文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)

制作 : 倉骨彰 
  • 草思社
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本棚登録 : 6285
レビュー : 440
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794218780

感想・レビュー・書評

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  • こんなに読みやすくおもしろい本だとは?!!もっと早く読めばよかったです。文庫化したのは2013夏くらいだった気がしますが、本当にありがたいです。
    著者は生理学者、進化生物学者、生物地理学者。そういうことを極めていると、しぜん歴史が見えてくるのかもしれません。1万3千年の進化が。
    ゴンブリッヂの世界史は挫折してしまったのですが(おそらくドイツの子供達に向けて書かれた本だったため。キリスト教圏外の人間には、まずキリスト教信者になった自分を想定して、頭の中で一度文章を変換する必要があった)、これは2日あれば読めそうです。
    問いがはっきりしていて、しかも一つなので、私のような基礎教養のない人間でもとても読みやすいです。

  • 上下巻、まとめての感想ですが、長い、とにかく長いし、話が冗長です。興味は深い内容ではあるものの、同じことを何度も何度も何度も繰り返されると、それさっきも聞いたから、と言いたくなります。上巻はそれなりに面白くは読みましたが、下巻は完全に余剰だと思います。題材がこの人の手に余っている感じ。同じことを繰り返すのをやめて、論文風(あくまで“風”ですが)に詳しく経過を書くのをやめて、ざっくり1冊に短くまとめた方が面白いんじゃないか。好きなことを好きなだけ書くのもいいですが、重要なのはいかに削るかですよ、なんて偉そうに言ってみる。
    そもそもこのタイトルと内容があっていないような。確かに銃・病原菌・鉄はありますが、一番主張しているところって、そこじゃないので。どうなんでしょう?
    内容としては、ふむふむと納得しそうになりますが、Amazonのレビューあたりを読むとトンデモの気配もあるので、こういう考えも面白いよねーと話を差し引いて受け止めておいた方がよいのかなと。

    ついでに、日本語訳が読みづらいです。たぶん文法的に正しく訳してらっしゃるとは思うのですが、個人的には日本語の読み物として読みやすくはなかったかなと。

  • 本当の名著。誰もが深く考えずに決めつけてる偏見をあっさり覆す。上巻だけでもいいかも。

  • 知識をインプットしようとしなくても、読むだけで賢くなれるような気がする本だ。

    理路整然と語られていく文章に、頷きながら食い入るように読み耽っていたら、気付いた時には上巻が終わってしまった。

  • なぜシマウマは家畜にならなかったのか?
     「幸福な家庭はどれも似たようなものだが、不幸な家庭はそれぞれに不幸なものである」というトルストイの小説アンナカレニーナがある。 男女が幸せであるためには、金銭感覚とか宗教とか親類への対応といった色々な重要な事柄について一つでも欠けてしまうと、幸せな家庭にならないうのが、アンナカレニーナの原則だ。 シマウマは気性が荒いという一点で普通の馬とは異なり、人間の家畜になることはなかった。 同じように、アフリカ原産のキリンも、カバも、象も、サイも水牛も、人間の家畜になることはなかった。 人を襲う、成長に時間がかかる、複雑な生殖行為を行うなど、家畜として重要な事項が欠けていたのである。一方、ユーラシア大陸は、牛、馬、ロバ、豚、羊、ヤギなど家畜に向いた気性の動物が豊富であったため、大型の家畜が田畑を耕し、穀物を運び、穀物生産を増加させ、ミルクや食肉でたんぱく質を人間に提供し、人口増加と文化の進展に重要な役割を果たしたのである。

  • 20130321読了。
    なぜこの民族は滅ぼされたのか、なぜこの動物は家畜になってあの動物はならなかったのか、致死率の高い病原菌とそうでない病原菌の違いなど、なんとなくわかっているような気がしていたことを、クリアにしてくれる。
    目からウロコとまでは行かないかもしれないが、でもかなり興味深い。

  • この本は「人類社会の歴史は、それぞれの大陸によってかくも異なる経路をたどって発展したのだろうか?」という筆者の疑問について論じたものである。1万3000年前(最後の氷河期の終わり)から現在までの人類史を辿りながら、分子生物学、進化生物学、生物地理学等々・・・といった多様な学問分野の知見を援用し、各時点で生じた歴史的事象について論証していく様は、スリリングで、楽しく読み進めることができる。

    上巻で触れられる主だった問いは、各大陸間で狩猟採集民族から農耕民族への移行時期が大幅に異なったのはなぜか?というものである。この問いに対し、著者は、環境的要因(気候、野生植物、動物の分布、大陸もしくは島々の連なる方向)に主たる理由があると主張する。

