微笑む慶喜: 写真で読み解く晩年の慶喜

著者 :
制作 : 河合 重子 
  • 草思社
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本棚登録 : 25
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794220240

作品紹介・あらすじ

明治35 年66 歳で公爵に叙せられ、名誉回復なった慶喜はその後十余年をどんな心境生きたのか。晩年の慶喜を撮った多くの写真を詳細な資料をもとに読み解き、徳川家と天皇、維新の元勲たちとの微妙な関係を推量する。大政奉還して多くの家臣に恨まれた慶喜は三十数年後、ようやく安堵の微笑みを漏らしたのか。写真多数。

感想・レビュー・書評

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  • いいお顔です
    表紙にも採用されている自然なショットの慶喜。すごくいい。
    お孫さんを膝に抱き、あやしている写真も。

    それからの慶喜、といった感じで、明治以降の慶喜の写真を紹介し、資料にあたって、いつ、どこで、どんな背景で撮られたものか丁寧に解説していきます。

    大概は、さあ、写真を撮りますよ、といったアングルのものなのですが、最初に紹介した2ショットはそういった写真と違い、素顔の慶喜氏を切り取ったベストショットだと思います。

    各章末の註として、関わった方々のエピソードが顔写真と共に語られているのもこの本の魅力です。

    写真から、資料から、それぞれの人々を知りたい、紹介したい、という著者の熱い思いが伝わってきます。

  • 「一抹の遠慮を秘めつつ「人生そう悪いもんじゃなかった」のでは。」

    大政奉還という形で武家社会に自ら幕を引いた最後の将軍、徳川慶喜。今に残る数々の写真からその晩年を読み解く。

     晩年の慶喜像を浮き彫りにする、ということで、明治35年朝廷から公爵の位を授けられた御授爵エピソードから紹介されていく。事実上の名誉回復ということだろう。

     その祝賀の会に集った旧大名たちが慶喜を囲んで撮影された一枚の写真が壮観だ。40年前には髷に裃姿で江戸城へ登っていたであろう彼らが、上様を囲んで普通のおじさん然として写っている。

     旧幕臣として維新後は辛酸を舐めたであろう彼らが、あたかも社長を囲む社員の集合写真のようにおさまるこの一枚は、旧主君の名誉回復を祝うというその集いの目的を想うとき隔世の観がある。

     慶喜の晩年は、授爵され華族に名を連ねて参内を許された後、皇室からは篤く遇され、複数の宮家と親交を持ち婚姻関係を結ぶなど、「敗軍の将」としては破格だ。もちろんそこに、慶喜自身の人柄や、封建時代の幕引きに一役買ったことに価値を置く人々の働きがあったことも見逃せない。

     晩年の慶喜を追った本書のタイトルが「微笑む」となっているように、本書を読み終えた自分の感想は、司馬遼太郎「最後の将軍」読後と同様、慶喜は「色々ありましたが、まあいい人生でしたよ」 と感じていたのではないかというものだった。

     写真を撮るのも撮られるのも好きだったという慶喜の肖像写真。今一度見る。俳優津川雅彦似の濃いめの目元に横一文字に引き結んだ口もと。かつては国の第一線に座った者としての威厳も漂う。

     だかその瞳には、歴史に対する一抹の遠慮もみえるように想える。慶喜が一廉の人物であったならそうであってほしいと思う。彼が穏やかな晩年を送った時代に至る、その陰には「徳川のお家大事」と散った多くの命があったのだから。

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著者プロフィール

千葉県松戸市出身。國學院大學文学部国文科卒業。出版社勤務をへてフリーの編集者となり、『徳川慶喜家の子ども部屋』(榊原喜佐子著)、『謎とき徳川慶喜』(河合重子著)(いずれも草思社刊)など、徳川慶喜にかかわる本を手がけてきた。

「2013年 『微笑む慶喜 写真で読み解く晩年の慶喜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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