文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫 ダ 1-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794218797

感想・レビュー・書評

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  • 3月末からやたら忙しくなったのと(=コロナとは全く無関係)、環境が変わったのと(=コロナが影響した部分も少しある)、そしてNetflixがおもしろすぎるおかげで(=コロナは関係なし。ただパンデミック映画は見た)いろいろあって本をずっと読んでいない。そして、読めなくても特に支障はない。だいたい映画やドキュメンタリー、ドラマと本は、私の中ではあまり明確な区別がなく、どれかがあれば満たされるからかも。
    そんなわけで、ブクログのことも半ば忘れていて、この本と、この後に読んだ「フィールド言語学者、かく語りき」の感想もあとで書こうと思ってそのままで・・・やはり今思い出そうとしても内容をすっかり忘れてしまっている。

    両方ともすごくおもしろかったし、二つの本は内容的に少しリンクしていたりもして、読み終わった後はいろいろとあれこれ思いを巡らせていたんだけどなぁ。感想書いとかなくちゃーと思っていたのに、それが何か思い出せない。

    でも、とにかくすごくおもしろかったです。
    上巻と比べると驚きは少なかったような気はするけど、読み終わった後、激しく満足したのは覚えています。自分の中にある、人種への偏見と思い込みが大きく払拭された。(そんな偏見など持っていないと思っていたことに今は逆に驚く)

  • ヨーロッパ人が人類を支配していく歴史を説明する本
    ヨーロッパが持っていた優位性などについて語る

    ユーラシア大陸では大陸が東西に伸びることにより動物、植物が伝播しやすかった
    家畜として適している動物の種類はそこまで多くない
    餌、成長速度、繁殖、気性、パニック、序列化

    家畜、動物により新たな病気が人間に伝わる
    伝染病によりアメリカ大陸の先住民の95%が亡くなった、その後にスペイン人の征服が始まった

  • 歴史を科学と捉え、科学と同様の一般則を導こうという壮大な試み。
    なぜヨーロッパ人がアメリカ大陸を征服し、アメリカ先住民がヨーロッパを征服しなかったのか。なぜ世界を席巻したのがヨーロッパ人であって中国人でなかったのか。納得できる理論が展開される。

  • 多少冗長気味な感は否めないが、内容はやはり面白い。
    世界の歴史を紐解く謎解き。圧倒的なストーリー性。難解な内容も丁寧に構成をたてればこれほど面白い本になるのだと感動する。人、国家、文明は環境によって左右される。現代においてもそれは同じ。興味深いのは中国の話。内に閉ざした文明は発展を妨げる。現代のネット社会は見えないなにかに統合されるような感覚を受けるか、それは人類にとって良いことなのか、悪いことなのか。本書のように問題を俯瞰してみれればまた違った見方ができそう。
    歴史は実験できないという制約を、条件の近い複数の事例を比較して仮想実験に見立てて突破していくのが素晴らしい。

  • やっと下巻も読み終えた。

    上巻を補足する形で、オーストラリア、中国、アフリカの発展形態が述べられる。特に興味深かったのは言語と人種とのかかわり。言語の祖語や派生語を調べると、その人種、民族がどこからきたのか、つながりが分かるというところ。たとえばアフリカ東のマダガスカル島にはボルネオ由来の言語があり、それゆえそこからの人種の伝搬が分かるという。

    人類の長い歴史が大陸ごとに異なるのは、それぞれの大陸に居住していた人々が生まれつき異なっていたからではなく、それぞれの大陸ごとに環境が異なっていたからである。

    今あるような世界の形態、国家や民族の発展形態は植物の栽培化、動物の家畜化、製鉄などの技術の伝搬の遅い早いにかかわってくる。そしてそれは地理的要因に支配される。人種が劣っているからではない。

