良心をもたない人たち (草思社文庫)

制作 : Martha Staut  木村 博江 
  • 草思社 (2012年10月4日発売)
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  • レビュー :52
  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794219299

作品紹介・あらすじ

平然と嘘をつき、涙で同情を誘い、都合が悪くなると逆ギレをする-本来、人間に備わるはずの良心をもたないがゆえに、他者への思いやりが絶対的に欠落し、手段を選ばずに自分の欲望を満たそうとする人たちがいる。25人に1人いるとされる"良心をもたないサイコパス"の実態を心理セラピストが明かす。彼らの被害者にならないための見分け方と対処法を教える一冊。

良心をもたない人たち (草思社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 何度目かの読了。今回はレビューも残しておこうと思う。
    原題は「となりのサイコパス」。
    タイトルだけ聞くと冷酷非情な犯罪者を想像しがちだが、実は良心を持たないひとの多くは家庭や社会の中に紛れ込んでおり、米国ではなんと25人に1人の割合で存在するという。
    ひとクラスに一人か二人はいるということだ。
    つまり、誰しもが出会っている可能性がかなり高い。
    この本は、良心の欠如した人間に傷つけられ、トラウマに悩む患者を25年に渡って治療してきた著者が、実体験をもとに、そのようなごく身近で目立たないサイコパスについて、良心ある人々に警告を発するためにまとめたものだ。

    まず最初に、良心を持たないひとというのは確実に存在するということからスタート。
    人は皆同じはずだとか、対話が大切だとかそういった妄想は捨て去ること。
    私自身、過去にそういう人に二度出会っていて、かなり長期間苦しめられた経験がある。
    まさか良心を持たないとは想像だにしなかったため、自分の接し方が悪いのかとずいぶん悩んだ。更に「まさか」なのは、その人は(ふたりとも)聖職者だった。
    後からよくよく考えれば違和感を抱いた瞬間というのは何度もあったのに、自らの感覚に蓋をしたのだ。まさか。そんなこと。悪いのはこちらに違いないと。

    彼らの共通点は、ひとが避けたがるような話題を非常に好むという点だった。
    残酷な犯罪の話や、身近なひとの悪い噂、誰かの失敗など、目を輝かせて嬉々として話す。
    嫌だという意思表示をしても通じないのは、自分が楽しいことは相手も楽しいと思うからだろう。
    だが、その同じ口で、神の愛を説くひとたちなのだ。
    実に口が上手く、笑顔を絶やさずジョークも上手く、外見に必要以上に気を遣うだけあって、とにかく魅力的だった。
    だがそれはサイコパスの特徴のひとつに過ぎなかったと、今では良く分かる。

    この本の中ではその他にもいくつかのサイコパスの特徴を述べているが、もちろん著者は、自分自身や身近にいる人を軽々しく診断してはならないと戒めてもいる。
    平然とひとを傷つける人は、魅力的で口が上手いことを利用して次々にゲームに勝ち、まわりを支配することを目指す。そして犠牲者を増やしていく。
    サイコパスが生まれるのは遺伝によるものか環境のせいか、そしてなぜひとは身近にいる危険な人間に気が付かないのか、現実にそういうひとに遭遇したらどのようにしたら良いのか。
    それらの点が、実に解りやすく書かれてる。

    見分け方のひとつとして括目したのは、サイコパスは「空涙を流す」という点。
    いわゆる「嘘泣き」をするのだ。これは私もこの眼で見たので、心底合点がいく。

    サイコパスに対する文化の影響も挙げられていて、個人主義が強い欧米諸国に比べて集団本位で人と人の相互間家が重んじられるアジアの国々(特に日本と中国)では
    サイコパスの割合が低いらしい。
    とは言え、連日のように報道される事件を聞くと、暗澹たる思いになる。
    良心が片隅に追いやられる現代に、この本の持つ意味は大きい。
    もう一度互いの絆を大切にすることを思い起こし、良心を持つことの大切さを考えたい。
    なまじ良心があるために、人生が思い通りに行かなかったり、損をしたり痛い目にあったりするかもしれない。
    だが、著者の言葉を借りれば「良心は母なる自然のよき贈り物」だ。
    他のひとたちといることから生まれる温かさをじゅうぶん享受して、それを伝えて行こう。

