文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)

制作 : 倉骨彰 
  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794218780

感想・レビュー・書評

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  • 文化の発達の不均衡について、様々な角度から考察し、謎を解き明かしていく本。
    やや冗長に感じる部分は否めないが、自分の知見が広がっていくようや感覚に陥るのが面白いです(笑)
    読み終わった後、この物々しい本のタイトルの意味がわかります。良書◎

  • 第3章「スペイン人とインカ帝国の激突」。なぜスペインが南米を支配するにいたったか、なぜその逆ではなかったのかを解説。まさに鉄、病原菌、銃。と馬。
    ほか、車輪文化がアンデスに伝わらなかったこと。横に伸びるユーラシア大陸の縦に伸びるアメリカ、アフリカは縦に伸びる大陸。狩猟生活から農耕栽培と動物の家畜化へ、人口増加と病原菌。

  • 日本語版への序文――東アジア・太平洋から見た人類史
    プロローグ ニューギニア人ヤリの問いかけるもの
     ヤリの素朴な疑問
     現代世界の不均衡を生みだしたもの
     この考察への反対意見
     人種による優劣という幻想
     人類史研究における重大な欠落
     さまざまな学問成果を援用する
     本書の概略について
    第1部 勝者と敗者をめぐる謎
     第1章 一万三〇〇〇年前のスタートライン
      人類の大躍進
      大型動物の絶滅
      南北アメリカ大陸での展開
      移住・順応・人口増加
     第2章 平和の民と戦う民の分かれ道
      マオリ族とモリオリ族
      ポリネシアでの自然の実験
      ポリネシアの島々の暮らし
      人口密度のちがいがもたらしたもの
      環境のちがいと社会の分化
     第3章 スペイン人とインカ帝国の激突
      ピサロと皇帝アタワルパ
      カハマルカの惨劇
      ピサロはなぜ勝利できたか
      銃・病原菌・鉄
    第2部 食料生産にまつわる謎
     第4章 食料生産と征服戦争
      食料生産と植民
      馬の家畜化と征服戦争
      病原菌と征服戦争
     第5章 持てるものと持たざるものの歴史
      食料生産の地域差
      食料生産の年代を推定する
      野生種と飼育栽培種
      一歩の差が大きな差へ
     第6章 農耕を始めた人と始めなかった人
      農耕民の登場
      食料生産の発祥
      時間と労力の配分
      農耕を始めた人と始めなかった人
      食料生産への移行をうながしたもの
     第7章 毒のないアーモンドのつくり方
      なぜ「栽培」を思いついたか
      排泄場は栽培実験場
      毒のあるアーモンドの栽培化
      突然変異種の選択
      栽培化された植物とされなかった植物
      食料生産システム
      オークが栽培化されなかった理由
      自然淘汰と人為的な淘汰
     第8章 リンゴのせいか、インディアンのせいか
      人間の問題なのか、植物の問題なのか
      栽培化の地域差
      肥沃三日月地帯での食料生産
      八種の「起源作物」
      動植物に関する知識
      ニューギニアの食料生産
      アメリカ東部の食料生産
      食料生産と狩猟採集の関係
      食料生産の開始を遅らせたもの
     第9章 なぜシマウマは家畜にならなかったのか
      アンナ・カレーニナの原則
      大型哺乳類と小型哺乳類
      「由緒ある家畜」
      家畜化可能な哺乳類の地域差
      他の地域からの家畜の受け容れ
      家畜の初期段階としてのペット
      すみやかな家畜化
      繰り返し家畜化された動物
      家畜化に失敗した動物
      家畜化されなかった六つの理由
      地理的分布、進化、生態系
     第10章 大地の広がる方向と住民の運命
      各大陸の地理的な広がり
      食料生産の伝播の速度
      西南アジアからの食料生産の広がり
      東西方面への伝播はなぜ早かったか
      南北方向への伝播はなぜ遅かったか
      アメリカ大陸における農作物の伝播
      技術・発明の伝播
    第3部 銃・病原菌・鉄の謎
     第11章 家畜がくれた死の贈り物
      動物由来の感染症
      進化の産物としての病原菌
      症状は病原菌の策略
      流行病とその周期
      集団病と人口密度
      農業・都市の勃興と集団病
      家畜と人間の共通感染症
      病原菌の巧みな適応
      旧大陸からやってきた病原菌
      新大陸特有の集団感染症がなかった理由
      ヨーロッパ人のとんでもない贈り物

