満州航空の全貌: 1932~1945大陸を翔けた双貌の翼

著者 :
  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794219770

作品紹介・あらすじ

最新鋭機を擁し、軍と民の二つの貌を持つ、<br>世界に類例のない航空会社。謎に満ちたその実態が初めて明かされる!一九三一年、満州国建国にともなって創設された「満州航空株式会社」。総延長航路九キロ、民間輸送のみならず測量や航空機製造など広範に行う一方、「軍」の任務も遂行するというもう一つの貌をもち、「ヒツジの皮をかぶったオオカミ」と呼ぶものもある。中国大陸で多岐にわたる活動を行ったにもかかわらず、一九四五年の敗戦時に資料のほとんどが処分されたため、今日に至るまでその実態は明らかになっていない。<br>本書は航空技術に詳しい著者が数年の歳月をかけて生存する関係者への取材を重ね、断片的な資料をたんねんに読み込んで、初めてその全貌を描きだした渾身のノンフィクション作品である。

感想・レビュー・書評

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  • ”満州経営”と言えば、関東軍は別にして満鉄に満映が通り相場だが、満州内の定期航路から欧州路線まで視野に含めた「満州航空」があった。
    それは表向き民間航空だが、有事とあれば関東軍の指揮下に入ることは設立当初からの規定事項である「双貌の翼」であった。
    終戦時の慌ただしい撤退によって一次資料が殆ど無く、これまでフィクションはもちろんノンフィクションでも一冊の本に纏められたのは恐らくこれが初めて。
    少ない資料の中からとは思えない綿密な取材により、また終戦後のOBの姿を描く終章により戦後の日本航空と全日空、そしてYS-11開発秘話まで読み応え充分。

  • 満州の空に大地に13年間の歴史を刻んだ満州航空の物語。表紙に使われている満州航空の飛行機を前にした石原莞爾の写真(1932年1月 錦州にて)が、その時代を雄弁に物語っております。戦後の日本航空の始まり、全日空の立ち上げ、そして、国産旅客機(YS‐11)の製造と失敗、という戦後の航空機業界の物語に繋がる歴史に埋もれていた様々な物語を掘り起こした作者の努力等に☆四つであります。

  • 満州鉄道はよく耳にしていたが、満州航空については恥ずかしながらよく知らなかった。
    満州航空の全貌がよくわかる本です。

  • 満州国が建国されて半年後に設立された満州航空。民間航空会社でありながら、関東軍の航空部隊としての一面も担っていた。
    本書は関係者が残した資料、証言を元にその特異性と重大性をまとめている。操縦士や機関士を始めとする社員の気概、勇猛さに感動した。と同時に関東軍の酷さが相対的に目立った。
    満州での生活も描かれており、軍部の意向はともあれ、居住者目線の描写は興味深い。
    満州航空では、航空機の開発にも取り組んでおり、そのベンチャー気質が現代にも引き継がれているというのは知らなかった。続編も出るとのことで、是非期待したい。

  • 戦後の日本航空界に、いかに満州航空はじめ、当時の航空会社の人材が寄与しているか、がよくわかった。

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著者プロフィール

前間 孝則(まえま・たかのり)
ノンフィクション作家。1946年生まれ。石川島播磨重工の航空宇宙事業本部技術開発事業部でジェットエンジンの設計に20余年従事。退職後、日本の近現代の産業・技術・文化史の執筆に取り組む。主な著書に『技術者たちの敗戦』『悲劇の発動機「誉」』『戦艦大和誕生』『日本のピアノ100年』(岩野裕一との共著)『満州航空の全貌』(いずれも草思社)、『YS-11』『マン・マシンの昭和伝説』(いずれも講談社)、『弾丸列車』(実業之日本社)、『新幹線を航空機に変えた男たち』『日本の名機をつくったサムライたち』(いずれもさくら舎)、『飛翔への挑戦』『ホンダジェット』(いずれも新潮社)など。

「2020年 『文庫 富嶽 下 幻の超大型米本土爆撃機』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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