- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794214928
感想・レビュー・書評
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図書館で借りたが、購入を検討したい
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本書は一貫として「考えること」をしている。
現代社会に覆われているが、皆の心のどこかにある疑問や不安に対峙し、
言葉にしている。
この作業こそが、真剣に生きていくことにつながっていて、
今の時代に必要なものだと思う。 -
人生で用意されている時間はいつも長く退屈で、それを見ないために一は楽しいことを探し続ける。
人生とは自分が生きることではなくて、人によって生きられるものなのではないか。それも傑出したヒーローでなく、自分のような人によって生きられる。
人生とは本質において、誰にとっても、遅く生まれすぎたか、早く生まれすぎたかのどちらかを感じるようにできているものなのではないか。つまり個人が人生において直接経験することなんてたいしたことではないし、他人に向かって語るべきものではない。
人生とか人生の意味なんて、問題が大きすぎて、人生を一回しか経験することのできない人間に応えられるはずがない。人生という問いはいかにもまじめでまっとうな設問であるように見えて、その実、解決できる範囲の小さな問題を放棄してきた硬直した精神が袋小路に陥って慌ててでっちあげたアリバイ工作のような設問なのだ。
優越感というのは勝ち負けが根底にあるものだから、今このときにあなたが優越感に浸ってとても満足しているとしても明日になったらあなたは敗北感とともに勝った人を見ているかもしれない。優越感というのは敗者があって成り立つものだから、常に敗北する恐怖に脅かされている状態であって、気持ちが深く安らぐことはない。そのおうな状態を幸福と言えるだろうか。
今の学生は心理学や精神分析に関心を持っているけど、彼らの関心は昔の学生が哲学や文学に持っていた関心と同じものである。哲学、文学、歴史など文学的なものに対する学生側の重要は実際には大きい。文学的なものをつぶすことは、学生の真の意味での教養を求める芽をつぶすことになる。
人間を支えているのは教養であり、教養の中核になるのは文学、哲学。
教養というのは、その外にいて十分な地位や名声を得ていると自負している人にとっては、ある種、秘境的に感じられるところがあって、簡単に言えば自分に理解できない言葉をしゃべっているということだ、そこに入れないと思う気持ちが攻撃性に転化する。そういう雰囲気が社会の全体を覆いつつあるのが日本の現状だ。 -
エッセイかと思いきや、話は哲学的なもの、保坂さんの信念のようなものへと流れ着き、それはそれで考えさせられるいい本でした。
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今まで考えたことがない方法で物事を捉えて論じている筆者の話が自分に色々な考え方を持っていいのだという自信を与えてくれた。さらに色々な視点で考えるヒントを与えてくれたと思う。
この本はとても眠くなりやすいので睡眠導入剤にするといいかもしれない。 -
対談者の質問に対して、保坂和志が淡々と答えてくれるが、
それは保坂和志の感じたことであり、大事なのは常に「あなたはどう感じるか?」ということ。 -
今まで自分が生きてい行く意味について疑問に感じてきたことの答えがあちこちに散りばめられているような内容でした。
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相手が自分以上の想像力を持っていることを想像すること、それを敬意と呼ぶ。
善は自分以外のことを考える、悪は自分中心に閉じている。
ふと自分を見つめさせられる言葉があった。