

    「絶望名人カフカ」頭木ブログ
    https://ameblo.jp/kafka-kashiragi/

    青土社 ||文学/小説/詩:口の立つやつが勝つってことでいいのか
    http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3896
    --------------------------
    (yamanedoさん)本の やまね洞から

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      <訪問>「口の立つやつが勝つってことでいいのか」を書いた 頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)さん:北海道新聞デジタル
      https://www.h...
      <訪問>「口の立つやつが勝つってことでいいのか」を書いた 頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)さん:北海道新聞デジタル
      https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1003192/
      2024/04/22
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      <著者は語る>言葉にできなくて当然 『口の立つやつが勝つってことでいいのか』 文学紹介者・頭木弘樹さん(59):東京新聞 TOKYO Web...
      <著者は語る>言葉にできなくて当然 『口の立つやつが勝つってことでいいのか』 文学紹介者・頭木弘樹さん(59):東京新聞 TOKYO Web
      https://www.tokyo-np.co.jp/article/325115?rct=shohyo
      2024/05/07
  • 哲学的?自分には全くない考えが述べられて、ハっと息を飲む。でも、共感してしまう。

    著者は、大学時代に難病を患い長い入院生活など不自由な生活をした。そこから得た発想の転換、天と地がひっくり返るような志向性、観察眼の鋭さに膝をうちながら感心した。

    人生に疲れた時、迷ってる時、自分の近くにおいて、眺める感じの短いエッセイ集で、心の救済所的本。

  • 評判通りの面白さで1日で一気読みした。1ページの字数が少ないのに付箋をつけて覚えておきたいところがたくさんあった。

    「思わず出てしまった言葉は意外と本心でない」というのは目から鱗。確かに勢いで言ったことは、妙に芝居がかって本心ではないことっていうのはあるなと思う。
    そこ見つけますか!と感心。

    ヴォガネットの「私が知る唯一のルールと言うのはだね。人に親切にしなさいってことだ」という言葉が紹介されているが、最近「親切」という言葉を聞く機会が多い。内田樹も親切について語っていたのを思い出した。
    「愛より軽い親切」。
    「親切」というのは、これからのキーワードだね。
    しかし、そんな親切に対して、必ずしも感謝は必要ではないという章もあり、そこもまた唸るほどの洞察力で読ませる。
    必ず「ありがとう」と言わねばならないホラーの映画のくだり。最もこの本の中で面白かったところだ。
    「ありがとう」言わなくてもいい宮古島。素敵だ!宮古島に行ってみたくなった。
    私の周りにもお礼を要求しないタイプの人がいる。淡々としているので何か物足りないような感じもするが、そういう人こそ確かに親切で誠実だ。

    「人は常に愛するものについて語り損なう」というロラン・バルトの言葉。しみじみします。本当に語りたいことというのはなかなか言葉にできないものであり、口ごもったり沈黙したりすることの中に真実があったりするものだ。理路整然の良さも否定しないが、語れないものにもやはり真実がある。確かに確かに。言葉にすることはすばらしいけれど、分節されてしまうので限定的になり矮小化されてしまうという側面もあるし。
    このもやもやのグレーゾーンもまた「ネガティブケイパビリティ」とも言えそう。
    「ネガティヴケイパビリティ」って現代の重要なキーワードですね。

    他にぜひ覚えておきたいなぁと思う事は、作者の中学生のときの友人の言葉「本気にしなきゃ面白くないだろう」中学生でこんな真理をつくとは!この子は今どんな人生を送っているのか。これから、使わせてもらおう(笑)

    山田太一を尊敬すると言うだけあって、山田太一の作品の引用が多いが、その引用がなかなか鋭く山田太一を読み直したいと思った。

  • ブクログのピックアップでタイトルに惹かれて目が止まり購入。なんと読書人生初のエッセイ!なぜだか今までエッセイを読もうと思わなかった。でも本作が目に止まったときに“エッセイって意外に気軽に読めるのかも”と思い、読むことにしました。頭木弘樹さんの作品も初めてでした。頭木さんの独特な言い回し、いや考え方が独特なのか、読んでいて頭を使うことが多かったです笑。全然気軽に読めてないかも笑。とにかく逆説的な考え方が多いこと、あまのじゃく?ひねくれ者?と思わされるほどに多いと感じました笑。たぶん私の頭の回転が遅いせいだと思いますが、二度読みしてしまうところが笑。。でも二度読みして、「あーなるほど!その考え方っていいやん!素敵やん!わかるわかる!」と感じられるところが多かったです。
    “おわりに”に書かれてましたが、たしかに「筆者と会話してる感じ」になりながら読んでました。

