- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794218421
感想・レビュー・書評
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心動かされるとはこのこと。
高校の図書室で見つけて読んだ日の衝撃は忘れない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
おそらくこの本を読み始めた9割の人は途中でこれを読み進められなくなると思う。それほど陰惨で堪えられない少女プーランへの虐待の描写が多いためである。
インドの下層カーストに生まれた女は支配階級のカーストの男たちに言われるまま従って生きていかなければならない時代であった。これは今も続いていることだろう。わずか10歳のプーランはやもめ男の家に結婚にいかされる。そこでほぼレイプと等しいような辱めを受ける。セックスが何かも知らないプーランはゲームをしようともちかけられ、男の蛇(!)で弄ばれる。そこで病気になり実家に帰るが、結婚した娘が実家に帰ることは許されずまたやもめ男の家に連れて行かれ虐待を受ける。
なんとか逃げ出すが今度は盗賊団にさらわれる。
波乱の人生の前半部分。
プーランは読み書きができないが、後に彼女の物語を残したいと思った人々により、テープレコーダーですべてを語ってもらいそれを文字に起こし、さらにそれをプーラン自身に語って聞かせ齟齬がないことを確認した後に出版にこぎつけた。果てしなく労力のかかった貴重な本。 -
インドの話。盗賊団から政治家になった女性の実話だという。読めば読むほど、悲惨な過去だ。身分制度があって、女性蔑視があって、原始的な無秩序な社会で、暴力や裏切り、レイプ、警官による陵辱を受けた人生。一体何を頼り、信じれば良いのか。極限まで追い込まれた彼女は救われるのか。前半は、そこまで。
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30~40年前にすぎないインドの現実、それと闘った主人公の物語。それは盗賊という形ではあったものの、インド社会の内包する身分差別や性差別、貧富に対しての怒りであったのだと、文間からひしひしと伝わってくる。その意思は釈放後に政治家になっても失われることはなかっただろう。いわれなのない差別やいじめにあっている人にとって、勇気を与えてくれる本である。なお本書の主人公プーラン・ラヴィは2001年7月25日に暗殺されている。