文明崩壊 下: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

制作 : Jared Diamond  楡井 浩一 
  • 草思社
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本棚登録 : 941
レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (547ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794219404

感想・レビュー・書評

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  • 一方で問題解決に成功した文明もある。江戸時代の日本、ティコピア島などはどのようにバランスを保つことが出来たのか。さらに現代の危機としてオーストラリア、中国の惨状を分析する。しかし現代では世界のあらゆる地域が密接な関係をもち過ぎていて、特定の場所の文明だけが滅びるということが可能なのだろうか。情報の共有、資源の輸出入、ライフスタイルの平準化によって全人類が共倒れになってしまう危険を感じてしまう。問題の解決は非常に困難だと思われる。

  • 上巻同様面白かったが,さすがに最後には説教臭くなってダレてきた.もちろん読むべき本であることは確かだが.

  • この前の著書「銃・病原菌・鉄」の読後感は、偉大な先人たちの足跡を知り、知識欲が満たされたのでしたが、今回は焦燥感にかられた読後感でした。過去にあったことは(文明崩壊)、大昔のことだからと決して無視できることではなく、現在から未来に繰り返し起こりうることです。
    全世界の様々な民族、地域の歴史を辿り、検証を繰り返した著者が導き出した結論は、単なる読み物の結末でないだけに勇気を持って読む内容になっています。この地球上の人類はみんな運命共同体です。人類は今、あたかもあの大型豪華客船タイタニック号に乗り、目の前に氷山が近づいていることに気がつかず今宵、宴会にふけっているかのようです。
    それでも著者が、慎重ながらも希望の兆しがあると述べているところに、私たちひとりひとりの心がけ次第で、世界の命運が変わる可能性があることに気がつきます。
    環境に配慮しない生産活動は、脆弱な環境に負荷がかかる状態を生み、更に人口が過密化していくと、経済的に困窮した住民の不満から政治的混乱、崩壊を招く。住民はその土地から脱出し始め、内戦やテロリストの温床になっていくという負のスパイラルの現象は、現在のソマリアやルワンダといった貧困で政情の不安定な国があてはまるのですが、世界中が密接なつながりのある現代社会の生活は、遠い国だから関係ないこととはもう誰もいえない仕組みになっています。
    ・・崩壊しつつある社会を支配する裕福な人たちは、自分や自分の子供たちの権益を確保するのではなく最後に飢える人間、最後に死ぬ人間となる特権をやみくもに買いに走る傾向にあるようだ。・・と皮肉ぽっく書いていますが、結局はひとり勝ちしても最後は何の得にもならないということなのでしょう。

  •  現代を中心に環境破壊を防いだ例と防ぐことができなかった例を示して、その分岐点を探っている。江戸時代の日本、現代のドミニカはそれを防いだ例として挙げられているが、共通するのは強力な統治者の存在である。しかし、その統治者がミスを犯した例としてオーストラリアが挙げられている。オーストラリアは現在でこそ環境意識の高い国となっているが、かつては環境破壊先進国であったという。ミスの例として原生植物を根絶やしにすることに補助金を出したり、オーストラリアの土地に適さないヒツジやコムギの導入推進などが挙げられている。これは環境に影響をおよぼすことを予想できなかったというだけでなく、それを認めたくない心理、あるいは文化の維持に力点を置いてしまったため対応しなかったという判断が指摘されている。
     もう一つ現代の視点として企業の態度についても考察している。こちらはだれが誰に圧力をかけ圧力をかけられるのか、環境を守ることが利益につながるのか否かという規準によって環境保全に対する態度が決まっているという興味深い指摘がされていた。これは言い換えれば、環境保全をしないほうが利益につながると判断すれば企業は環境保全に取り組まないということであり、環境保全を謳っている企業を安易に信用してはいけないという事でもある。
     グローバル化が文明にもたらす影響についての考察はある意味あたりまえのことばかりが挙げられていたものの、改めて列挙されるとどこにも逃げ道がないことが分かる。文明を崩壊させる要因ともに崩壊せ汗ないためにできることも挙げられていたが、一番重要なのは関心を持つということではないかと思う。関心を持てば今対応できないことであっても将来対処できるかもしれないが、関心を持たなければそれを見逃してしまい何も対処できないからである。関心を持ち声を上げる、これが文明を存続させる一番の方法ではないかと感じた。

  • 2013 7/8読了。
    ジャレド・ダイアモンドが崩壊した文明(それも外敵によって唐突に滅亡したようなのではなく衰退していった文明)に共通する要因について複数の崩壊文明/崩壊しなかった文明を見つつ検証していく本・下巻。
    こちらは崩壊することなく維持しきった文明の例と、現在世界にある文明崩壊に至りうる要因の検証等を行なっていく巻。
    上巻のように遠い文明に思いを馳せつつ読む感じは薄れて途中ちょっとたるくなる(上巻の一番冒頭に近い)部分もありつつ、まあそこはいいかと割り切るとさくさく読めだした。

    全体で説かれている諸々はもちろん、手法とかまとめ方の部分で色々参考にしたい。

  • 本当に読む価値のある本は少ない。本書はその一つである。
    かつての滅亡した文明を分析し、一番の要因は環境破壊にあったと解く。自然科学的なアプローチで、世界の歴史、滅亡の歴史を必然として説明する。そして、現在進行中の環境破壊に対しても、警鐘を鳴らす。人類は歴史に学び、人類の滅亡から免れることが出来るのか?

  • 感想は上巻に書きました。

  • ホテル・ルワンダで有名なツチ族80万人(ツチ族の4分の3)の大虐殺は、単にフツ族との民族紛争でなく、過密になった人口圧力と飢餓によって同じ民族同士で殺しあったという。
    アフリカで人口が急増したのは、北米原産のトウモロコシ、豆、サツマイモなどがアフリカにも取り入れられ、食料生産が飛躍的に拡大したことがあげられる。
    ところが、足し算でしか伸びない食料生産の増加は、掛け算で伸びる人口増加のスピードに追いついていない。
    衛生状態が改善されて、抗生物質や予防接種が乳児死亡率を低下させたこと、マラリアなどの風土病も抑止されたこと、国家が統一され、国境が定まったことによりこれまで無人地帯だったところも居住可能になったことなどから、ケニアなど人口が毎年4%も伸び、17年で人口が倍増している。
    過密になった人口が農地開拓や森林伐採によって環境を破壊したことが、イースター島や、古代マヤ文明、ノルウェー領グリーンランドの文明が崩壊した原因だった。 「世界はひとつの干拓地」だ。 環境破壊による文明の衰退は現在のオーストラリアや中国、ハイチとドミニカ共和国でも静かに進行している。

  • 時代や国を縦横無尽に駆け巡り、知性と感性に訴えかけつつ現代への警鐘を鳴らす。
    久しぶりに、本当に、読むに値する本に出会った気がする。

  • 自分たちの文明が崩壊しないためにできることはあるのか、最後に著者が問いかける。
    考えさせられる本の一つでした。

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著者プロフィール

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)地理学教授
1937年ボストン生まれ。ハーバード大学で生物学、ケンブリッジ大学で生理学を修めるが、やがてその研究領域は進化生物学、鳥類学、人類生態学へと発展していく。カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部生理学教授を経て、同校地理学教授。アメリカ科学アカデミー、アメリカ芸術科学アカデミー、アメリカ哲学協会会員。アメリカ国家科学賞、タイラー賞、コスモス賞、ピュリツァー賞、マッカーサー・フェロー、ブループラネット賞など受賞多数。

「2019年 『危機と人類(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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