    12章 文字をつくった人と借りた人
    文字の発生は楔形文字のシュメール(中東)、中国、中米(マヤ)、エジプトとされるが、文字の誕生には、数千年にわたる食糧生産の歴史が必要だった。それらは植物の栽培化の発祥の地域とも重なっている。その地域では食糧に余裕ができ階層化が進み、上部の者が徴税などの記録として必要とした。そしてユーラシア各地に伝わった。狩猟民族に文字は生まれなかった。

    14章 平等な社会から集権的な社会へ
    社会の複雑化は、家族小集団、小規模血縁集団、部族社会、首長社会、国家へと進む。

    第4部 世界に横たわる謎~オーストラリア、ニューギニア、中国、アフリカ
    オーストラリアは砂漠が多く栽培化できる植物や家畜化できる動物がいなかった。それゆえアボリジニは狩猟採集民のままだった。

    中国は広大な土地をかなり早い段階で秦の始皇帝が統一し言語的にもまとまった。これは東西を流れる揚子江、黄河、さらにそれら二つを結ぶ運河もあり交流ができたからである。これに対し狭いヨーロッパで統一国家が生まれなかったのは、山脈が障壁となったり、河川もヨーロッパ全土を結ような大河ではなかったからである。

    南北アメリカではいくつかの古代文明が栄えたが、こちらもメキシコの砂漠、中米の熱帯などそれぞれは孤立していた。それゆえある種の発明や技術(鉄、車輪、馬、文字等)が伝搬されず不在であった。それが1492年時点で、ヨーロッパ人に滅ぼされた原因である。

    アフリカにもいくつかの人種がいたが農耕民が狩猟民(ピグミー族、ブッシュマン)などを取り囲む形で駆逐した。アメリカと同じく砂漠があり技術が伝わるのが遅かったため、ヨーロッパ社会と遭遇した時、植民地化されてしまった。


    2000単行本 2012.2.10文庫 2020.5.8第35刷
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  • 第3部の続きでは、狩猟採集生活から農耕生活に移行した後、文字を作り、技術を発明し、社会の人工が増えて構造が複雑化していく全体的な流れの傾向を追っていく。その時点までについていた差や、環境因子によって、常に開発する側と受け入れる側、侵略する側とされる側という関係性が生まれる。
    第4部では、オセアニア、中国、太平洋地域、アメリカ大陸、アフリカと地域ごとに、人類の到達から現時点にいたるまでの動きを解き明かしていくが、基本的には、第3部までに書かれた仮説が適用されている。

    新しい学びが多かったので本当におすすめ。読むのはちょっと大変。(長いし、同じ話が何度も出てくる)
    読み終わって、1万3000年に渡っての地球上での人類の動きが頭の中で思い浮かぶようになったし、地球全体を眺める目線が変わったと思う。オーストロネシア人の拡散が一番ドラマチックだったかな。まさかマダガスカルまでとは!

  • 新型コロナウイルスの感染拡大の中読了。
    著者は人種や民族による生物的な差異が歴史的発展に影響を及ぼしたのではなく、居住環境の差異によるものであると述べているところが興味深い。大陸の自然環境や生物環境が社会の発展の勝敗に影響を及ぼしている。家畜が可能な動物がアフリカ大陸には少なかったというのは驚きである。そして今世界中を恐怖に陥れている病原菌は家畜の動物からがほとんどいうことで、人間の社会の発展に病原菌はついて回ってくるものなのだと改めて認識させられた。

  • これぞ名著、読み終えて感動にうち震える。壮大なテーマの人類史。
    ユーラシア、アフリカ、アメリカ、オーストリア。なぜユーラシア大陸の人々が築いた文明が広まったのか。
    生物、地理、歴史。一つのジャンルに留まらない大きなテーマで描く。
    農耕の可能な植物、家畜化の可能な野生動物の存在。東西に長く伝播しやすい気候と地形。長い定住の歴史による免疫の獲得などの要因。
    そういえば新型コロナはコウモリからヒト型ウイルスに変化したとも言われている。人類の長い歴史、家畜からヒトへ感染した様々な病気との戦いの歴史があり、今も続いているようだ。
    知的好奇心をくすぐる作品。