    代表的な論拠を挙げると、古代メソポタミアの肥沃三日月地帯では、小麦、大麦、エンドウなどの野生種があり、栽培への移行が可能な状態にあった(実際に約1万年前から栽培が開始されたとみられている)のに対し、同じ温帯に属する北アメリカでは、野生種のあったトウモロコシの栽培に相当の時間を要することとなった。
    この違いは、古代メソポタミア人と北アメリカ先住民の知識差異によるものではなく、単に小麦、大麦、エンドウは表皮が薄く栽培化が容易であったのに対し、トウモロコシの野生種のひとつと推定されているテオシントという植物が、表皮が食べられないほど堅く実が小さかったためである。トウモロコシの食用には、徹底的な品種改良が必要とされ、何世紀もの時間が必要とされたのではないかと、現在も考古学者の間で議論されているという。

    こうした土地による初期条件の差異に加えて、狩猟採集を行うことと農耕を行うことのトレードオフを考慮すると(当然両方を一度に行えないので、より便益の高い一方を優先することとなる)、大陸・地域毎に農耕民族への移行の時期が大きく異なることとなったのは十分に説得力がある。なお、農耕民族への移行の時間的ラグが、文明の発展に以後どのように対応し、現代世界の勢力図に影響を及ぼしたか、については下巻で語られる。

  • 我々が歴史を振り返るとき、現代は進歩していて過去は未開である、と無意識に判断しがちである。ニューギニアの人食い民族は未開な野蛮人で、それらを早く西欧社会の先進国の方向に導かなければならない。そう考えて覇権主義を唱えてきた正義の国だって存在している。

    一方で、素朴な疑問も湧いてくる。圧倒的な栄華を誇ったインカ帝国はどうして少数のスペイン人に滅ぼされたのか。逆に南米からヨーロッパに侵攻する可能性はなかったのか。あるいは、近代まで狩猟採集生活を続けてきた原住民と、産業革命を起こした欧米人を分けた要素は何だったのか。

    『銃・病原菌・鉄』というタイトルのとおり、狩猟採集から農耕へと食糧生産のスタイルが変化するにしたがって、余剰生産物が生まれ富の偏在が発生する。それが階級制度をつくり、やがて武力によって他の民族を侵略する“銃”の要素が生まれる。同様に、農耕によってある程度の人口密度が達成されると、そこに疫病が発生する。早期に免疫を得た民族に比べて、疫病に耐性のない民族は脆い。あるいは、鉄鉱石などの鉱物資源の偏在によっても国力の強さが規定されていく。

    このような環境条件にしたがって、現代社会の構造が成り立っている。世界の多くの地で先住民を追いやったヨーロッパ系民族は、もともとは辺境の異端民族でしかなく、数々の偶然的要素によっていまの覇権構造がつくられていることが理解できる。

    そこには西洋文明が正しいとか狩猟採集生活が間違っているといった判断基準ではなく、環境条件が変化するにしたがって支配的になるライフスタイルも替わるという当たり前の事実が示唆される。謙虚に歴史から学びながら、持続不可能な現代社会をどのように変えていくのか。我々に突き付けられた課題は重い。

  • 高校では歴史を選択できなかったせいもあってか、中学ぐらいの知識しかなかったのですが、この本の視点は非常におもしろかったです。
    そして日常当たり前のようにある食物や家畜などについても整理されていて、気付かされることも多かったです。

    アメリカ大陸やアフリカ大陸が南北に長い陸地であるのに対し、ユーラシア大陸が東西に長い大地であることの反映ともいえる。そして人類の歴史の運命は、このちがいを軸に展開していったのである。

    この一文で表されるところが紐解かれていきます。

  • ニューギニア人の「なぜ欧米の人々は繁栄し、様々な物を生み出しているが、ニューギニアの人々は何も持たないのか?その差はどこにあるのか?」という質問に対して、博士が25年の研究成果をまとめ答えたものがこの一冊である。スペイン人がインカ帝国を滅ぼしたのはよく知られているが、その差が生まれたのは何故か?という疑問に明確に答えてくれるのが本書だと思う。文系的な考察によりがちな歴史学を分子生物学、考古学、言語学の「証拠」を元に論理的に説明してくれる本書は、理系の人にも本当に読みやすくて知的好奇心を満足させてくれること間違いなし!お勧めの一冊である!

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著者プロフィール

ジャレド・ダイアモンド
1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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