文庫 人間の性はなぜ奇妙に進化したのか (草思社文庫)

制作 : Jared Diamond  長谷川 寿一 
  • 草思社
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レビュー : 66
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794219787

作品紹介・あらすじ

ヒトはなぜ隠れてセックスをし、セックスそのものを楽しむのか。私たちの性はなぜ、かくも奇妙に進化したのか。人間社会のあり方を決定づけてきた性の謎に挑む。単行本サイエンスマスターズ12『セックスはなぜ楽しいか』を改題して文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 人間の性を生物学的な観点から考察しており、非常に興味深く読むことができた。 

     人間はどうして一夫一婦制になったのか?
     一夫一婦制が本当に人間として生物学的にベストな選択なのか?
     ほとんどの生物の雌が発情期(交尾をすれば子供ができる状態)を他の雄に示すのに、人間の雌(女性)はどうしてそれをしない(他から分からない)のか?
     人間の寿命はどんどん延びているのに、なぜ女性の閉経の時期はあまり変わっていないのか?

    など、他の生物と比べて考えてみると人間は非常に変わっていることが分かる。
    読み物として非常に面白かったが、著者の「銃・病原菌・鉄」ような壮大な人間進化の歴史読み物に比べると本書は小粒な感じ・・・。

  • 進化論的な視点から人の性について解説した一冊。

    個人的にはヒトのどの時期までを進化論的に説明できるかに疑問があるため、進化論的説明を無条件に受け入れることはできない。
    本書にもあるように、人は知識の伝搬を行い、繁殖戦略において合理的であるはずの殺人やレイプを行わない理性を持っているので。

    それでも、進化論的な理由が現在のヒトの特徴を作り上げている一因であることは間違いないように思う。

    そんな訳で、人の性を考える上で一読の価値はある本。

    ただ、この本を読んだだけで、全ての謎をjust so storyな進化論的説明で完全に納得してしまうのは間違いだと思うし、思考の放棄。

    さらに元の題であるセックスはなぜ楽しいか?という疑問には答えていない。

  • 人間のなには4倍の大きさに進化したと。なぜでかくなったのか?ってところが白眉です。

  • ダイアモンド博士の本は、数年前に読んだ『銃・病原菌・鉄』に続いて2冊目。

    なんか、本当に周りのカップルとか夫婦から聞こえてくる愚痴の原因がこの一冊に書き表されているようで、ちょっと笑ってしまいました。

  • 面白いとは思ったけれども、なんというかちょっと冗長。まあ学術論文じゃなくてエンターテインメントだからそれでいいでしょうかね。飛ばし読み拾い読みで十分で味わうほどの内容ではなかったですワタシ的に。

  • 他の動物とくらべて人間の性の営みがいかに珍妙であるか。女性の閉経、男性の役割、人目を避けること、楽しむこと、授乳以前に乳房が発達することなど、進化生物学的観点から謎解き。

    ふつうに当たり前と思っていることが、別の観点からはそうじゃないんだってことが、面白いです。

  • ○最も効率的につくられた身体とは、すべての器官がほぼ同時に使いものにならなくなる身体である。
    ○現代の文字社会では、高齢になればなるほど老人の貢献度が低下する。

  • たの動物と人間の性の違いを、人類学、動物学、生理学的に論じている本。きわどい内容を、至極客観的に、感情を抜きにして、科学的に書かれているのが面白かった。
    女性の閉経、妊娠可能時期の不明確性、男の必要性などが面白い論点だった。
    でも、元々洋書だから、ちょっと読みにくかったかな。英語のほうがいいかも。

  • "雄と雌、男と女、生物は自らの遺伝子を後世に残すために交尾をして、子孫を残す。この交尾について学術的に語られているのが本書。最高に面白い。
    遺伝子を残すために一番効率的なものはどんなものかは、それぞれの生き物の種類によってことなる。
    子育ては雄・雌どちらが主体的に取り組んだ方が、子は育つ?男の役割、女の役割とは?