  • だいたいは、ある物事からその逆だったら、を考えてゆくようなエッセイに感じました。

    そうかなぁと完全に同感とはいかなかったりするものもあったが、多くは関心したり、そういうものの考えかたもできるのかと、日頃の身のまわりの常識に注意する感覚を磨かれた気がします。

    また、著者が読書家(本を書く方はほぼそうだと思いますが)だからか、本の引用も少なくない。その紹介のしかたも読んでみたくさせるので、名著と呼ばれていてまだ読んでないものも読んでみたいなと思った。カフカとか。

    本書は作者の意見に重点が置かれているけど、その反対もあるだろうと本の中で常に言っているので、全体的にフワッとした印象での読了でした。

    読んでいて楽しく視点を増やしてくれる1冊でした。

  • 「その水になじめない魚だけが、その水について考えつづけるのだ」
    書評で紹介されていたこの言葉にうたれた。タイトルもいい(読み出したら、予想とは違って、「口の立つやつ」とは著者自身のことだったが)。難病による困難を抱えるなかで書かれたエッセイ。なるほどと思うところがいろいろあった。

    ・差別に関わる物語によくあるのが、能力があるのに差別ゆえにその力を発揮できない人が、その状況を克服していくというパターン。差別は理不尽だ。しかし、能力のあるなしで社会的評価が決まるのは、それでいいのか。そこにためらいがほしいと著者は書く。「ためらい」という言葉がやさしい。ファンであるメッシについてふれながらこうも述べている。
    「能力は美しいし、人を惹きつける。それはたしかだ。しかし、綺麗事ではなく、実際に、人は人を能力だけで評価しているわけではない。それもまた、たしかだと思うのだ」

    ・「『感謝が足りない』は、なぜこわいのか?」と題された章には、我が意を得たりという思いだった。今の世の中、感謝感謝という言葉があふれている。それ自体は美しい言葉であり感情であるのは間違いないけど、どうにも気持ち悪くて仕方がない。他者を思いやり親切にするのが当たり前であったら、過剰な感謝はいらないだろう。特に子供に感謝させようというのは、はっきりおかしいと思う。二分の一成人式とやらで、親や周囲に感謝させる。「育ててくれてありがとう」とか。いやそれは当然の権利でしょう。ことあらためてありがたがらせようというのは、何を狙っているのか。

    ・「『かわいそう』は尊い」という章でも、モヤモヤと思っていたことが言葉にされていた。「かわいそう」という言い方が、高みから見下ろしている感じがするのは間違いないけど、だからといって、その感情自体を否定したくはないと思うのだ。
    「『障碍者はかわいそうではない』という認識は大切だし、社会を変えていかなければならないのはもちろんだ。しかし、まだ変わっていない社会にあって、同情してくれる人の存在はとても尊い。 『かわいそう』や同情をよくないこととしてしまっては、そういう人たちの気持ちも行動も萎縮してしまうのではないだろうか」

    ・著者には「絶望名人カフカの人生論」というヒット作がある。
    「カフカによって救われたというのは、病気でも平気になったとか、いわゆる『病気を受け入れる』ということができたわけでも、まして『病気になってよかった』と思えるようになったわけでもない。今でも、病気は受け入れられないし、こんな人生はいやだし、嘆き続けている。しかし、ともかくも、生きている。立ち直ってはいないが、倒れたままで生きている」
    この言葉には実にリアリティがあると思う。とても納得したし、うまく言えないが、救われたような気もした。誰の人生にも痛苦に満ちたことが起こりうる。それを受け入れよ乗り越えよというメッセージは多いが、自分はそんなに力強く生きていけるような気がしない。「倒れたまま」生きることならできそうだ。

    ・「あなたは本当はこう思っている」というよくある指摘を、著者は「無敵の心理学」と名付けていた。深層心理のことは本人にもわからないので、そう言われたら否定のしようがない。一種の暴力では?と常々思っていた。ほんと、無敵。

    ・「言葉とがめ」は無益だと述べているくだり。
    「『こういう言葉は使わないようにしましょう』と言われて、『気をつけなきゃ!』と思うような人は、そもそもひどいことは言っていない。ひどいことを言っている人は、どう注意されようと、それが自分のことだと思わないし、直すことはない」
    これは言葉の他にも当てはまることが結構ありそうだ。人権啓発とか交通安全のスローガンなどを見るたびに、誰に向かって言ってるんだろうと思う。

