文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

制作 : Jared Diamond  楡井 浩一 
  • 草思社
4.06
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本棚登録 : 1293
レビュー : 81
  • Amazon.co.jp ・本 (553ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794219398

作品紹介・あらすじ

中米のマヤ、北米のアナサジ、東ポリネシアのイースター島、グリーンランドのノルウェー人入植地、かつて隆盛を極めていた社会はなぜ崩壊し消滅してしまったのか。数々の文明崩壊の実例を検証し、共通するパターンを導き出していく。歴史上から消滅した社会が陥った恐るべき共通の崩壊要因とは?人類の謎といわれた古代、中世社会が辿った滅亡への道を解明する。ピュリッツァー賞受賞の著者による全米ベストセラー。

感想・レビュー・書評

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  • 「銃・病原菌・鉄」に続き、ダイアモンドさんの著書二冊目。
    期待を裏切らず素晴らしく情報の詰まった本で思慮深く過去の様々な文明が崩壊する様が描かれており現代人も気付く事が多い内容だと思います。
    崩壊した文明の例として描かれているのはイースター島、ピトケアン島とヘンダーソン島、アナサジ族、マヤの人々、ヴァイキング植民地時代のノルウェー領グリーンランドです。
    歴史の教科書に登場するいわゆる「四大文明」しか知らなかった私はひたすらこの本に登場する地の文明に驚くばかり。知らなかったことを知る、考えたこともなかった価値観の一端に触れる、というのは何歳になってもヤメラレナイ快感です。
    この本に登場する失われた文明のように、現在の私たちの世界が荒廃し、壊滅するのかまだ想像がつかないのですが、
    下巻を読み終わった時にはいつか必ず来る崩壊の時を少しでも想像出来るようになるとよいな、と思いました。

  • 邦題は少し大げさで、現代「Collapse, How societies choose to fail or succeed」からも分かるように、人間社会(文化)が崩壊するのはなぜか、という内容だ。世界各地の文化が、対立や孤立、衰弱を経て滅びるのは、その社会に内在する本質なのか、あるいは、自然災害や外敵の侵入など偶発的なのかについて検証する。著者は、主な要因として、自然環境の悪化、気候変動、隣接する敵対集団、友好な取引先、環境問題に関する社会の対応(適応)という次の5つの要素を挙げる。ただし、たとえばイースター島では、森林皆伐が社会の崩壊の引き金ではない可能性があるというなど、最新の学説もある。しかし、史実がどのような内容であったにせよ、著者が訴えるのは、持続的な社会を維持するためには、環境に対する意識を変え、行動することだという。全体を占める整った学説に対し、締めくくりとして語られる「環境意識の訴え」は、必然的帰結と言うより、プロパガンダと言えなくもなく、その点は多くの読者に指摘されているようだ。しかしながら、社会を価値観的に表現するなら、そのような前提があっても良いのかもしれない。

  • ジャレド・ダイアモンドによる時空を跨いだ壮大なスケールで描く歴史観。ただし、テーマは「滅亡」。
    まず最初に現代のアメリカの自然豊かなモンタナについて語られます。経済至上主義とは縁のないように見える
    自然豊かなこの地域にも避けがたい現代的な問題、特に環境破壊問題の波が押し寄せており、それによって
    限られた土地・水の争奪戦、それによる人間関係の問題があぶり出されます。ここから過去に滅びた文明に話がうつり、
    滅亡の原因について分析が始まりますが、それらには著者独自の崩壊パターンがあり、おおざっぱかもしれないけれども
    的を得た議論のように思えます。それは当然、現代文明にも当てはめることができ、過去の文明から未来の在り方を学ぶことが
    できるかもしれない。
    例えば環境破壊。製鉄、薪、放牧などによって森林伐採や草原の消失がそれらの回復力を上回ってしまうと、土壌が露出し、雨により
    養分が流され、ますます草木が育たない土地へと変わる。過去に栄えた文明では、もともと森林豊かだった場所が多いというのはよく聞く話。また、貿易相手国が環境破壊によって滅びたために、そのあおりを受けて 滅亡もしくは悲惨な目に遭ったというパターンもある。
    特にこのパターンはグローバル化がなにも現代初のシステムではなく、すでに過去において実践されているシステムであり、そのリスクも
    経験済みであることを意味しているが、 経済的なメリットばかりに焦点が行きがちなため、再び同じ轍を踏む可能性がある。
    上巻では滅亡の事例を挙げて終わっていますが、この先どのように展開していくのか。ジャレド・ダイアモンドは悲観論者ではなかった
    はずだったので、過去の事例をもとに将来どうあるべきか、その答えを聞くことができるのかが下巻の楽しみ方になりそうです。