    興味深いテーマを楽しく読ませてくれる。"

  • 一般向けに書かれた性に関して書かれた進化生物学にまつわる一冊。子育てなどについての記述も多く、まとまっていてボリュームも軽めで読みやすい。

    人間の性はなぜ「奇妙」なのか、という謎解きについては一般向けとはいえしっかりと書かれているのでわざわざ難しい本を最初に読むよりは良いかも。

    男は何の役に立つのか?」とか本当のことを言われるとほんと傷つくよ。全米が泣いた。

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  • 「人間の性はなぜ奇妙に進化したのか」
    「銃・病原菌・鉄」「文明崩壊」「昨日までの世界」で有名な文化人類学者ジャレド・ダイアモンド博士の初期の本である。
    原題が「Why is Sex Fun?」とはふざけた題名だ。後書きで訳者が初版の「セックスはなぜ楽しいか」という日本語の題名を改題した理由について説明しているのは笑える。
    内容はいろいろな動物や哺乳類と比較して、人間の繁殖戦略についての真面目な考察である。
    人間の繁殖戦略は奇妙に進化したのではなく、知能の高い哺乳類として社会性を持ったことに対しての当然の帰結であるように思える。その一方で人間も所詮は動物なのだと考えるとき、人工知能とは一体何なのかを改めて考えざるを得ない。

  • 人間の性的特徴が生物全体で見た時にいかに異常であるかを述べ、それが自然淘汰により最適化されたものであることを説明している。特に女性の排卵が男性に隠蔽され、自身にも把握出来無いのが、配偶システムの中で生じる駆け引きによるとするのが興味深かった。また両性間に於ける遺伝的利益にとって最善な行動が一致しないのを明確に認識させられたのも面白かった。

  • 表紙とタイトルに興味を持って手に取った。
    思っていたよりも内容が、研究を基にした論理的科学的な物で最初は驚いた。
    普段あまり読む類の本ではなかったけど、筆者の論の進め方や面白い例えなどに惹かれて読み進める事ができた。
    私たちの性についての「当たり前」が全く当たり前でないことがよく分かったと同時に、動物や人間の進化や生のあり方に単純に衝撃を受けた。
    普段身の回りにはこんなに興味深いものがいたんだと気付かされた。

  • 人間の父親と母親を動物のオスとメスとして捉え直した本。この一冊で雑学王。

  • 「銃・病原菌・鉄」で数年前有名になった(少なくともその時に僕は知った)ジャレドダイアモンドの著作。銃〜はホモサピエンスの歴史に関する包括的な書であったが、本書は人類の性に焦点をしぼった進化生物学に関する本である。

    ◯人間の性は生物学上とても奇妙である
    もちろん我々人間にとってはとても普通のことばかりだが、人間の性は生物界全体を見たらとても奇妙で不思議に満ちているという。本書では奇妙な点を6点あげている。曰く、①長期にわたり男女でペアを維持すること②夫婦で子育てをすること③夫婦は単独で暮らすのではなく、社会の一員として生活すること④性交を内密に行い、他者がその場にいることをひどく嫌うこと⑤女性の排卵は隠され、特定の発情期(排卵期)を持たず、性交は月経サイクルの全範囲で行うこと(生殖のためでなくもっぱら楽しむために性交を行う)⑥女性に閉経がみられること

    ◯なぜセックスは楽しいか?
    上記の問いの幾つかに答えるためにまず考えるべきは、生物は自己の遺伝子を将来に残す機会を最大化するために行動すること。そしてその利害は男女で異なることだ。

    初期の人類はおそらくハーレム(多くの場合ボス猿であるαオスが存在する)を形成して群れで暮らし、わずかに排卵シグナル(たとえばサルの尻が赤くなるなど)がみられたと考えられる。これにより性交は特定の時期のみ効率的に行われたと考えられる。
    だが、ハーレムでは子のオス親が明白のため、ボスの失脚とともに子殺しが頻発する。メスは排卵を隠すことで多くの雄と関係をもち父性を撹乱し子殺しを防ぐ戦略に出た。
    さらに人類は一夫一妻制を採用するようになる。このシステムは妻子を他の雄から守り、父を家に留まらせることになった。
    結果人類は排卵シグナルを出さないため複数回ランダムに性交する必要に迫られ、”セックスを楽しむに至った”

