木のいのち木のこころ〈天〉

著者 : 西岡常一
  • 草思社 (1993年12月発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (167ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794205322

木のいのち木のこころ〈天〉の感想・レビュー・書評

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  • 言葉が悪い言い方ですが、儲け仕事に走りましたら心が汚れるというようなことでした。

    教える弟子のほうも大変やし忍耐いるでしょうが、教える側も大変なでっせ。よっぽどの慈悲心、親切心がなければやれませんわ。本当に芽が出てくるまで辛坊せなあきませんからな。

    木を育てるというの大変なことなんでっせ。自分のことだけを考えていたらできません。

    丸暗記した方が早く、世話はないんですが、なぜと考える人を育てる方が大工としてはいいんです。

    癖を見抜いてその人のいいところをのばそうとしてやらなあきません。

    褒められてもうれしゅうないですな。自分がした仕事ですから、どこかに欠点がないか、あそこは大丈夫か、そう思いまっせ。

    それと人間というやつは褒められると、こんどは褒められたくて仕事をするようになる。人の目を気にして、「こんなもんでどうや」「いっちょう俺の腕を見せた路」と思って造るんですな。ところがそういうふうにして造られた建物にろくなものはない。

    職人は思いあがったら、終わりです。ですから弟子を育てるろときに褒めんのでしょうな。

    木の癖組みは工人たちの心組み。

    気に入らんから使わん、というわけにはいかんのです。自分の気に入る者だけで造るんでは、木の癖を見抜いてその癖を生かせという口伝に反します。

  • 「経験に学ぶのが愚者、歴史に学ぶのが賢者」と言う格言があるが、「経験のみに学ぶのが愚者、歴史のみに学ぶのも愚者、賢者は経験と歴史双方から学ぶ」が正しいのでは。
    もっとも、格言が出来たころは経験に学ぶのはアタリマエだった、という前提がある気がする。
    経験がすっぽり抜けて歴史だけに学ぶ人にならないよう、戒めを与えられた一冊でした。

  • 伝説の宮大工、西岡常一のことば。

    ものを「創る」こととはどういうものか、教えてもらったような気がした。

    以下印象に残った個所を抜粋。

    「癖と言うのは悪いものではない、使い方なんです」
    木の癖をしっかりと生かした建物は、長くしっかりとした建物になる。人間の性格も一緒だと、西岡はいう。

    「これは飛鳥人が本当に深く自分の風土を理解した上での創造でっせ」
    湿気の強い日本の風土に合わせて、軒を長くして雨を防ぎ、建物を乗せる土台を高く設定しながら、旧来の掘立式ではなく、大陸から伝わった建築様式を使用する。ある技術を環境に合わせて、最適化し、新たなものを創造する。そして何千年後にも残り、芸術性も高いものを生み出す。
    これこそが職人の仕事であるなと感じた。マーケティングも同様。マーケットイン、プロダクトアウト、の二項対立ではなく、両者の融合、止揚した点に存在するのだろう。創造性=新しいもの、ではない。


    「学校みたいに『そんなん聞いてません』というて逃げられませんわな。知らんことでも解決せなならんのです。解決せな家が建たんですからな」
    与えられることを欲してはだめ。ではそのためにはどうすればいいのか。
    家を建てればいい。すなわち、何か目的を持って取り組むことが重要だと言うことだ。ただ給料をもらうため、怒られないため、に作業をしていると、この大事な点がなくなってしまう。自分が目指すものに対する通り道として全てを捉えること、そうすれば能動的な姿勢にならざるをえない。

  • 1300年も残るという先人達の知恵。法隆寺も建物を見に行かなければ。

  • 著者は法隆寺の宮大工。1000年の時を越えて伝承されてきたものを、後世に伝えていくのだという著者の矜持が伝わります。日本のものづくりはどのように継承されてきたのか、そして今何が忘れられようとしているのか、ということを考えさせられる本です。聞き書きなので、話が重複する部分もありますが、読みやすい本です。

  • 宮大工のこと、日本の建築のことが良く分かった。大工というものを全然知らなかったと反省。

    現代人に欠けている大切なことが詰まっていて、今の自分と世の中を見直すことができた。
    木も人も同じなんだなあ…と。

  • 頭じゃなく、身体。
    魂込めて、ともかく場数。
    棟梁はやってみせれるか。

  • 西岡さんが語った言葉そのままの本。
    本当に目の前で西岡さんが語っているかのような、息や世界観を感じられた。
    宮大工らしい木への向き方。棟梁としての人の育て方。

    ●木を生かす。無駄にしない。癖をいいほうに使いさえすれば建物が長持ちし、丈夫になるんです。
    ●その木の生きてきた環境、その木の持っている特質を生かしてやらな、たとえ名材といえども無駄になってしまいますわ。ちょっとした気配りのなさが、これまで生きてきた木の命を無駄にしてしまうことになるんやから、われわれは十分に考えななりませんわ。
    ●大工というのは仕事ですが、その前に人間なんです。大工という仕事を持った人間なんです。すべてにいいかげんではいかんのです。どこかがいいかげんなら、それが仕事に出ますからな。
    ●木の使い方と同じように、癖を見抜いてその人のいいところを伸ばそうとしてやらななりませんわな。育てるということは型に押し込むのやなく、個性を伸ばしてやることでしょう。それには急いだらあきませんな。
    ●早く習得した人は先に進みますわ。だが、遅くったって構わんのです。覚えることが大事なんです。覚えな、前に進みません。覚えないまま進んでもしょうがないんです。そういう人はじっくりやるんですな。早く覚えて先にいったほうがいいということはないんです。

    クリさんがオススメしてた本だけど、読んで本当によかったと思う。

  • 日本最後の宮大工が書いた本。人材論として読んでも、理論一辺倒で人の感覚から離れてしまいがちな現代へのアンチテーゼとしても読めたを

    読了後、体験の重要さを再認識した。やはり文字だけ、言葉だけに頼るのは限界があると再認識しました。

    ただこの考え方を教育法としてそのまますべてのやり方に適用できるとは思えませんでした。

    大本営参謀の情報戦記で堀英三が『陸軍の陸大の参謀教育は高度な教育で仕上げたエリートだけが担うだけでなく、戦時に必要なアメリカ式のマニュアル式即成参謀も必要ではなかったか?』と日本陸軍の中間層の厚みの点について書いていたことを思い出した。

    この本にあるように少数が少数へ伝えて行く教育も大事だが、少数から多数への教育もまた大事だと思います。ようはバランスと思います。

    次はこの方の弟子の本を読んで見ます。

  • 職人、伝統、木、宮大工。私の好きな分野なのでいつか読もうと思っていたところ、何かの評でオススメされていたので読んでみた。やはり、1300年の歴史を持つ法隆寺とともに歩んできた職人の言葉は深くて重い。私の気に入った一節は要約すると次のようなもの。「今のような大量生産の画一的で壊れにくいものを使えば、作法も心構えもいらなくなる。反対に昔のお茶碗のように人が丁寧に作ったものは丁寧に扱うし、二つと同じものがないから気に入ったら大事にする、他人のものならなお大事にするだろう。そうやって、物に対しても人に対しても思いやりが生まれる。均一の世界、壊れない世界、どないしてもいい世界からは文化は生まれません」。こんな感じで、文化や人を育てること、仕事に対する覚悟などが語られます。頑固一徹な職人らしいこだわりもあり、今の世の中では通用しないんじゃないの?と思う向きもあるかも知れませんが、その思想を自分の核にすえて、少しでも理想の形に近づけるよう日々暮らしていきたい、私が目指したいのはこの方向だな、と感じた一冊でした。

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