  • イースター島、モンタナ州、マヤ文明、グリーンランドなどの何故そこにあった文明はなくなってしまったのかに関しての本。
    自然環境が非常に大きいんだけれど、思っていたよりちょっとした偶然で繁栄したり、簡単に滅んだりもするんだなって知った。

    グリーンランドやイースターに関しては特に人間の固定化した信念がもたらした崩壊って結構呆気ないというか。
    とりあえずヴァイキングに友好的と言う言葉はないんだなって思った。

  • 上下巻併せて約1000頁あるので、途中中だるみもしたが、とても楽しめた。
    「銃・病原菌・鉄」が文明興隆の条件について述べたものであるのに対して、本作品は反対の文明崩壊の条件を述べたもの。下巻でも作者が述べているが、単純に過去の文明崩壊を現在に当てはめることはできなくても、それから学び賢明な対応を考えることは可能なことである。
    単純な楽観主義にも悲観主義にも与しない、「慎重な楽観主義」という作者の主張には感銘を受けた。

  • 過去の文明崩壊を現代と絡ませながら語る。読ませる本だった。日本については、江戸時代の林業政策で褒めつつ、現代の途上国での森林開発で叩いてる。土壌流亡や森林伐採が文明崩壊に繋がるのがわかる。
    バイキングやアフリカ、マヤについて、ひいては世界史について、もっと知りたくなる。

  • あれだけ栄えていた文明がなぜ滅んだのか・・・環境、闘争、いろいろな観点に光を当て、解き明かしていく。現代文明への警鐘でもある。1,200円の分厚い文庫本。

  • 生活リズムが変わって電車通勤しなくなり読書時間が激減したタイミングでこの大作を読み始めてしまい、四ヶ月かかって読了。とはいえハッキリしたテーマに沿った作品なので途切れ途切れに読んでも問題なかったです。読み始めて二ケ月半ほど経った頃、宮脇昭先生の講演と植樹祭に参加する機会があり、この本を読んでいるタイミングでこのお話が聞けるとは、という偶然の妙を体験。日本は先進国の中でずばぬけて国土に占める森林が多いけれど、もともと土着の照葉樹林は94%失われており6%しか残っていないそうです。それを宮脇先生とその賛同者のボランティアの方々によって、一本ずつ植樹して少しずつ本来の植生に戻そう、という活動がなされています。『銃・病原菌・鉄』は、過去に起こった事象の要因をひも解くものでしたが、『文明崩壊』は過去の崩壊した文明の例を引きながら現代の我々が暮らす社会が崩壊の道へ向かっているかもしれないのを軌道修正するにはどうしたら良いか、どうしてそちらへ向かってしまうことになるのか、など、自分に通じる「今そこにある危機」について書かれているので、ドキドキしながら読みました。保存版にします。

  • ブログに感想かきました→http://d.hatena.ne.jp/victoria007/20130304/1362383708

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ジャレド・ダイアモンドの本は刺激的。「銃・病原菌・鉄」もコレも文庫になったので購入。もっと翻訳されて私達を楽しませて欲しいですね。。。
      ジャレド・ダイアモンドの本は刺激的。「銃・病原菌・鉄」もコレも文庫になったので購入。もっと翻訳されて私達を楽しませて欲しいですね。。。
      2013/04/09
  • 人類はいかにして生き延び、一部の種族はなぜ繁栄し滅びたか。花粉からこんなに昔のことがわかるなんて…すごい!

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著者プロフィール

ジャレド・ダイアモンド
1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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