    レビューに載せた自分自身の体験だが、その後私は全力を挙げて彼らと闘い離れた。
    人前で、これでもかと言うほど罵倒された。ストーカーまがいのこともされた。
    でもそんな脅しにはのらなかった。それで良かったのだ。
    入信しないからと言うだけで攻撃される覚えなどさらさら無かった。
    それに、良心ある人たちと結ぶ絆の方が、はるかに幸せをもたらすものだから。

  • 1 ジョーのジレンマ

    打ち合わせをとるか、犬をとるか
    ジョーは良心にしたがったのか?
    良心は愛着から生まれる義務感
    良心の歴史
    判断のまちがいが悪しき行動のもと?
    自分の行動を見張るスーパーエゴ
    愛にもとづく良心、恐怖にもとづくスーパーエゴ
    2 氷人間スキップ

    カエルの虐殺を楽しむ
    スーパースキップの大出世
    リスクをものともせずにのしあがる
    きずなが結べずゲームに走る
    切手を盗みつづけたポストマン
    彼らは自分にむなしさを感じるか?
    3 良心が眠るとき

    身体的なものが良心にあたえる影響
    ”もの”として見られる人たち
    良心は権威に弱い?
    権威の大きさが服従心に影響する
    良心を目覚めさせておく
    4 世界一、感じのいい人

    患者を打ちのめす医師
    強欲なサイコパス
    サイコパスが有罪になる率は低い
    5 なぜ人は身近なサイコパスに気づかないのか

    良心のない人たちが使うさまざまなテクニック
    魅力を武器にする
    ぼくと君とは似た者同士だ
    得意わざは空涙
    人びとをあおるのがうまい
    ねらわれた人は自分を責める
    「善い人たちって、いつも自分が正しいと思ってるのね」
    6 良心をもたない人の見分け方

    善良な人は目をつぶりがち
    人はついサイコパスに同情する
    かわいそうなルーク
    人に依存するタイプのサイコパス
    最後は泣き落としにでる
    7 なにが良心のない人をつくりあげるのか

    サイコパスは遺伝によるもの?
    「愛」にも「椅子」にもおなじ反応をする
    愛を感じられない
    ナルシシズムとのちがい
    幼児期の虐待はサイコパシーに影響するか
    愛着障害がサイコパスをつくりだす?
    サイコパシーにたいする文化の影響
    きずなの大切さを教える東洋の国々
    優秀な戦士になれる
    8 となりのサイコパス

    ”だれにも好かれる”高校の校長
    浮かびあがる卑劣な人物像
    はがれた仮面
    良心のない人に対処する13のルール
    1 世の中には文字通り良心のない人たちもいるという、苦い薬を飲み込むこと。
    2 自分の直感と、相手の肩書き―教育者、医師、指導者、動物愛好家、人道主義者、親―が伝えるものとのあいだで判断が分かれたら、自分の直感にしたがうこと。
    3 どんな種類の関係であれ、新たなつきあいがはじまったときは、相手の言葉、約束、責任について、「3回の原則」をあてはめてみること。
    4 権威を疑うこと。
    5 調子のいい言葉を疑うこと。
    6 必要なときは、尊敬の意味を自分に問いなおすこと。
    7 ゲームに加わらないこと。
    8 サイコパスから身を守る最良の方法は、相手を避けること、いかなる種類の連絡も絶つこと。
    9 人に同情しやすい自分の性格に、疑問をもつこと。
    10 治らないものを、治そうとしないこと。
    11 同情からであれ、その他どんな理由からであれ、サイコパスが素顔を隠す手伝いは絶対にしないこと。
    12 自分の心を守ること。
    13 しあわせに生きること。
    9 良心はいかに選択されてきたか

