石、紙、鋏

  • 草思社
3.20
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本棚登録 : 16
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794212856

作品紹介・あらすじ

絵を描くこと、夢想すること、友達を大事にすること、捨て猫と行くあてのない少年を自分の家に連れてきて面倒を見ること-限りなく心優しい同性愛者アンドレは、そうした日々に喜びを見出してきた。穏やかな日常は、一人の青年オレリオの登場によって崩れてゆく。優しさと打算、愛情と憎悪、欲望と奉仕とが交錯する息づまる日々。アンドレと女友達サビーヌ、そしてオレリオの決して均衡のとれない三角関係は、一体どこへ行き着くのか-。人間の猥雑さを見事に描き出した作品。

感想・レビュー・書評

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  • 953と

  • この本はたしか池澤夏樹さんが書評を書かれていて心に残り、わざわざ取り寄せて購入したものでした。
    著者アンリ・トロワイヤは1911年モスクワで生まれフランスに亡命した作家、数多くの偉人伝を書いています。
    池田理代子さんが女帝エカテリーナを漫画化していますのでご存知の方も多いかもしれません。

    この本を書かれたのがたしか80代に入ってからというのだから本当に驚きです。
    読んでから5年近く経っていますが読後感が素晴らしかったのが忘れられません。

    その頃日本の安直な小説ばかり軽く流すように読んでいたので
    フランス文学界の重鎮の書く「これぞ!文学」に心が揺さぶられ、それがたまらなく心地よかったのです。

    石 紙 鋏とはじゃんけんでいうグー チョキ パーのことです。

    同性愛者のアンドレ、バイの若者オレリオ、そして若い女サビーヌとの奇妙な(決して相容れない)三角関係を題材にしています。
    おそらく若者は別にしてほとんどの人がアンドレに感情移入しながら読むことになるでしょう。

    残念なことにわざわざ取り寄せたものだというのに、友だちに貸したまま戻って来ません。
    もう2年ほど連絡をしていない相手なのですが
    「返して」と言えないまま時間が過ぎてしまいました。
    貸した本は戻ってこないと思った方がいいのかもしれません。

    また買って読みます。
    これは本棚の定位置に必要な本です。

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著者プロフィール

1911年モスクワ生まれのロシア系フランス人作家。1935年に処女小説『ほの明かり』を発表して以来、2007年に95歳で没するまで精力的に小説、伝記、エッセイ等を発表した。日本でも多数の作品が翻訳されている。主な著書に、『女帝エカテリーナ』(中公文庫、1985年)、『ドストエフスキー伝』(中公文庫、1988年)、『バルザック伝』(白水社、1999年)、『プーシキン伝』(2003年)、『ボードレール伝』(2003年)、『ヴェルレーヌ伝』(2006年)、『フロベール伝』(2006年、以上、水声社)等がある。

「2023年 『モーパッサン伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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