    ・覚えておこうと思った文二つ。
    「弱さとは、より敏感に世界を感じとることでもある」
    「どうか - 愛をちょっぴり少なめに、ありふれた親切をちょっぴり多めに」
        (ヴォネガット「スラップスティック」から)

  • タイトルがいいと思って手に取った。
    たしかに暴力や腕力で物事を決めようとするよりは言葉で、話し合いで解決を望むことは絶対的に正しい。だけど口が立つヤツの方が勝つ世界も、力で優劣をつけるのと同じくらい理不尽だと、小学生時代の喧嘩から気付いた著者がすごい。

    言葉でしか伝わらないことと言葉にできないことの問題は、生きる上誰しも直面しうる。ビジネスの世界でなら言語化や理路整然であることが求められるのが当然なのかもしれないが、何でもハキハキとわかりやすく話せる人はどこか胡散臭いというのは同感。言葉にすることは確かに大事だけど、言葉にできないこともあるのは確かで、迷い、口ごもり、うまく話せない人は話せる人より劣るわけではないし、そういう人も尊重してほしいという思いに力づけられる。
    言葉にできない世界があることをスープに喩えられているのがわかりやすく、またMさんという人の魅力が伝わってきてよかった。

    他にも感謝という見返りがなくても親切が当たり前な世界もあること、お互いに迷惑をかけて当たり前な世界も成り立つことが実際に著者が移り住んだ宮古島での体験から綴られる。
    また20歳で難病を患った著者が普通に生活できないことで、周りから「自分だったら死んだ方がまし」と言われる人生をそれでも生きる価値があると言う。これだけは失ったら生きていけないというものを失ったときに「死んだほうがまし」は安易に口に上るかもしれないが、前向きでもなく、大いに嘆きながらでも、その後の人生を生きる。その生きることに価値があると言える強さというか尊さというかは、それこそ言葉になかなかできないけど、いろいろ考えさせられた。

  • 親切や愛ってなんだろうなと考えたり、話がくどくない理由を自分なりに思いついたりして、刺激的でした。

    不自由なことや理不尽なことがありますが、互いに寛容でありたいなと思いました。


  • 本屋さんでタイトルに惹かれて少しだけ読んでみたのを皮切りに、どんどん読み進めてました。

    最近トーク力の本を何冊か読んでいたので、同じような内容かな?と思ってましたが、中身は身近なことを綴った溶け込みやすい内容です。

    なんとなく、あ~これ分かるなぁとか、そういう考え方もあるんだなぁとか、人に話したくなるような小さなことがたくさん詰まった素敵なエッセイでした。

  • 私も転勤族家庭で育ったので、転校するたび性格が変わるエピソードは相好を崩しながら読んだ。
    前の学校でのキャラを分析し、メリットデメリットを天秤にかけて次の学校でのキャラを生み出すのだ。中学生あたりでしっくりくるキャラを見つけ出し、以降はそのキャラのまま生きている。
    思ってもないことを涙を流しながら言って親をドン引きさせたこと、私もある。
    筆者との共通点が多くてさくさく読んだ。

    カフカやヴォネガットなど、これまで読んでこなかった人たちの名言や名フレーズとの出会いも嬉しかった。積読リストがどんどん増えた。
    山田太一作品も観たことがないので興味が湧いた。

    P215の
    「ねえ、どうしてこんな人生なの!どうして、もっといい人生じゃないの!」とさんざんだだをこねたい。
    その姿を見て、「だったら死ねよ」と言う人もいるだろうが、そんなことを言う人より長く生きたい。
    という文章が大好きだ。このマインドは誰でも持てるものじゃない。だからこそ好きだ。ぜひ長生きしてほしい。

  • 言語化や名言にまつわる本を続けて読んだので、それに逆らうような本を読みたいとこちらの本を選ぶ。目論見は外れ、言葉も大事だが言葉にできないものも大事だよねと綴られたエッセイ集だった。

    愛より親切を。
    カフカの魅力。
    話しが成仏しない。
    など、好奇心がそそられた。
    著者の他の本も読んでみたい。

  • 『食べることと出すこと』を読んで衝撃を受けた。これは初めてのエッセイで著者自身書くのが楽しかったと言っているように実に濃密なのに押し付けがましさのない読ませる内容だった。この人はとても死に近いところで日常を生きているのだなと改めて思った。『チボー家の人々』の最終巻にーー(大体の引用)自分というものをはっきり理解し、人間を理解するための最上の条件は一度病気をしてから健康になるということなのだ。健康つづきだった人間は必然的にばか者だーーというくだりがあって思わず書き出してしまったほどだが、要するにこの著者もものすごく死に近い立ち位置でものごとをみているのでこんなにも心に響くものが書けるのだと思う。
    長い闘病生活では本とラジオに救われるというのは経験したものとしてはすごくよくわかる。それにしても小学校時代の先生の話は強烈だった。

    2度目読了、「愛より親切」がしみる!