    弱肉強食の世界で良心は役に立つか
    利他的行動はなぜ進化したのか
    自分の遺伝子を多く残すために血縁を守る
    自然淘汰は良心をもたない少数派もつくりだした
    子どもの成長と良心の発達
    女性は正義より思いやりを重んじる
    道徳的判断は文化圏によってもちがう
    時間と距離を超えるきずな
    10 なぜ良心はよいものなのか

    サイコパスはしあわせになれるか
    哀れな末路をたどりがち
    死ぬほどの退屈を味わう
    最後は敗者に
    良心が人一倍大きい人はしあわせか

    • fotovisionさん
      避け方をまとめてくださってありがとうございます。とても役に立ちます。
      2016/05/05
  • 自分の良心に疑いがあって読んだ本。
    結果、良心がない人の行動メカニズムを知って、自分とは違うことがわかった。
    自分の場合は良心が無いわけではなく、共感能力が低いだけ。まったく欠如している人とは違うなぁと思った。

  • 良心をもたない人とは、サイコパスと言われる人のことである。
    まず、サイコパスと言われる人たちが、それ以外の人と何が違うかというと、良心のあるなしである。
    それを知っただけで本書を読む意義があった。
    彼らからどのような被害を受けうるかや、彼らの見分け方、近くに彼らがいた場合の対処法なども書かれている。
    しかし、良心についての記述に関しては、分かったような分からないようなというのが正直なところである。

    良心のない人に対処する13のルール(p209)
    1.世の中には文字通り良心のない人たちもいるという、苦い薬を飲みこむこと。
    2.自分の直感と、相手の肩書―教育者、医師、指導者、動物愛好家、人道主義者、親―が伝えるものとのあいだで判断が分かれたら、自分の直感にしたがうこと。
    3.どんな種類の関係であれ、新たなつきあいがはじまったときは、相手の言葉、約束、責任について、「三回の原則」をあてはめてみること。
    4.権威を疑うこと。
    5.調子のいい言葉を疑うこと。
    6.必要なときは、尊敬の意味を自分に問いなおすこと。
    7.ゲームに加わらないこと。
    8.サイコパスから身を守る最良の方法は、相手を避けること、いかなる種類の連絡も絶つこと。
    9.人に同情しやすい自分の性格に、疑問をもつこと。
    10.治らないものを、治そうとしないこと。
    11.同情からであれ、その他どんな理由かれであれ、サイコパスが素顔を隠す手伝いは絶対にしないこと。
    12.自分の心を守ること。
    13.しあわせに生きること。

  • 「サイコパスの大脳皮質には感情的な言葉(愛してるなど)にも、中立的な言葉(ペンなど)にも、同じように反応した」

    良心をもたない=サイコパスについて述べられた一冊。
    脳の反応からも、感情的な愛着から生まれる義務感である良心が欠落しており、あらゆる感情的機能が失われた存在であることがわかりました。

    今後サイコパスと出会う確率は25人に1人と低くないので、その時のために留意しておきたいと思いました。

  • 「隣のサイコパス」らしき人物に出会い、ひょっとしてと思い手に取った。東アジアにはサイコパスが少ないと書いてあったけれども、いた。サイコパスは遺伝も大きく起因しているそうだけれど、環境的要因も大きいらしい。
    一つには個人主義が推奨される国には多いという。今の日本は、完全にそちらに舵を切った。これからサイコパスが増えることは、まず間違いないと本書を読んで思った。

  • こういう人間はやっぱり存在するのだ
    私もちょいちょい出会ってます(ここまでじゃないけど)

  • “文庫版のためのあとがき”にあるとおり、サイコパスについて解説していながら、「良心とはなにか」について考えさせられる本。(サイコパスに限らず)人間の本質にかかわる部分を科学的な目で捉えようとしている。
    ただ、だからこそ、サイコパスについて読もうとしているととても長くて回りくどく感じる。関連する話が間に長く続くと退屈してしまう。なので、別の章に独立して記載するか、省くかした方が良いのではと個人的に感じた。

  • 良心を持たない人を単なる「いじわるな人」として片付けず広く深く言及している。
    なるほど~と思うことが多く、一読の価値があった。

  • サイコパスからは全力で逃げることこそが自己防衛。そして、幸福になることが最大の復讐。

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