文庫 技術者たちの敗戦 (草思社文庫)

著者 :
  • 草思社
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レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794219916

作品紹介・あらすじ

零戦の設計主務者である掘越二郎、新幹線の生みの親・島武雄など、昭和を代表する技術者6人を紹介。戦争や敗戦の体験がその後の人生にどのような影響を及ぼしたのか。事実を丹念に追うばかりでなく、取材ノート的な要素も盛り込まれ、エリート技術者であった彼らの素顔や性格までも垣間見える。戦後復興と技術大国への道を拓いた彼らの感動の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 502.1||Ma

  • 新幹線の生みの親・島秀雄,ホンダF1の中村良夫などの昭和を代表するエンジニアの物語.エンジニアとして様々な課題にどのように向き合ったか,落ち着いた文章で描いている.どの業界であれエンジニアが生業の人は読む価値あり.

  • 技術者たちの敗戦

  • 本書は、「三菱零戦設計チームの敗戦―堀越二郎・曾根嘉年の敗戦」、「新幹線のスタートは爆撃下の疎開先から―島秀雄の敗戦」、「戦犯工場の「ドクター合理化」―真藤恒の敗戦」、「なぜ日本の「電探」開発は遅れたのか―緒方研二の敗戦」、「翼をもぎとられた戦後―中村良夫の敗戦」の5章構成。

    戦前・戦中に軍事技術の開発に携わったエリート技術者たち。当時の日本の科学技術力や開発体制の特徴(多くの場合、技術に無理解な軍の統制下で合理的・効率的な開発ができず、欧米に立ち後れた)姿と、如何にして敗戦を乗り越えて戦後の技術開発をリードしていったか。丹念な取材でその実像を描き出した力作。ただし、第4章は、主に戦時中の電探(レーダー)開発の杜撰さを集中的に描いたもの。

    日本の優れたもの作りは、戦時中の杜撰な軍事技術開発の反省にたって、戦中派のエリート技術者たちが築き上げたもの、と言う風に解釈することもできるんだなあ。まあ、戦前・戦中・戦後一貫して、欧米の技術を真似して何とか追いつき追い越そうとした、そのスタンス自体はあまり変わらないようだが。

    同種の勤勉な民族で構成された日本は、精神論でも物事が動くし、質の高い仕事が出来てしまう。一方、特にアメリカは寄せ集めの国だし、性悪説と言うか、人はサボるしミスをする、ということを織り込んで、極めて合理的な社会システムを構築している。そう考えると、技術開発にしても、日本の立ち後れを軍の指導者たちの誤りだけに求めるのは適当でないような気もする。戦後70年以上が経過した現在でも、いいか悪いかは別として、同種の非合理性を抱えているような気がするから。

    何れにしても、本書によって、戦前・戦中に活躍した軍事技術者の戦後の生きざまをうかがい知ることができました。良書と思います。

  • ヒーロー化される技術者の数々。
    その実相に触れて、冷静に良い点悪い点を評した
    前間さんの筆跡は、まさに時代を超えて学べるテキストである。
    堀越二郎、島秀雄、中村良夫、真藤恒、緒方研二、曾根嘉年、
    全てアクがあるけど、部下に慕われていたんだろうなあと思わせるエピソード満載でした。
    是非、これからエンジニアになろうとする若者に読んでほしい一冊です。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    大戦中の技術開発研究は、二十代~三十代の若き技術者たちが担っていた。情報遮断と材料不足の厳しい状況下で多くの成果を上げるが、敗戦によって開発の断念を余儀なくされる。しかし、彼らは渾身の力を込めて立ち上がり、新しい産業に技術を転用させ、日本を技術大国へと導いた。零戦の設計主務者である堀越二郎、新幹線の生みの親・島秀雄、ホンダF1の中村良夫など、昭和を代表する技術者六人の不屈の物語。現在の日本の基盤を支えた、若くも一流の技術者であった彼らの哲学と情熱の軌跡をたどる。

  • 第二次世界大戦と敗戦。そして復興の中で卓越した能力で活躍した技術者たちの物語。必ずしも能力に見合う待遇を与えられたわけでないところが、今も変わらぬ日本の会社の人事力学らしい残念なところ。

  • 熟練したエンジニアとは、生きた宝物である。中には勘違いした御仁もあるが、企業が長く引き留めておきたい人材には、独特の味のある人間性、仕事への哲学を持った人が多い。これは、私個人の経験上の感覚であるが。

    本著は戦時から戦後に活躍した、個性ある日本のエンジニアを記録したノンフィクションだ。新幹線や電探、造船やエンジンなど、サラリーマンには身近に感じる分野も多い。そもそも、あれだけ悲惨な敗戦を迎えた日本が、戦後、何故あれだけの復活劇を成し得たか。そんな事に興味が向く人にはオススメである。数ある理由における、人材という側面。とりわけ、技術者に視点を当てた点が面白い。個人的に面白かったのは、造船に携わった真藤恒、海運王ラドウィックの話である。

  • 零戦、電探、造船……様々な技術の開発者たちの戦後を描いた書籍。戦後の日本経済を引っ張っていく彼らの姿は、今ですら色あせないのではと思うほどにカリスマ性を持っているように思える。

  • どの章も大変興味深かったのだが、個人的には第1章(三菱零戦設計チームの敗戦)、第4章(なぜ日本の「電探」開発は遅れたのか)のような内容ばかりで占められていると思っていたので、この点、ちょっと期待とは違ったところがあった。
    また、綿密な取材で様々な角度からその人物像に迫ろうとしている点も素晴らしいと思ったが、時々、話があちこちに行ってしまっている感が否めないところも。
    でも、真藤さんや、ホンダの中村さんのお話にもすごく引き込まれたし、若い人はもちろん、我々の世代も読んでおくべき本だと思う。
    なお、昨今の安保法制をめぐる議論の中で、とかく右も左も感情的な罵り合いしかしていないのではと思える中、本書で大変印象的だった箇所を引用しておきたい。
    第4章で取り上げられた緒方研二氏の言葉
    「痛感させられたのは、『アメリカ軍にとって、戦争は科学であり技術である』という徹底した軍事思想である。米国は、戦争を徹底的に計量し計算して考え、考えては生産し計量して、決して情緒を持ち込むようなことはなかった。」

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著者プロフィール

ノンフィクション作家。1946年生まれ。石川島播磨重工の航空宇宙事業本部技術開発事業部でジェットエンジンの設計に20余年従事。退社後、日本の近・現代の産業・技術・文化史の執筆に取り組む。おもな著書に『YS-11』『富嶽』『マン・マシンの昭和伝説』『戦艦大和誕生』(いずれも講談社)『日本のピアノ100年』『満州航空の全貌』(いずれも草思社)『技術者たちの敗戦』(草思社文庫)『新幹線を航空機に変えた男たち』『日本の名機をつくったサムライたち』(いずれもさくら舎)『飛翔への挑戦』(新潮社)など多数。

「2017年 『文庫 戦艦大和誕生(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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