文明崩壊 下: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (547ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794219404

作品紹介・あらすじ

人類の歴史には、転げ落ちるように崩壊した社会がある一方、危機に適確に対処し、乗り越えた社会もある。問題解決に成功した社会例として、徳川幕府の育林政策で森林再生を果たした江戸時代の日本、過酷な人口制限で社会のバランスを保つティコピア島等を検証する。さらに現代の危機として、中国やオーストラリアの惨状を分析し、崩壊を免れる道をさぐる。資源、環境、人口、経済格差など複雑化する崩壊の因子を探り、現代人の目指すべき方向を呈示する。

感想・レビュー・書評

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  • 文明がどのように姿を消したのか、また生き残るために社会がすべき意志決定について興味をもち手に取る。


    あまり興味のなかった環境問題の本を読んで、重大な意志決定を行う(長期的な繁栄と存続のため)には多面的に捉えることが重要であることなどをはじめ、物事の見方に大きく影響を受けました。


    上巻の内容の総括もふまえると、

    世界で人口の増加が進む中で食糧消費が増大し、
    それをまかなうために有限な資源(森林、海洋生物、農地)から
    再生可能量を超える過剰な生産を行うことで資源が枯渇していく恐れがある。
    これからの未来を人類がどう歩むべきかについてを現在発生しているいくつかの問題を例に挙げて論じている。


    上巻を踏まえても、国家や人類が長期的に存続していくためには、抱える問題をしっかりを捉え、短期的な利益だけを追求することなく、長期的に安定した利益を得られるような意志決定をしていくことが必要であることがわかる。

    国家は政治、経済を豊かに保つために様々な問題や情勢を踏まえて短期的、長期的に政策決定をしていくのだが、国内が抱える問題の規模などから短期的利益をもたらす選択を高い優先順位にすることが多いだろう。

    また現在の社会はグローバルに結び付き、資源などを相互依存しているため
    一国の利害を考えるだけで意志決定を行うことは非常に難しい。

    依存しあっているからこそ、ひとつの国で起こった問題の影響は波及していくことは過去の金融危機などからも明らかであろう。
    これは環境問題でも同じである。
    一つの有限な資源が枯渇したり制限がかかることは、多くの国に影響を与えることにつながる。

    長期的な繁栄を考える上で、環境問題は様々な利害関係が複雑にからみあっており、有限な資源をめぐっては、場合によっては双方ないしは全員に利益をもたらす選択をする、またはそのような選択を準備することは難しいだろう。

    これらを成し遂げることは容易ではないが、対応するために2種類の選択があると筆者は述べる。

    ・政府の徹底したトップダウン型の対策措置の実施
    ・地域や人民によるボトムアップ型の対策措置の実施

    トップダウンには厳格な統制機構と、それを行う社会の風潮(適切な言葉がわからないです)、そして最低限の経済の発達があるように思う。
    個人的には共通の利害関係の認識をもった国民が自主的に問題を発見し、それを防止・解決するために活動をしていくボトムアップの方が望ましいと思われるが、
    それには国民に共通の認識が必要であるしどちらも組み合わせてこそだとも考える。

    日本は国土の70%以上を森林を持つ国であるが、国でつかわれる木材はオーストラリアから輸入し被害を他国に押し付けているとの記載があったがショックを受けた。
    このようなことからも、物事には一面的にみることができないことはたくさんあるということを気づかされました。

    複雑な問題を抱える現在の社会を生きる人にとって、解決策を考えるためのヒントになる本だと感じた。
    ぜひいろんな人に読んでほしいです。

  • 過去の事例を紐解き、現代に警鐘を鳴らす良書。かなりのボリュームで読むには根気がいるが、後世への負の遺産を残すことなく、この世の永続は環境との共存と人類の謙虚さ、慎ましやかさが必要だ。意思決定システムのエラーは人類の最も恥ずべき行為である。三人寄れば文殊の知恵ではない集団心理を構造的に抉るには様々な知見が必要だろう。

  • 栄えていた文明が、どんな要因で崩壊に至ったのか?
    その要因を、過去の文献・地質調査などから事細かに洗い出していく。
    化学実験のように現象を再現はできないが、過去に起こった出来事をシミュレーションして法則を導き出す。
    本書では、気候変動・人口増加・環境破壊・外敵を要因と推測(まだあったかもしれない)。これらの要因はからみあって、次第に後戻りできないところまで崩壊が進んでいってしまう。
    何百年と続いた文明が崩壊した過去。その地続きである現代の文明も崩壊してもおかしくない。崩壊の要因となることは現代でも起こっている。むしろ科学技術の発展により、より加速している。
    こうすれば崩壊は防げる、というような銀の弾丸は示されない。環境破壊については、企業が長期的な利益を考えて環境負荷が低い行動をとるようにする流れがあること、消費者が環境に良い製品をより購買する傾向がみられること、などを上げている。(しかしまだまだ少数派)
    グローバル化は世界が繋がってひとつの世界となりつつあること。ひとつの国・企業の影響が他のところに連鎖的に影響を与える。
    過去の文明が滅びた時は、その地域だけで済んでいたことが、全世界規模で起こりうる可能性がある。
    世界で起きてることは他人事じゃあない。

