ファストフードが世界を食いつくす

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794210715

感想・レビュー・書評

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  • 創始者たち
    信頼に足る友
    効率優先の代償
    フランチャイズという名の甘い誘惑
    フライドポテトはなぜうまい
    専属契約が破壊したもの
    巨大な機械の歯車
    最も危険な職業
    肉の中身
    世界的実現
    お好きなように

  • 食の安全性が問われている昨今、改めて読み直したい一冊です。
    使われている肉の中身からずさんな労働管理の実態まで、
    著者の徹底的な取材によってファストフード業界の闇の部分が鋭く描き出されています。

    2001年の全米ベストセラー本です。

    1950年代にアメリカ的食品の象徴となったファストフード。
    標準的なアメリカ人は、毎週およそハンバーガーを三個、フライドポテトを四袋食べるにまで定着し
    また、ファストフードで就業する人は、三五〇万人にもなるといいます。

    本著では、このアメリカの食文化のメタファとも言えるファストフード業界の闇の部分を
    鋭く描き出してくれています。

    その成長を支えてきた多く仕組み。
    例えば、フランチャイズシステムであったり、
    農家との専属契約がもたらす価格競争力と商品供給力
    サービスのマニュアル化、
    など、その功績の表では語られない裏の部分が紹介されています。

    ここから先は個人的な感想です。

    大手ファストフードでは、
    仮に1個100円のハンバーガーを販売して業績があがる仕組みが出来ている訳です。
    飲食業は原価3割と言われますので、原価が30円程度。
    30円程度で、ハンバーガーを提供しているということは、
    当然、その前行程にしわ寄せが行ってしまうわけで、
    (普通に考えて、30円でハンバーガーって作れないですよね?)
    その部分を「裏側」ということで本著ではセンセーショナルに紹介しています。

    語られている事が全て真実なのかはわかりませんし
    何だか政治的な意図を感じるような表現もありました。

    ただ、結局、全てにおいて言える事だと思いますが
    最終的には、自分の事は自分で守るしかなく、消費者が正しい知識を身につけ
    自分で判断できるようにならなければ、企業のスタンスや社会の仕組みは
    変わっていかないのであろうと考えます。

    食の安全性ということに対して一人一人意識を持つ必要があるということに
    気づかせてくれる一冊であると感じます。

  • 本書は主に米国のファストフード事情について書かれているため、国内の同一チェーンの実態とはやや異なる部分があることには注意したほうがいい。特に店舗レベルでの衛生管理基準は日本のほうが格段に厳しいし、実施も徹底されている(もちろん米国と比較しての話であり、個別の店舗によって差もあるが)。

    ただし、原材料となる食肉がそもそも加工の段階で汚染される危険があるのは日本の場合も同様で、これは店舗レベルの施策では防ぐことができない。実際に店舗の衛生状態には異常がなかったにもかかわらず、食中毒が発生した事例がある。

    本書はこうした問題の本質をフランチャイズの業態そのものに見出だすもので、以上のような話題について関心のある人には参考になる本だと思う。

  • 久しぶりのフォトリーディング。感想なし。ちょっとゾクゾクする面白さかな。高速リーディング。途中で疲れてきたので速読。面白い本だと感じるのでこの後普通に読んでみる。読み方も違いがどう出るか。
    かなり暗くなる内容だったので高速リーディングを所々いれて読了。

  • 今日のファストフード・ハンバーガーの低価格は、真のコストを反映しておらず、
    ファストフード・チェーンの利益は、社会全体に押しつけられた損害からもたらされていると著者は説く。
    社会全体に押しつけられた損害とは、肥満、食中毒の多発、牧畜業や
    精肉業の斜陽化、ファストフードチェーン従業員の劣悪な待遇である。

    本書の内容としては、前半でファストフードの草創期を描き、
    後半はファストフードの様々な現場(ジャガイモ畑や牧場、食肉処理場、学校等)
    における現状を、徹底的な取材のもとに記している。