  • 記述は詳細を究め、正直に言うと冗長に感じたが、論旨は明快。

    文明の伝達はなぜ一方通行だったのか?について、農耕、家畜化、病原菌を切り口に論証していく。それは生物学的な違いでなく、あくまで地理的な特性の違いであったのだ。

    前半を読んで、残忍で狡猾なものが生き残るという教訓はきついけれどももっともだ。

    ・世界で最初に土器を発明したのは、日本の狩猟採集民だった。
    ・ミトコンドリアDNAを調べる分子レベルの研究は最初、現生人類のアフリカ起源説を示唆するものとされていたが、現在では疑問視されている。
    ・何千年という間、家畜化可能な動物を手にできる立場にあった人々も、4500年前に家畜化された由緒ある14種以外の大型哺乳類を家畜化することはできなかった。
    ・スフィンクスやピラミッドは、エジプト独自で栽培化された作物ではなく、肥沃三日月地帯を起源とする作物を食べたエジプト人によって建設された。
    ・驚くべきことに、人類史上よく知られる伝染病が最初に発生したのは比較的最近。※群居性の動物の家畜化の影響。

  • なぜ今日の世界はかくあるのか。なぜヨーロッパが世界を支配するに至り、アフリカや新世界がユーラシアを支配するには至らなかったのか。歴史における究極のwhy。

    本書では、まず、ユーラシアが新世界やアフリカ、オーストラリアを支配できた直接の要因を病原菌の進化と、文字の発展に支えられた銃や鉄などの技術の発達だと考察する。そして、この要因を生み出した究極の要因を、食料生産の発達の差に求める。すなわち、食料生産を発達させた集団は、余剰食糧を生み出す。社会の分業化が可能になり、またより人口が稠密になったことで、技術の発展と病原菌の進化が促進されたのだ。また、病原菌の発達には家畜の利用が重要な役割を果たしている、

    では、その究極の要因である食料生産の差異はどのようにして生まれたのか。それは民族間の能力差によるものではなく、ひとえに自然条件の差によるものである。メソポタミアの地は、地中海性気候であることに加え、栽培に適した植物、家畜化に適した動物が他の地域と比べて段違いに豊富に存在した。メソポタミアは、他の農耕発祥地と比べてもより早く、より強力に食料生産を発達させ、そのアドバンテージは地中海世界をはじめ東西方向に延びるユーラシア大陸へと急速に広がっていった。一方、農業に適した地域であっても、飼育栽培に適した種が乏しいため食料生産が開始されなかった地域もあった。また、サヘル地域やアンデス、メキシコなどでは食料生産が独自に始まったが、品種が貧弱であった。特に家畜の差は決定的である。また、アメリカ大陸もアフリカ大陸も南北方向に伸びる大陸であったため、これらの地から緯度に伴い自然環境が大きく異なる大陸全体へと伝播していくことはなかなか難しかった。上巻ではこのように説明の根本を成す論理が丁寧に説明されたが、下巻ではこの論理に沿って、各地域の間にどのように病原菌や技術における差が生じていったかがより具体的に描写されていくのだろう。

    文理を問わず様々な領域に精通した著者が、各分野の知見を学際的に総合して人類史の根底にある問いを解き明かしていく様は見事の一言である。よく順序付けられた明確な問い立てとそれへの正面からの考察により、非常にわかりやすく論理的に議論は展開していく。

    まだ下巻を読了していないが、私が抱いた更なる疑問点は次の2つだ。まず、人類史の軸として地中海世界と双璧をなす、東アジア世界の食糧生産の発展の過程はどのようなものだったのか。その後の中華世界の発展をみるに、本書で詳細に論じられていたメソポタミア同様、他の地域と比べて有利な形で食料生産が発展したとの推測は立つ。もう一つの疑問点としては、本書はおそらくなぜ近代までの歴史のおいてユーラシアが他の大陸を圧倒したのかについては明らかにしてくれる。しかし、なぜ、19-20世紀以降、ユーラシアのなかでも、西アジアでも東アジアでもなく特に欧米が世界を支配するようになったのだろうか。ただ、この問いは本書が扱っている究極の問いよりはいくぶん考えやすいであろう。なぜなら、欧米の優位が確定した直近のイシューとして第2次世界大戦でなぜ日本は敗北したかというのは考察する価値があるとしても、究極的には、なぜ西欧で産業革命が最初に起きたのかという問いに概ね帰着するであろうから。

  • 面白いが、若干長ったらしい。

    インカの逸話は始めて知ったので凄かった。

  • 歴史を、集団の大きさと南北方向の文化伝播が遅く東西方向が速いことから読み解こうと。今読んでもすごい。迫力がある。停滞してしまう話が中国だけなのがちょっと残念。ほかにもありそうなんだけどなあ。

  • 面白い結論がいくつかある。肯定意見だけでなく否定意見についても言及していて良い。ただ文章が長く細かい数字も多いため、自分の興味のある個所はしっかり読み、あまり興味がない個所はざっくり読んでいくとよいと思う。

  • 多様性は、これらの島々の総人口や人口密度が島によって異なっていることに関係している。

  • ・紀元前1万1000年前の最終氷河期が終わった段階では横一閃だった世界の人類は、どのようにして格差(文明的)が広がったのか、興味深い考察あり

    ・環境によるものであり、生物学的な差異によらない

    ・マオリ族 VS モリオリ族

    ・農耕をやるようになって富の集中が起きた

    ・ピサロのインカ帝国侵略の話

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著者プロフィール

ジャレド・ダイアモンド
1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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