文庫 人間の性はなぜ奇妙に進化したのか (草思社文庫)

制作 : Jared Diamond  長谷川 寿一 
  • 草思社
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レビュー : 66
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794219787

感想・レビュー・書評

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  • 授乳はなぜ女だけ?
    確実に自分の子。産むまでにかけたコストがでかい。どちらかが外で狩りをしなければならない。
    排卵を隠すのはなぜ?
    乱婚型社会では、色んな相手と関係を持つことでどの雄も子供が自分の子供かもしれないと思うので、子殺しが発生しにくくなる。さらに進むと、雌は優秀な雄を選び、独占的に関係を持つことで(一夫一妻)雄に確実に自分の子だと認識させ、子育ての支援を得ることに成功する。
    なぜ閉経するか?
    人間は子供を産むときに母体にとても大きな負担がかかる。また、自分で食料を得られるようになるのにも10年以上かかる。リスキーな出産、子育てを高齢になるまで続けるよりも、一定の年齢でストップして死ぬまでに一人前の子供り育てた方が遺伝子が伝わる可能性が高まる。

  • これは、本当に面白かった。知的刺激に満ちた本だった!

  • 浮気・閉経・娯楽としての性交渉・人目をはばかる性行為・・・ホモ・サピエンスとしては普通のセクシャリティである。これが動物一般としては、いかに特殊な事情なのかを認識した上で、動物の進化の結果としてあるいは人類の文化として、こうなってしまった理由をいろいろと考察。著名な学者による真面目な本だけど、飲み屋の雑談ネタの仕込みにも役立つ。ちょっとした気づきは、人類がまだ文字を持たなかった頃、老人という存在は知恵を伝承するメディアであったということ。ヒトが普通の動物と違って、生殖能力がなくなっても、簡単に死なない種である理由の一つであろう。

  • 「性の問題はいつもわれわれの心を虜にする」 前書きより

    本書では、授乳、女性の閉経、セックスアピールなど7項目について科学的見地から論じる。
    タイトルや内容からトンデモ科学、エセ科学だと思ったら大間違い。
    れっきとした研究である。

    面白かったのが授乳の章だ。
    現在授乳中のせいもあるだろうが、非常に興味深い。
    人間社会では、授乳はお母さんだけではありません、哺乳瓶を使えばお父さんだってできますよというPRがなされている。
    パートナーの協力は非常にありがたいのだが、実際乳房から乳が出るのは女性だけだ。
    我が子も「なんでパパおっぱいでないのー?」と聞いてくるが、当たり前のように私も「パパはもともと出ないの」と答えているが、果たしてそれは「当たり前」か?
    最近の実験結果によると、たいていの養母は1ヶ月程度で多少の母乳が出るのだという!
    そして、乳汁分泌が進化する条件がヒトには備わっているのだそうだ。
    雄が乳汁を分泌するダヤクオオコウモリの研究が進めば、もしかしたらヒトのオスも乳汁を分泌できるようになるかもしれない。
    そんなのは笑い話?
    いや、現在の生殖医療だって初めは笑い話やSFの世界だった。
    いつかはこれも現実になるかもしれない。

    なぜ女性には閉経があるのか、というのも面白い。
    生理なんてメンドクセーな、なんて毒づいていたが、終わってしまうとそれはそれで悲しい、かもしれない。
    しかしなぜ閉経があるのだ?!

    象徴的なエピソードがある。
    最も効率的な身体とはすべての期間がほぼ同時に使い物にならなくなる身体だということ。
    ヒトの寿命が延びているのに、なぜ生殖器官だけがそうならなかったのかという疑問に対する答えは、「少なく産めばたくさん育つ」からだ。
    一見矛盾しているが、これこそがヒトの戦略。
    進化の結果だ。

    生物は常に進化、そして生存戦略を練っている。
    最善を求めて。
    無駄に思えるもの、当たり前だと思っているもの、その全てが戦略なのだ。
    全てが解き明かされるわけではないが、私たちは常に「最善」を求めている。
    進化的アプローチの重要性、魅力、困難さ。
    奇妙な「当たり前」の世界はわからないからこそ心惹かれるのだ。

  • 進化生物学の観点からあらゆる性にまつわる謎ーそのほとんどは言われなければ意識すらしないものだがーを様々な学説を比較しながら説明していく様は興味深い。

    ただし、結論として著者がどう考えているのか明確に示されたものがなかったのが不満。

  • 「銃・病原菌・鉄」のジャレド・ダイアモンドが「性」
    について進化生物学の観点から総合的にまとめた著作。
    実によくまとまっていると思うし、いい本なのは間違い
    ないが、今まであれこれと同じようなジャンルの本を
    読んできた私にとってはすでにどこかで目にした内容を
    復習する本、だったかな。

    この本の元になったサイエンスマスターズシリーズは
    すべて読んでいるはずなのに、この本については全く
    覚えがない(苦笑)。当時読んだのやら読んでないのやら。
    まぁこの本を読んだ今となってはどちらでもよいか。

  • あとがきにもあったように、この現代は「セックスはなぜこんなに楽しいのか」だったようだが、これじゃ大学の教科書としては使えないわな。とんでもない。セックスは楽しくちゃいけない。セックスは生殖のためなんだから。そう言う人に聞く、じゃあ、なぜ動物とヒトにとってのセックスは奇妙に違うんだろう?そういう内容の本だ

  • 人間の性は実に奇妙だ。しかし、その特徴は唯一的なわけではない。ひとつの動物種として特殊な性のかたちは、文化的・社会的特徴と融合し奇妙に発展してきた。進化学や人類学の知見から、人間の性について新しい感覚をもたらす良著。

  • 特に後半の第4章から第6章は興味深く読めた。
    排卵のシグナルが隠蔽されていることや人間に閉経が存在する理由については産婦人科医としてうなづきながら読む箇所も多々あった。

    進化の過程で知性や感情、社会性を手に入れたが故に、身体的な進化が追いつかずに歪みが生まれている部分もあるのかなと思った。
    隠していた排卵シグナルが容易に分かるようになったり、閉経期を間近に迎えても妊娠が可能となった社会で人間の体はどんな進化を遂げていくのだろう。あるいは、なん百万年単位でしか変化しない体に合わせて社会はどんな変化を遂げて行くのだろう。
    進化の過程を振り返ることで、人間のあるべきとまでは言わないが自然な姿、ローリスクローコストに種を維持するシステムが浮き彫りにされているようだった。

  • 邦題タイトルは、セックスはなぜ楽しいかより、こちらの方が内容に即して良いと思う
    種差別主義から優しい語り口で次々と展開していくので、とても楽しく読みやすく理解も容易だった
    特に性染色体の話と繁殖期のシグナルの話は面白く読めた
    1番興味深く読み進められたのは婚姻の形態についての箇所
    閉経に関しては、よく分からないが重要なポイントが欠落している感じが否めなかった
    結果論的な側面が強い?

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著者プロフィール

ジャレド・ダイアモンド
1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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