  • 世界が広がった感。
    私はビジネスの世界で能力を磨いて経済的に社会的に成功していくことをずっと目指してきて、かなり上の方にきたようで、そうでない人をバカにしたり排除したりする傾向がある。

    だけど、この人の本を読むと、私の選択肢など一つの生き方に過ぎないのだということがわかる。そんなことをわかっていなかった自分に恥いる。

    弱い方から見る世界、しぜんな方からみる世界、痛い方から見る世界、辛い方から見る世界。読後、読む前よりもやさしく、肩の力を抜いて、自分にも他人には、もっと優しくできる気がする。



    ・人生について聞くなら、人生がうまくいっている人ではなく、人生に違和感を抱きながら、それでも何とか生きている人に聞くのが良いかもしれない

    ・田中真知、旅行の本

    ・愛は負けても、親切は勝つ

    ・親切にするのが当たり前で、感謝は必要ないと言う世界がいいと思う

  • うーん、悪くはないが、タイトルから想像して私が読みたかったものとは違って、肩透かしを食らったかんじでした。

    作者は、普段本を読まない人への文を書く人として仕事をしてきたらしいので、まあ仕方ないのかも。

    一言で言えば、ピュアな森博嗣(?)
    人間への愛に溢れててすごいが、なぜそんなことで感心するんだろう?とたびたび思ってしまうスレからしの私でした。

    都会出身で、性善説な男の人の見ている世界なんだなと思った。

    纏まりのない内容だなと思ったら、noteをまとめたものらしい。
    あー、それを紙の本として快適に読めるかというと、ちょっと違うよな、と思ってしまった。

    作者おすすめの作家の一つが牧野信一という人らしい。
    いつか機会があれば読んでみようかな。

  • 一年半くらい前に、どこかの書評で見かけたらしい。自分の読みたい本リストに入っていたのだが、そんなことはすっかり忘れ去っていた。
    たまたまどこかで本書を見かけたのか、最近よく著者の名前をあちらこちらで見聞きしたからなのか、ああ、読んでみようと思って手にしたら、なんのことはない、読みたい本としてすでにチェック済み(といって、チェックしたことを忘れていては、チェックした意味があるのかどうか?)だった。
    まあ、こういうことはよくある。本当によくある。
    で、最近読むことが多かった著者の何が好きって、こういうなんともゆるっとした立ち位置がいいというか、物事の捉え方がいいというか。
    それこそ、カフカのいう「倒れたままでいるのが一番得意」というその感性がそのままで、なんとも言えず良い。うまくいかない、良くはない、はっきりしない、モヤモヤする、んだけれどもそれはそのままでいることを許す、みたいな。
    本当は世の中、そんなことばかりしかなくて、うまくいって楽しくって正しくって元気でいられることなんて、実はほんの一握り。みんなどこかで折り合いをつけている。見て見ぬふりをして気づかなかったことにしている。いいじゃない、それで。
    そんなふうに優しく語ってくれているのが、とても温かくて、よかった。

全185件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)
文学紹介者。筑波大学卒業。20歳のときに難病(潰瘍性大腸炎)になり、13年間の闘病生活を送る。そのときにカフカの言葉が救いとなった経験から、『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)を編訳。以後、さまざまなジャンルの本を執筆している。著書に『絶望読書』(河出文庫)、『食べることと出すこと』(医学書院)、『自分疲れ』(創元社)、『口の立つやつが勝つってことでいいのか』(青土社)、『痛いところから見えるもの』(文藝春秋)など、編著のアンソロジーに『絶望図書館』『うんこ文学』(ちくま文庫)、『ひきこもり図書館』(毎日新聞出版)、『放課後によむ短篇集』(理論社)などがある。NHK「ラジオ深夜便」の『絶望名言』のコーナーに出演中。

「2026年 『六人部屋の十三年間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

頭木弘樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×