    量が多く、読んでいて気持ち悪く・悲しくなるような描写がたくさんあったが、内容はとても濃い。
    本書の発売から10年たった今日、それらの問題は少しは改善されているであろうが、
    利益と効率性を徹底的に追求するという姿勢をファストフード・チェーンが改めない限り、
    根本的な問題は解決しないと思う。

    また、本書の最後にはこれらの問題を解決するビジョンも明示されていた。
    以下、引用。
    「われわれは誰一人、ファストフードを買うことを強制されてはいない。
    意味ある変革への第一歩はあまりにたやすい、ただ買うのを止めれば良いのだ。
    ファストフード業のお偉い方たちは、何も悪い人間ではない。彼らはビジネスマンだ。
    もし我々消費者が要求すれば、放し飼い・草育ちの有機牛肉を使ってハンバーガーを作ってくれるだろう。
    利益を得られるなら彼らは何でも売る。
    消費者の持つ本当の力はまだ発揮されていない。数ではこちらが勝っているのだから。
    購買拒否は言葉以上に語る力を持つ。最も抑えきれない力とは、時としてもっとも平凡であったりするのだ。」

    私は、大好きなハンバーガーを買うのを止めない。
    しかし、ファストフードを買うという行為一つ一つが、何を引き起こすのかを
    考えて行動したい。

    本書を読んで、私の大好きなIN and OUtだけは、従業員や顧客の健康を
    真に考えている企業であるということを知れて嬉しかった。

  •  フランチャイズビジネス,ハンバーガービジネスを知る上で有為な本。この本を読んだ上で,「キングコーン」という映画を見ると,完璧であり,強くおすすめしたい。

  • 「本書は気鋭ジャーナリスト、エリック・シュローサーが徹底的かつ包括的な取材の元、大巨人ゴリアテたるファストフード帝国に敢然と叩きつけた挑戦状である。(P380)」

    ファストフードチェーン、そしてそれに付随する下請け企業が得る利益がいかに多くの社会全体の利益を損なっているのかが描かれている。

    例えば国民の肥満率の上昇、コスト削減による食品由来の疾患の多発、環境破壊、一部の企業による独占と中小農家・酪農家の搾取、ロビー活動による社会利益を損なうような制度の乱用・捻じ曲げ、移民労働者の搾取・蹂躙などの事実が約400ページにわたって豊富なヒアリングを踏まえて非常になまなましくつづってある。

    生肉工場の現状が書かれたところでは思わず目をつぶりたくなった。

    この事実が発行されたのが2001年。
    現在は2012年。
    今はどうかわからないが、とにかく大きな衝撃を受けた。
    幼稚園、小学生のころによくお世話になっていたので余計に。
    あの時食べていたハンバーガーやポテトの裏に、こんなにも多くの農家さんや移民の方々、そして動物たちの苦しみ・悲しみがあり、また同時にそれを口にする自分の中に無数の細菌が入ってきていたなんて。
    知らなかった。

    安く・早くを重視するあまり、本来足を踏み入れるべきでない聖域にまで入り込み、私たちの生活をむしばむ。

    ただ、確かにそういった不正を働いていた企業もそうだけど、それを需要している自分たちの罪も同時に再認識した。

    改めて考えないといけない。

    オリーブの木とは何か
    レクサスとは何か。

    話変わってマクドナルドの経営戦略には驚いた。
    出店方法や、フランチャイズ戦略、労働組合を作らせないような仕組みなど。
    いい悪いは別として、これを考えた人は相当切れる。
    その頭をもう少しマクロな視点に切り替えることはできなかったのか(苦笑)

    また、科学技術もすごい。
    流動学を応用したテクスチャーアナライザー、調香師の技術には驚嘆した。
    食感を数値化するなんて。化学物質を組み合せ自然界のにおいを再現するなんて。
    凄い超えて狂気だよ。

  • 読みたい本

    途中挫折

  • この本を読んでから、●●●●●ドは一切食べなくなりました。

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著者プロフィール

アメリカのジャーナリスト。既刊にベストセラーとなった『ファストフードが世界を食いつくす』『ファストフードと狂牛病』『おいしいハンバーガーのこわい話』『巨大化するアメリカの地下経済』。

「2018年 『核は暴走する 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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