  • ・成功・存続した社会
    ・アフリカの人口爆発
    ・ドミニカ共和国とハイチ
    ・中国
    ・搾取されるオーストラリア

    文明社会はその絶頂期に人口を大幅に増やし、周辺環境を破壊して滅亡に至るのか。
    環境が許容できる以上の人口を持ってしまった社会の結末は。
    環境問題解決の2つの道;トップダウンとボトムアップ
    中規模な社会はなぜ滅亡に至ったか。大規模な中央集権体制が鍵か?
    イースター島やマンガイア島などの中規模の社会は、島全体を治める中央主権的な政治組織を持てず、分裂した集落が互いの争いで環境破壊を促進した。

    景色健忘症:徐々に進む環境変化に要注意。
    変化は突然訪れない。はい進む常態なのだ。イースター島の樹木は徐々に少なくなり、重要性を失って行った。最後の一本が切り倒された時、木は、とうの昔に経済的な意義を失っていたのだ。

    当然ながら、それぞれの環境にはその環境が許容できる人口がある。環境が回復に必要な時間以上に消費が早いのであれば 、その文明は崩壊する運命にあると言える。

    翻って、現代社会はどうか。
    持続可能な社会保障な統一的な機構を現代社会は持っているのだろうか。それぞれの国家が互いの争いで環境破壊を促進してはいないだろうか。

    ルワンダの事例は、環境問題と社会的な構造が破滅的な結果を招いた事例だ。世界はこの方向に進んでしまわないか?

    ドミニカ共和国とハイチの例も、同じ環境でも社会が異なることで結果が大きく異なることを示している。

    中国はその巨大さから、その将来が人類の将来に大きな影響を及ぼす。そして中国は振り子というべき歴史的な特徴を備えている。
    中国はその統一された政治体制から、国民とその環境を大きく変更させることが可能なのだ。

    オーストラリアは絶望的なほど脆弱な環境状況で、今後改善する可能性はあるのかな?
    破壊される環境と環境を懸念する民間と政府の対抗措置の2頭だての競馬は果たしてどちらが勝つのだろうか。

  • 本書はアメリカで2005年の出版。マイケル・ポーターがハーバードビジネスレビューに「共通価値の戦略」の論文を掲載したのが2011年。それからCSVという言葉が一般化し、SDG'sとかESG投資とかもどんどん意識されるようにはなっていますが、そのはるか前に著者は、企業と公共性の関係について先駆けた視点を持っていました。それが第15章「大企業と環境」の章。「わたしは予測する。過去にそうだったのと同じように、未来においても、一般市民の姿勢の変化こそが、企業の環境に対する振る舞いの変化に必須の要素となることを。」この厳しいオプティミズムが、ジャレド・ダイアモンドの魅力です。確かに一歩一歩、彼の予測は実現しているようにも思えます。しかし、今回の感染症の問題により最終章で語られる「世界はひとつの干拓地」というグルーバルな問題意識がナショナルな防衛意識で、また分断されそうな予感もします。自らを「慎重な楽観主義者」と呼ぶ彼の朝日新聞5月8日のインタビューをもう一度、読もうと思います。

  • 上巻参照

  • 江戸時代の森林管理にせいこうした日本。木を一本一本厳しく管理する。

    虐殺による文明崩壊
    ハイチとドミニカ、同じ島に暮して、異なる運命

    教育を受けたものが少ないので、何が改善をもたらし得るのかを見定めることすらできない。
    外部の助力を有効活用する能力にすら欠ける


    オーストラリアのイメージが一変した。脆弱な土地、生えているものだけが全てで、それを切り崩すと終わり
    でも、初めて入植した人にはわからない、

    大企業と環境の密接な関係。
    当事者でない一般人が非難の声をあげるのは簡単だし懐も痛まない

    直接的に関与が難しい場合でも、商取引から規制をかけることができる。一般市民の務めは供給チェーンの環の中で大衆の圧力に敏感な環を探し当てることだ。(TOC的な考えです)

    シェル石油には、数十年後の世界のシナリオを描くためだけの部署がある

    アンコールワット
    環境変動、旱魃と洪水を平準化できなくった

  • *ブループラネット賞参考

  • 下巻は人間が文明崩壊に至らず、存続した過去の社会や、文明崩壊の要因と密接に絡み合っている現代社会、そして今後人間社会が存続するために出来ることが詳細に書いてある。例えば、日本は江戸時代に森林破壊が進んでいたが、トップダウン型の政治組織をうまく活用してこれを食い止めた。現代社会における転換の発想の面白い例としてはオーストリアである。生産性の低い土地で農作物を作るより、そこをレジャーや研究開発に回した方がいいという考えである。

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著者プロフィール

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)地理学教授
1937年ボストン生まれ。ハーバード大学で生物学、ケンブリッジ大学で生理学を修めるが、やがてその研究領域は進化生物学、鳥類学、人類生態学へと発展していく。カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部生理学教授を経て、同校地理学教授。アメリカ科学アカデミー、アメリカ芸術科学アカデミー、アメリカ哲学協会会員。アメリカ国家科学賞、タイラー賞、コスモス賞、ピュリツァー賞、マッカーサー・フェロー、ブループラネット賞など受賞多数。

「2019年 『危機と人類(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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