文庫 宇城憲治師に学ぶ心技体の鍛え方 (草思社文庫 こ 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794218575

感想・レビュー・書評

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  •  他にも宇城師範についての著書を持つ小林さんだが、本書でもいい感じにしごかれている。そしてそこから得た教訓はどんなに痛い目にあっても十二分に元は取っているだろう。本書は宇城師から学んだことの集大成といってもいい。挿入された語録と図表は本文の充実度をさらに高めている。一般向けに書かれているのだろうが、武道や格闘技を少しでもかじっている人のために、具体的なメソッドも織り込んでもらいたかった気もする。

     武道を突き詰めていくと「身体論」へと行き着く。そうなると「無意識」や「深層心理」といった精神分析的な概念が登場せざるを得ない。さらには「気」や「統一体」といった超越的な言葉で表現せざるえない場面も多い。こうした言い回しに拒絶反応を示す人も多いかもしれないが、師自らの技で体験できなくても、丁寧に自省してみれば思い当たるような体験があるのではないだろうか。それをどう解釈するかは人それぞれである。

     最近はあまり聞かなくなったが、かつてはよく「どの格闘技が最強か」が議論されていた。考えてみれば分かることであるが、この議論は「野球とサッカーどっちが最強か」と同じようなもの。「最強とはどういうことか」を定義しなければならないし、ルールによって決まる「勝利」との関連もややこしい。まあこうした掛け合いがおもしろいのかもしれないが。ちなみに私は「健康」が最強と考えている。

     いわゆる武道空手、あるいはもっと広く「スポーツではない武道」全般を貫いている理念は心身の一致。宇城空手はそれをもっともわかりやすい方法で示しているように思う。「百聞は一見にしかず。百見は一触にしかず。」は名言。

  • 以前読んだ宇城師の著作は、「気」の存在について文章で綴られているものであったので、難解で十分に理解することができなかった。稽古での実践無くして解るようなものではないのであろう。
    本著作では、宇城師の教えが空手の実践の範囲だけではなく、広く日常生活に敷衍させて意見発信されているので、自分の経験の範囲で理解でき共感できる部分があり、楽しく読むことができた。
    特に第三章の現代の日本における問題点については、自身の日米の勤務経験からも賛同できる(同章「恐い人はいない」の内容)説明もあり、また行動の判断や基準の重要性については常日頃から感じていただけに、その説明は参考になった。

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著者プロフィール

1964年生。都市史研究。著書に『江戸の民衆世界と近代化』(2002)ほか。

「2007年 『明暦江戸大絵図 全1巻 限定157部』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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