「帳簿書類のデータ保存・スキャナ保存」完全ガイド

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  • 税務研究会
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  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784793120435

感想・レビュー・書評

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  • 電子帳簿保存法に係る国税関係帳簿書類の保存の実務について記した本で、これはとてもよい。電子帳簿保存法によって要請される法定要件について知りたければ、これ一冊で足りる。具体例やQ&Aを含めて分かりやすく記されている。参考資料として関連法令も収録されている。

    最初に電子計算機処理システムを一貫して使用している電子帳簿の取り扱いについて述べた後、紙媒体をスキャナによって画像保存する際の要件について詳しく述べている。スキャナ保存の方はまだ申請事例も少ないこともあって説明はやや多めであり、スキャナ保存システムを提供しているメーカーの実例も紹介している。さらに、EDIなど電子取引に係る書類の保存について書かれている。

    実務上とても参考になる一冊だ。なお、スキャナ保存について日本の法律はかなり厳しい要件を設定している(200dpi以上のスキャン精度、24bitカラー、電子署名とタイムスタンプ、通常はスキャンしたら画像として保存されるのに相互関連性と検索可能性、額面3万円以上の契約書・領収書及びその写しは対象外、など)。日本に対して、例えばアメリカではモノクロ、電子署名やタイムスタンプは不要などとなっている。これについて、日本とアメリカの国税関係書類の真正性の立証責任が違うという指摘(p.8)が目に留まった。日本では事実と会計帳簿が違うことを立証するのは国であるから、国が調査可能なように要件を定めるが、アメリカでは事実と会計帳簿の一致は納税者が立証責任を持つとされている、という基本的なスタンスの違いだと書かれている。それにしても要件が厳しすぎると思え、スキャナ保存の実例があまりに少ない(2012年6月末時点でたった103件)のもうなづける。

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著者プロフィール

税理士 袖山喜久造(そでやま きくぞう)
東京国税局に国税専門官として採用。国税庁、東京国税局調査部において大規模法人の法人税等調査事務に従事。同局調査部勤務時に電子帳簿保存法担当の情報技術専門官として調査支援、納税者指導等に携わる。
退職後、税理士登録しSKJ総合税理士事務所を開業。税務コンサルティングのほか企業の文書電子化コンサルティングを行い、その後、SKJコンサルティング合同会社を設立し業務執行社員となる。

「2023年 『電子インボイス 業務デジタル化のポイント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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