  • ジャレドダイアモンド「銃・病原菌・鉄」http://soshisha.com/book_search/detail/1_1005.html 読んだ。面白かった!冗長だけど考察は興味深いし人種差別的な文化論を深掘ってて大学の講義みたい。文字を借りる、文化伝播と緯度、疫病に対する免疫有無と新地征服、オーストラリアの特異性、道具の使い方の発明、などなど(おわり

  • ここまで多様な進化を遂げてきたのは、人種ではなく、地理的、環境的な要因によってというのを元に、様々な地域を考察している。今はあらゆる交流が盛んに行われているため、病原菌への抵抗ができていたり、新しいものがどんどんと使われていくことになっている。
    でも、この文化、人などの交流が物理的障害を越えようとしていて、その交流によって、目に見えない侵略や文化の消滅が進んでいるように感じる。
    今、私たちの知っているような政治システム、文化ではなく、交流が活発に行われていない地域でも、より物理的交流が盛んになり、その国の文化が、また品種改良や技術によって、その未だしらぬ地域に適したものになった時、その地域の固有の文化はどんどんと変化して、また失われていくのかもしれない。

  • 上巻と同様、面白かった。マダガスカルなど、行ってみたいなあ。

  • 言わずと知れた人類史の総決算的な本。なぜ欧州が他の世界中の地域を支配することができたのか。銃・病原菌・鉄は、支配するための直接的な要因であるが、なぜ欧州は他の地域に先んじて技術を発展させることができたのか。農業はどのように生まれたのか。

    とても長いけど、とても面白い。

  •  文字は世界にどう伝わったか、もしくは伝わらなかったのか。
     発明はなぜ起きたか、もしくは起きなかったか。
     社会はどのように構成されたのか、もしくはされなかったのか。

     人類の文化の発展レベルになぜ差が起きたのか。
     一言でまとめると、地域による、というもの。

     途中から読むのが苦痛になってきて流し読みしてた。
     人類史とはこういうもんなのか(KONAMI感)

  • 前巻より
    第三部 銃・病原菌・鉄の謎(承前)

    第四部 世界に横たわる謎

    エピローグ 科学としての人類史

    ジャレド・ダイヤモンド博士が繰り返し主張するのは大陸間国家間の「持てるもの/持たざるもの」という格差は環境や偶然の産物であり決して人種を理由にしていないこと。それは胸に留めておきたい。人種や性別は関係ない

  • なぜ片方の大陸の人間だけが銃を持ち、もう片方はヤリだったのか?
    その理由は、気候、地形、家畜、栽培可能な野生種、の存在が非常に大きいと説く。
    多くの人が理解できるようにわかりやすくまとめられ、読み物としても第一級に面白く、また一方で、壮大なテーマに挑むにはまだまだこれじゃ物足りない、と思わせるすごい一冊。二冊?

  • 購入者:野澤

    *ブループラネット賞参考

    現在の所有者:岡山

  • なぜ南アメリカ大陸を侵略したのが白人で、南アメリカ人はヨーロッパを侵略しなかったのか。
    それは農耕、家畜、文字の違いだった。

  • 自然科学と社会科学の双方の視点から人類史を読み解く

    個人的には下記についての記載が興味深かった
    ・発明は必要の母
    ・技術は自己触媒的に発達する

  • 人類が(国家=エリア単位で)どうして”持つ者”と”持たざる者”に分かれたかの探求で、とても面白いのだけども、内容が詳細すぎて読んでて疲れてしまう。

    まるで学術論文の如く膨大な資料が逐一詳細に説明してあって、筆者のデータの集め方・分類の綿密な仕分けには圧倒されるものの、あまりにも細部に入りすぎてるところも多く、研究書としては良いのだろうが、読み物として見た場合、少しきつくなってしまった。

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著者プロフィール

1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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