- Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794209207
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
とてもおもしろかった。
ソマリアで遊牧民の子どもとして育ったワリス・ディリーがニューヨークでスーパーモデルとして活躍するようになるまでの半生記。
砂漠での暮らしについて彼女は淡々と語っているけれど、これがすごい。
「万が一、夕食になにも食べるものがなくても、わたしたちは騒ぎ立てたりはしなかった。だれも泣いたり、文句を言ったりはしない。もちろん小さなこどもは泣くかもしれない。けれど少し大きくなれば、それが砂漠の掟だということを知り、なにも言わずに横になって寝る。食べ物がなくても落ち込んだり、大騒ぎしたりはしない。明日になれば、道は開けるだろう。インシャッラー、神のご加護があれば、きっと食べ物は見つかるだろう。それがわたしたちの哲学だった。わたしたちの暮らしは自然に頼っていて、自然を動かしているのはわたしたちではなく、神だったから。」(p.28)
このような子供時代をすごした人が私とは違った感じ方をするのは当然だろうな、と思える。
彼女は13歳の時、らくだ5頭とひきかえに老人と結婚させられることになり、それがいやで家族のもとを逃げ出した。紆余曲折を経てロンドンで暮らすこととなり、大きなカルチャーショックを受けながら、やがて自分の生きる道を見出していく。いろいろなことにとまどいながら、きっと神への信仰が支えになっているところがあるのだろう(彼女はそれほど敬虔なイスラム教徒という感じではないけれど)、自分は自分らしく生きていけばいいんだ、と未来を信じられる強さがあるのが気持ちいい。
中でFGMについての経験が語られる。とてもショッキングな内容だけれど、こうして実際に切除を受けた人の話を聞くと、やっぱり部外者と言われようと声をあげなければ、と思う。「FGMはその部族の伝統的な慣習なのだから、他の文化に口出しすべきではない」とか、「何事も西洋の価値観を押し付けるのはよくない」と言う人もいるが、FGM は女性に苦痛を与えるのが確実で、部外者が何か言わないことには内部から声をあげるのは大変だし、きっとこれからもこのために苦しむ女性達を作りつづけるのだろうから。そしてワリスも、女性達が苦しむことになるこんな慣習をなくすために、大変な思いをして自分の体験を語っているのだから。 -
■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
【書籍】
https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001200753
-
想像を絶する
彼女だから出来たんじゃない -
ノンフィクション
-
彼女の半生は実に興味深かったが、作品としては読み進めるのが辛かった。
-
ノンフィクションで、こんなにグイグイ引っ張られる本は、初めてかも。