お母さん、「あなたのために」と言わないで 子育てに悩むすべての人への処方箋

著者 :
  • 草思社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794217691

感想・レビュー・書評

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  • 思春期はそれまでの育ちの方向性が露呈しやすい危険地点といえる。しかし、けっして人生の総決算ではない。

    思春期の子供が親や教師に対して隠し事をしたり秘密をもったりするのは当然のこと。

    子供は大人の鏡。大人が変われば子供も変わる。
    子供は大人の言っていることと、やっていることの矛盾を敏感に感じ取る。無理な理想を課すことはやめて子供も大人も多少のミスは許しあい、ラクに生きることが大切。

    60年前は子供1人に対して大人が2人だったのに、今は大人が6人になっている。さらに家電製品の発達により家事にそれほど時間と労力を割かなくて良くなった。よって現代の親、大人たちは余った時間とエネルギーを子育てに注ぐようになり、行き過ぎたしつけ、過保護をうんでいる。子供が少しでも悪さをしようものなら、すぐに正され少しの秘密も持つことが許されない社会になっている。

    夫婦喧嘩を見て育った子供は自己肯定感が低くなる。また、自分が結婚したら、配偶者と喧嘩が多い夫婦関係になるなど、親から子へ受け継がれることが多い。
    親、教師など大人が子供に対して言う「あなたのために」は綺麗な虐待。そして、そのほとんどは子供のためではなく言った本人のためのことが多い。

  • 心の問題は因果関係が分かりづらい。「希望学」の本で学んだが、いまの気持ちが過去の評価を決めるために因果が逆転することさえあるのだ。
    臨床心理士やカウンセラーは問題を抱えているクライアントに会う。クライアントの過去に遡っていくと、その中に原因を見出すことができる。なぜ原因が見つかるのかと言うと、見つけようとしているからだ。原因と呼べる何かを探し出し、紐づけているからだ。これは結果から原因を探す作業である。言い換えれば、
    「いま問題が生じた→過去に傷を負っていた」
    という論理であって、
    「いま傷を負う→将来問題が生じる」
    ということではないことに注意したい。
    親は良かれと思い、子どもに関わる。しかし、それが「子どものコントロール」になってしまったら、どこかで歪みが生じる。なぜなら、子どもは自然であり親の思い通りにはならないからだ。
    親は子どもに対してできるのは、
    ①子どもの成長を促すこと
    ②子どもの成長を妨げないこと
    の2点しかない。
    ①は子どもをよく見てその都度必要な「手入れ」をするしかあるまい。②は夫婦円満で安全地帯を作ってあげるのが望ましい。

  • 367.6

  • 親と子供の心理学です。この手の本の中で一番衝撃的な内容でした。少年犯罪の欄はゾッと鳥肌が立ち怖い思いをする記述(私にとって)もありましたので、夜は読まない方が良いかと存じます。問題児は本当に問題児なのか、子供の嘘から見える「家族の秘密」、仮面のストレスが爆発する時、子供がどのように家族の機能を果たしているのか、「貴方のため」は綺麗な虐待という視点、いじめ・学級崩壊の相互関係、嘘を生きると言うことどういうことか、生き直しを支えるカウンセラーの目、親子の新しい関係性の作り方etc...。細やかに、臨床心理士である筆者自身経験を交えて真摯に問題に向き合って行きます。自分の家族を客観的に見つめ、より健全で安心のある家庭を作っていくための良書かと思います。

  • 立ち読み:2011/3/19

  • この人のカウンセリングをうけてみたい。

  • 基本的には今までの本と内容は変わらないのだけど、今回は、柳美里さんのカウンセリングが興味深かった。あとは“きれいな虐待”という言葉に、ゾッとした。

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著者プロフィール

1959年、愛知県生まれ。東海女子大学人間関係学部心理学科教授。名古屋大学大学院教育学研究科博士後期課程中退。専門は心理療法。1999年に「親子連鎖を断つ会」を設立し、虐待する親のケアに取り組んでいる。スクールカウンセリングや犯罪心理鑑定など、幅広い実践活動に日々奔走している。
著書に『子どもたちの「かすれた声」』、『たましいの誕生日』、『こんにちは、メンタルフレンド』(いずれも日本評論社)、『しつけ──親子がしあわせになるために』(樹花舎)、『〈私〉はなぜカウンセリングを受けたのか』(東ちづると共著、マガジンハウス)などがある。

「2003年 『たすけて! 私は子どもを虐待したくない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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