    ◯ヒトにおけるセックスアピール
    多くの鳥や一部の類人猿には外見上明らかな性差がみられる。孔雀のオスはより煌びやかな羽を広げメスを誘い、ゴリラのオスはより大きな体格と背中に白い毛を纏う。オランウータンのオスは肥大した頬を垂らす。これらは自分がより良い遺伝子を持つオスであることをメスにアピールする。本書の最終章には(本論としては枝葉の部分であるが)ヒトにおけるセックスアピールについて書いてある。ここがとても面白かった。
    曰くヒトにおける異性への魅力は①男性の筋肉、②顔の美しさ、③女性の脂肪であるという。
    現代風に言えば女性はイケメンの細マッチョに魅力を感じ、多くの男は美人で胸やお尻の大きい女性に夢中である。
    これらのメッセージの意味はなんなのか。健康的な男性の筋肉に多くの女性は魅力を感じる。健康的な筋肉は多くの獲物を捕り他者からの侵略から妻子を守るメッセージになる。
    一方女性の豊かな胸は健康で充分に授乳が可能なこと、ふくよかな臀部は出産の際に安定感があり母子ともに危険に至る可能性が少ないことを意味する。
    面白いのは顔である。整形外科が発達する前まで顔は自由に変えられる部位ではなかった。美しい顔は健康的で、病気を持たず、栄養不足でないことの証明になった。のかもしれない。


    本書は人には聞けないなるほどが詰まった(性の面でも、進化生物学の面でも)良書である。

  • 男女の感情的な諍いはホントにキツイ。おそらく、感情について理性的に考えてしまうのがそのエネルギーの浪費による身体的な疲弊を招いている。なので、性が絡む感情を進化生物学という理論を用いて理性的に説明するこの書物は身体的な疲弊を防ぎうる可能性を有していると思う。
    私のように浮気、不倫、だめな男、だめな俺など、いろいろと悩んでいる方は読まれたらいいと思う。

    Mahalo

  • 「産めよ増えよ地に満ちよ。」
    全ての生物は個人の意思とは無関係にそうプログラムされているが、現代社会のほとんどの文化で性表現は隠され、多産に限界がある一夫一妻が奨励されている。

    この状況は、種が繁栄するための最適な選択の結果なのか。はたまた社会の発展は、ヒトに種の目的以外の選択肢を持たせるに至ったのか。
    本書はヒトの男女の性戦略の違いを他の生物と比較することで、その進化の道筋を探求する。

    進化がどこか意味ある到達点を目指すものではなく、環境に適した形質のみが保存されるように、本書も何か意味ある結論にたどり着くものではなく、ただただその道程を語ることにのみ紙面は費やされる。

    出産に多大なコストを強いられる女性と排卵時期を隠蔽される男性の性戦略の違い。
    妊娠期間にない女性のみならず、男性にさえ残る授乳機関の実例。
    育成コストの集中化のために誕生した閉経のメカニズム。
    祖先のサイズから四倍に拡大した男性性器の謎。

    どの話題も興味深く楽しめることは間違いないが、それらが新しい発見に結びつくことはなく、論がまとめて総括されることもない。

    だからといって本書に意味がないというわけではない。ここから得た知識を酒の肴で終わらせるか、次の何かに繋げるかは、読者次第だろう。

  • あまりにも身近過ぎて気付かなかったが人間の性の仕組みにはいろんな不思議があるんだなぁと思った。閉経は自然界では例外的だとかなぜ雄は乳汁を出さないのかとか興味を惹かれる内容ばかりだった

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著者プロフィール

ジャレド・ダイアモンド
1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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