レクサスとオリーブの木―グローバリゼーションの正体〈上〉

制作 : Thomas L. Friedman  東江 一紀 
  • 草思社
3.53
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本棚登録 : 224
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794209467

作品紹介・あらすじ

冷戦後、世界のルールは激変した。技術、情報、金融の壁が消え、あらゆるものが国境を越えて広がっていき、地球規模で結びつく「グローバル化」の時代がやってきたのだ。無名の青年が一夜にして富を築く一方で、国も業種も超えた合併が巨大企業を生み出し、世界の株価は短時日のうちにとんでもない乱高下を見せる。混沌にも似たこの新しい世界のルールとは何か。何が新たな勝者を生み、何が日本の景気を抑えつけているのか。著者はこの問いに二つの鍵で答える。レクサス(トヨタの高級車)とオリーブの木(土地・文化・民族の象徴)である。国籍を超えた最新技術の集結と、古来の伝統的価値への固執。この二つの要素を軸に、現在の世界を鮮やかに読み解いたのが本書である。

感想・レビュー・書評

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  • 内容的にすばらしい。

    が、少し古い書籍ですので、今では当たり前のことが書かれているかも。

  • 1999年に米国で刊行されたグローバリゼーションの幕開けを告げる1冊。インターネットの伸展による常時ネット接続、金融、経済の国境がなくなるなど当時の近未来感がわかる。そこから四半世紀が経過し、実現しているものもあれば、そうでないものもあるが、この本を読んで四半世紀前を振り返り、今後の四半世紀先を自らの頭で予測する大事さを教えてくれる。

  • グローバル化が牧歌的に語られた時代のベストセラー

  • 291pages

  • 「国が企業化している」

    という点が印象に残った。
    国の情報を的確に透明性を持って外に公開する事が、電脳集団から投資を呼び込み、企業から技術を呼び込み、それが国の繁栄に繋がる。

    しかし一方で、少しの「あら」があればすぐにそれらは去ってしまう。

    さらに、「だからこそ」国を公開する一方で「ブランド化」が必要である。


    ここら辺が印象に残った、これを10年以上前に書いているということに驚きがある。


    国の垣根はあるが、それは冷戦時代とは別の「垣根」であり、様々なものの移動を妨げる垣根を持つ国は衰退していく。

  • 上下読了。

  • レクサスとオリーブの木
    ※読むのであれば本書より2008年刊行の『フラット化する世界(上・下)』を。これは2000年の本なので内容が古い。

    レクサスは近代化、合理化、新しいもの象徴として、オリーブの木はアイデンティティ、帰属意識、古いものの象徴として表されている。
    冷戦後、世界の半分では近代化が進んだが、残りの半分はそうではなかった。
    日本では最新技術によってレクサスが作られ、世界で売られたが、イスラエルではどの民族がオリーブの木の所有者か争っていた。

    レクサスを作っている日本にオリーブの木の概念がなく、イスラエルは近代化しない、という話ではない。
    世界情勢を考えるとき、冷戦下においては「オリーブの木」について考えればよかった。共産主義か資本主義か、アメリカかソ連か、といったことだ。
    戦後世界においては、世界情勢は「新しいものと古いものの相互作用」として捉える必要がある。
    本書を引用すれば、「レクサスのなかにいる時間が長くなるほど、オリーブの木に寄りかかって過ごしたい時間も長くなる」ものだから。


    本書で書かれているのはグローバル化に尽きる。
    だが書きたいことがありすぎてか、グローバル化というテーマが大きすぎてか、著者の遊び心が過ぎてか、話があちこちに飛ぶ。
    結局何を言いたいのか?
    企業はグローバル化し、ヒトモノカネ、何でも一国内に留まる事はなくなっていく。
    成功したいのであれば、企業はグローバル化に適したシステムを取り入れるべきだし、国もそれを支援ないし受け入れる準備をしろ。
    といったところか。


    「国家を査定する8つの質問」について。
    著者独自の項目で、国の経済力とポテンシャルを評価するために使う。
    国が企業化していることから、グローバル企業をモデルにして考案された。

    1.あなたの国はどのくらい接続しているか?
    帯域幅のこと。スムーズなネット環境が整っているか、インターネットに接続できる人はどの程度か、というもの(2000年刊行なので当時としては最もだが、2012年となっては古いか)。
    情報の流通、アクセシビリティについての評価か。

    2.あなたの国は、どのくらい高速か?
    大が小を食う世界から、高速の者が低速の者を食う世界に変わった。国も同じ。現地参入に必要な書類や税環境が最小限で、リソース、設備も迅速に揃う国たれ。
    モデルはスコットランド。

    3.あなたの国は、自国の知識を収穫しているか?
    Webサイトの7割は英語だという。帯域幅がどれほど広くても、使う人間がネットワークを有効活用していない、あるいはできないならば、意味はない。

    4.あなたの国の重さは、どのくらいか?
    重が軽を食う世界から、軽が重を食う世界に移行している。重さ当たりの利益が高くなっている。
    輸出コンテナに、自動車を50台積むか、マイクロチップを1,000,000,000,000個積むか、どちらが価値があるか。

    5.あなたの国は、公開する勇気があるか?
    AppleとAndroid、どちらが勝つか。
    Appleは閉鎖的な、Androidは開放的、という前提。
    今のAppleは閉鎖的とは言い切れないし、Androidにも開放的とは言えない制約があるが。

