誤訳の構造

著者 :
  • 聖文新社
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レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784792217082

作品紹介・あらすじ

英語を教える人、英文翻訳者の必読書。誤訳を通して、実践的に正しい英文の読み方を学ぶ。

感想・レビュー・書評

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  • 「難しい」と思って、なかなか読み進まず、敬遠していたが、最後の方は一気に読めた。とてもレベルが高いので、これ一冊極めるだけでも相当な努力が必要となるであろうが、また、これ一冊を極めた程度では、とても英語をマスターできた、と言えるレベルではない、とも感じてしまった。英語学習の道は長い・・・。

  •  色々な小説や評論から、単語レベルの間違いから構文の取り違えまで、原文と表す意味が異なってしまっているものを取り上げたもの。全部で188の例が紹介されており、英文解釈の難しさや奥深さを教えてくれる。難関大の英文和訳の問題で出そうな文もだいぶん含まれており、受験勉強にも役立つ。
     主に上級者を対象としたもの。恥ずかしいけれど、半分くらいは原文の意味を自分なりに取るのに精一杯になってしまった。おれは英語を教えている人間なので、とても勉強になる。英語が本当に読めるというのはどれくらいのレベルなのか、教師として目標が分かって、とても有意義だった。
     特に、今に始まった話ではないが、「比較」と「否定」のところはとても難しい。No man is less cruel than he.(p.184)みたいな文でも、パッと読んで「彼はとっても優しい」という意味が頭に浮かぶ、というのはどういう感覚なんだろう、と思う。もちろんそうなる理屈は分かるし説明はできても、パッと読んだり聞いたりして即座に、というのが難しい。scarecely lessとか言われたら、だいぶん考えてしまう。あるいはHe is too wise not to understand this.(p.137)みたいなnotが入った時に「彼は賢い」とパッと意味が取れるかどうか。本当に難しい。
     著者のような英語感覚を身につけるためには、一体どれくらいの英語を読まないといけないんだろう、と思った。一読しただけでは頭に入りきらない部分も多いし、やっぱり「慣れる」ことが必要だと思うので、英語の部分だけでもサッと読んで正しく意味をとる練習をしようと思う。
     ただ何の文脈もないところでいきなり読むという構成は、結構負担が大きかった。英文が提示された後に、その文脈を説明している箇所があるが、できれば文脈の提示があってから英文を読むような形がよいと思った。(17/05/04)

  • 【メモ】
    ・底本はおそらくこれ。
     『誤訳の構造――英語プロの受験生的ミス』 吾妻書房 1987
      (ISBN-13: 978-4751602003)

    ・出版社の商品ページ
    http://seibunshinsha.co.jp/books/ISBN4-7922-1708-3.html

    【目次】
    はしがき

      Part I 
    誤訳の罪
    誤りは翻訳の常
    擬似誤訳と正真誤訳
    誤訳と悪訳
    訳と英文和訳

      Part II
    名詞
    前置詞
    動詞
    助動詞
    冠詞
    形容詞
    副詞
    接続詞
    分詞
    動名詞
    不定詞
    代名詞
    関係代名詞
    仮定法
    比較
    否定
    挿入
    省略表現 
    イディオム 
    文型・構文 
    その他 
    《同形異種文/同形異構文/数詞/話法/時制/受動態/句読点/ことわざ/身体の部分を用いた表現/類似語/カタカナ語》


    【抜き書き】
    “《参考》  世に比喩表現というものがある。「あいつはダニだ」といえば、これは『隠喩』(Metaphor)だ。「あいつはブタのように貪欲だ」のようにlikeやas~asを用いた形式なら『隠喩』(Simili)である。ならば「俺は鳥」であってはいけないのか。「あたしはカモメ」なんて優雅なことを言ったソ連の女流宇宙飛行士だっているではないか。もっともな疑問だが、一般的には、やはりだめである。He is a queer card. これを「彼は変なカードだ」としても「あいつか奇妙なトランプ札だ」としてもだめなように。このcardも「人」を表していて「変わったやつ」のことである。同様にfishも人を表すことがある。”
     [中原道喜『誤訳の構造』p.34]

  • 購入していたのをぼちぼち読み。

    いま1/3くらい読んでいて、初見で辞書を引かずに正しい答えを導き出せるのは30 %くらい…。小説からの引用が多いので、技術文書の翻訳を勉強したい人には向かないかも。

    読んでいて思うのは、
    ・とにかく違和感を感じたら辞書を引く、文法書に当たる
    ・見慣れた単語でも辞書を引く
    かなあ。

  • 誤訳、悪訳として「日米の新防衛協力指針」が取り上げられていますが(P.12)、これはお役所文章ですから、

    A並びにB及びB' と表現することは「自然で」これは誤訳、悪訳ではありません。

    つまり、A=under normal circumstances
    B=in case of an armed attack against Japan
    B'=in situations in areas surrounding Japan

    Aの状況とB及びB'の状況とはやや異質なグループになりますのでお役所(法律)では「並びに」でグループ分けします。

  • タイトルから連想される内容とはちょっと違って、翻訳術というよりも、誤訳を題材にして、文法・語法を英文解釈に展開するための方法論を学ぼうという本。情報量は膨大。
    名詞、動詞、仮定法、比較…というオーソドックスな文法書的な章立てで、使いやすい。文法書を傍らに置きながら読むのに便利がいい。
    取り上げられている文例は幅広いジャンルから採られているが、軽めの小説が多く、読んでいて飽きない。

    引用されている文章が短く、どういう文脈かが分からなくて、文章にすっと入り込めない印象はあった。
    もっとも、これは、文脈やニュアンスに頼らずに文法・語法の精密な理解を積み上げて正しい解釈に至る、という本書のコンセプトからすれば、当然のことなのかもしれないけれども。

    “ヨツンヴァインになるんだよ”的な誤訳には笑いました。
    (第152項"You should be on knees."の誤訳)。

  • 英語に興味をもって勉強する徒にとって、良書かと思う。というのも、英語を教授にとどまらない魅力を本書は持っているからだ。英語の文法構造を解釈するだけにとどまらず、文脈から考察して「適訳」を示して見せる。それが最適訳かはさておき、本書に書かれている訳出の仕方の一考え方を知ることは損ではあるまい。

  • 英日翻訳をやって難しいのは日本語表現。現地で暮らしていない人間にとってスラングは難しいけど、きちんとした英語だったら辞書に頼ればだいたいは分かるだろう、あとは日本語をどうするかだ、というのが甘い幻想であることを思い知らされる。現在、1日数分、トイレで数項目ずつ読みすすめる本になっている。

  • まあためになったりならなかったり。

  • 本書は、実際になされた訳業の中から素材を取り、誤訳しやすいポイントを教えてくれる。例文を見て正しい訳を浮かべることができたのは希で、自分の英語力の無さを改めて痛感させられた。一項目ずつ考えて読まなければならないので骨が折れるが、しっかり理解していけば力が付くに違いないと思った。

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著者プロフィール

元開成高校教諭

「2008年 『新マスター英文法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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