レヴィナス 顔の向こうに

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  • 青土社 (2024年11月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784791776825

作品紹介・あらすじ

レヴィナス思想のまだ見ぬ広がりを照らし出す
いまでも哲学の枠を超えて、さまざまな分野にインスピレーションを与えつづけている哲学者、エマニュエル・レヴィナス。しばしば「顔の倫理」というスローガンにその思想が集約されるけれども、それが実際のところ何を言おうとするものだったのかを問いなおし、それに回収されない思想の広がりに目を向けると、いまだ見ぬ読み替えの新たな方向が浮かび上がってくる。そこにあるのは、食、老い、ロボット、動物、福祉など、人間と人間ならざるものの境界がゆらぐ場面と響きあう、特異なかたちのヒューマニズムだ。レヴィナスとともに、レヴィナスを超えて等身大の人間について考える、哲学することの楽しみにひらかれた一冊。

感想・レビュー・書評

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  • ケアと正義が補完し合うってのはなるほどと思ったけど、他の点に関しては適用しました感が否めなかった。

  • 1. レヴィナスとデリダの関係
    - サイモン・クリッチリーの著作『脱構築の倫理』は、レヴィナスの「無限の応答責任の倫理」に対して、デリダの脱構築思想が倫理的責任のみならず政治的責任の広がりをもたらしたと述べている。
    - 1980年代以降、デリダは「赦し」や「歓待」などレヴィナス的な概念を積極的に使用するようになり、これが彼のテクスト群に大きな影響を与えた。

    2. リオタールとレヴィナス
    - ジャン=フランソワ・リオタールもレヴィナスに関心を寄せており、特に『ポストモダンの条件』を通じてポストモダンの概念を広めた。
    - リオタールはレヴィナスの「自律」と「他律」の二つの側面を論じ、「主体」が他者に対してどう応答するかに関心を持っていた。

    3. レヴィナスにおける「政治」の問題
    - 最近、レヴィナスの「政治」に関する議論が増加しており、特に「他者」の位置づけが注目されている。
    - レヴィナスの「正義論」は、倫理的関係における「他者」との一対一の対話を基盤としているが、第三者が介在する場合は新たな「応答責任」が生じる。

    4. レヴィナスの「応答責任」
    - レヴィナスは「他者」への「応答責任」を強調し、これが倫理の根幹をなすと考えた。
    - 他者の「顔」に対する応答は、倫理的関係の中で非常に重要である。

    5. レヴィナスと動物倫理
    - レヴィナスの「顔の倫理」には、動物に対する倫理的考察が欠如しているとの批判がある。
    - 「動物は顔を持たない」という立場により、動物に対する応答責任は否定されるが、この見解は多くの論者から批判されている。

    6. レヴィナスの「享受」と身体性
    - レヴィナスの「享受」に関する議論は、自己中心的な側面を持つが、他者の顔との関わりを通じて倫理的応答が形成される。
    - 身体的な接触や感覚が人間関係において重要であり、遠隔的なコミュニケーションでも倫理的な関係が成立しうるとされる。

    7. 老いとケアにおけるレヴィナス哲学の適用
    - レヴィナスの哲学は、自己決定や主体性の概念を問い直し、他者との関係性を重視する視点を提供する。
    - ケアの実践においては、他者への応答責任をどのように具体化するかが課題となる。

    8. 結論
    - レヴィナスの思想は、他者との関係を通じて倫理や政治を再考するための重要な枠組みを提供している。
    - ただし、実際のケアや社会福祉の現場では、理論と実践の間でのギャップが存在することが認識されている。

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著者プロフィール

立教大学文学部教授。主著に『現代フランス哲学』(筑摩書房)、『レヴィナスの企て――『全体性と無限』と「人間」の多層性』(勁草書房)、『カタストロフからの哲学――ジャン=ピエール・デュピュイをめぐって』(共編著、以文社)、訳書にグレゴワール・シャマユー『ドローンの哲学――遠隔テクノロジーと〈無人化〉する戦争』(明石書店)、クロード・ルフォール『民主主義の発明――全体主義の限界』(共訳、勁草書房)など。

「2023年 『レヴィナスを理解するために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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