    6.あなたの国は、どのくらい友人作りが上手か?
    M&Aを繰り返し巨大企業は廃れる。多岐に提携して互恵的なネットワークを築くことを目指せ。
    北朝鮮の核開発を止めるために日本単独の経済制裁を行っても効果は薄い。如何に中国を動かすかが成功の鍵を握る。

    7.あなたの国の運営者は、理解しているか?
    ふさわしい運営者を選ばなくてはならない。いなければ外部からでも雇えばよい。
    日本の首相は日本人がやる必要はあると思うが、ブレア首相や胡錦濤だったらこの酷い政治もマシになるのではないか、と思うことがある。

    8.あなたの国のブランドは、どのくらいよいか?
    トニー・ブレアは、「祖国の過去を誇りに思うが、その中に生きようとは思わない」と言った。
    マレーシアはハイテク工業団地を作り、外資を誘致し、マレーシアと言えば近代化を遂げた情報都市として認識されるようにした。


    以上8つ全ての問いに適切な解を持っていれば、少なくとも今より良くなると思う。
    他国と比べて、日本の空は青く、人は穏やかで勤勉。
    飯もどこより美味いし、治安も世界で一番良い。
    日本は本当に素晴らしい国だと思うが、唯一好きになれないのは、日本の古い体質だ。
    古古い者が権力に居座り続けられてしまう仕組みがよくない。
    本当に優秀なリーダーと、ダイエットしてスマートになった公組織たれば、言い淀むことなく世界で一番の国だと言えるのになぁ。

  • (「BOOK」データベースより)
    冷戦後、世界のルールは激変した。技術、情報、金融の壁が消え、あらゆるものが国境を越えて広がっていき、地球規模で結びつく「グローバル化」の時代がやってきたのだ。無名の青年が一夜にして富を築く一方で、国も業種も超えた合併が巨大企業を生み出し、世界の株価は短時日のうちにとんでもない乱高下を見せる。混沌にも似たこの新しい世界のルールとは何か。何が新たな勝者を生み、何が日本の景気を抑えつけているのか。著者はこの問いに二つの鍵で答える。レクサス(トヨタの高級車)とオリーブの木(土地・文化・民族の象徴)である。国籍を超えた最新技術の集結と、古来の伝統的価値への固執。この二つの要素を軸に、現在の世界を鮮やかに読み解いたのが本書である。

  • 上下巻を読んで、重要そうなところをとりとめもなく抜き書き。

    世界を見るための6つの軸。
    政治、文化、国家安全保障、金融市場、技術、環境。

    グローバル化によって世界は均一化し、皆が同じような豊かさを求めるようになる。
    レクサスは共通する豊かさの象徴だ。
    一方で、そのような均一化によって自己のアイデンティティが危機にさらされるため、それを守ろうと強く意識するようになる。
    オリーブの木は個人や共同体のアイデンティティの象徴だ。
    グローバル化によって世界は、レクサスとオリーブの木のバランスをとることを強いられている。

    グローバル化は平和をもたらす。
    国が戦争をすると、投資家たちは国債や株を売り、企業は工場を移転する。
    世界は市場で繋がっている。
    マクドナルドのある二国は戦争しない(下巻)。
    ただ、内戦は起こる。
    レクサスを求める動きとオリーブの木を求める動きがぶつかるから。

    ある国がグローバル化に対応できるかを、どこから判断するか。
    ・自由市場というハードウェアがあるか。
    ・その市場を動かすOSはアップデートされているか。
    ・市場の中で自国企業をコントロールするソフトウェアは柔軟に動いているか。

    日本には、グローバル化に必要な透明性と柔軟性が欠けている。

    グローバル化と上手く付き合うこと、つまり持続可能にすることが大切。
    そのためには、
    ・全ての人に働くための教育と研修を
    ・全ての人に資本へのアクセスを
    ・全ての人に意見表明の場を

  • 著者はジャーナリストであり、本書は具体的エピソードが満載されている。学問的には証明が難しいであるだろう見解も、きわめてわかりやすく紹介されている。本書の第1部では「今日のグローバルシステムをどう見るか、システムがどう動いているかを概説」しているが、この本が2000年2月に発行されていることを思うと、著者の知見の鋭さと速さを賞賛したい。本書で記載されている「グローバルシステム」は、現在2011年の日本では、誰でもが目の当たりにする当たり前の出来事になっているのではないか。本書の第1部を絶賛したい。

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著者プロフィール

ニューヨーク・タイムズ紙外交問題コラムニスト
1953年ミネソタ州生まれ。ブランダイス大学卒業後、オックスフォード大学で修士号取得(現代中東研究)。UPI通信に入社し、1979年から81年までベイルート特派員。その後ニューヨーク・タイムズ社に移り、ベイルート、エルサレム両支局長を歴任。その間、ピュリツァー賞を2度受賞。89年に帰国し、ホワイトハウス担当首席記者を経て、95年からニューヨーク・タイムズ紙の外交問題コラムニスト。2002年、テロ問題に関する執筆活動により、3度目のピュリツァー賞を得る。著書に、全米図書賞を受賞した『ベイルートからエルサレムへ』、世界的ベストセラー『レクサスとオリーブの木』、『フラット化する世界』、『グリーン革命』などがある。

「2018年 『遅刻してくれて、ありがとう(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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