データの見えざる手: ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則

著者 :
  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794220684

作品紹介・あらすじ

社会現象や経済を科学的にコントロールすることは可能か。先端サイエンスが人類究極の問いに答える。
なぜ思った通りに毎日の仕事をこなせないのか、どうしたら受注率を上げられるか、店の売上を上げるにはどうすればいいか、組織統合を短期間に成功させるには…。人間行動のビッグ・データを人工知能で解析することで、このような問題に明確に答え、驚愕の成果を生む新しい科学が誕生! 人間行動の法則性を明らかにし、人間が「幸福」になることこそが利益の源泉であるとデータから示す、革新の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    人の趣味趣向という曖昧な概念を、デジタルに落とし込むことが出来るのか?

    ビッグデータ社会が到来するにあたって、人間の行動習慣を商取引の現場に導入する事例が多く見受けられる。しかし、個人的な感情として、そんなことが本当に可能なのか疑っている人も多いことだろう。
    本書では、そうした疑問に対して「可能だ」と回答している。著者の矢野氏は、「人間の行動や欲望」に科学的な法則性を見出し活用するとともに、ビッグデータと機械によって幸福を高めることができないか?という考えのもと数多くの実証実験を行っている。

    そうした実験の結論として、「人には動きの活発度に応じた活動限界がある」という研究結果を報告している。ウェアラブルセンサによって人間の行動を測定した結果、人の動きは全くのランダムではなく一定の法則に従っていることが分かったのだ。何気なく過ごしている日常であっても統計上ではランダムな行動をしていない、というファクトは目からウロコであった。
    一見測定不可能な領域にデータの形でメスを入れ、そこから得られた結果を意味付けするプロセルはとても新鮮なものばかりであった。

    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    【本書のまとめ】
    1 ウェアラブルセンサの開発
    人の行動には科学的な法則性がある。
    自分の意志で決定していると思われている「時間の使い方」においても、例外ではない。あなたが今日何に時間を使うかは、無意識のうちに科学法則に制約されているのだ。

    筆者は、ウェアラブルセンサで腕の動きを読み取ることにより、いつ、どこで何をしていたかを表す「ライブタペストリ」を開発した。


    2 ライフタペストリによる「腕の動き」
    ライフタペストリによって、1日の腕の動きを読み取った。その結果は驚くべきものであった。
    横軸に「1分あたり何回動いたか」、縦軸に「その運動が計測期間の間に観測された比率」を置くと、どのような人でも、右肩下がりのU分布になることがわかったのだ。
    U分布にしたがうということは、ある事象の発生頻度が指数関数的に減少していくことにほかならない。1分あたり60回以上の運動をすることは、一日の半分程度だが、1分あたり120回以上の運動をすることは、その半分(1/4)程度に減り、さらに180回を超える運動は1/8になり…と、指数関数的に右肩下がりになっていくのだ。
    つまり、人間は自分の一日の行動を、あるときはずっとのんびりしたり、あるときはずっとせかせかしたりと、自由に決めていると思っているが、実は「決められた枠の中で」行動していたのだ。自由に見えて、自由ではない。それはなぜか?

    それは、繰り返しの力が「平等(ランダム)」ではなく「偏り」を生むからだ。
    ここに900個のセルがあり、1個のセルの中に1個のボールが入っているとする。各セルはまったく平等の条件下だ。ここから、あるセルから別のセルにボールをランダムに1個移す、という行動を繰り返したとする。その結果は、ボールがバラバラに散らばるのではなく、「上位3割のセルに、ボール全体の7割が入る」ことになる。
    平等の条件下から全くランダムに行動を繰り返しても、結果は偏りを産むのである。
    この結果をグラフで表すと、正規分布ではなくU分布になる。

    人間の腕の動きがU分布に従うということは、これと同じ現象が起こっている。つまり、完全にランダムである腕の動きを一日何万回と繰り返しても、優先度に合わせて無意識のうちに結果が調整されているということだ。

    このU分布が面白いのは、一日の身体活動の分布は動きの総数というたった1個の変数でおおよそ決まってしまうということだ。
    1日の腕の動きが7万回(平均77回/分)と決まっている中で、120回/分を超える活動を一日中続けることはできない。1分間に60回以下の動きを伴う活動には、活動時間全体の半分程度の時間を「必ず」使わなければならず、60-120回の活動は、1日の1/4程度の時間を使わなければならず…と「割り当て」が決まっている。

    これには当然、個人差がある。120回/分程度動く「熱い人」と、60回/分程度動く「冷たい人」がいる。

    といっても、熱い人=仕事ができる人ではない。熱い人も冷たい人も全ての帯域に平等に活動を割り当てているため、熱い人は静かな仕事(執筆など)に時間を割り当てづらいし、冷たい人は激しい仕事(プレゼンなど)にあまり時間を当てられない。(ただし後述するように、「熱い人」は「幸せな人」が多い傾向にある)

    すると、1日の時間を有効に使うには、さまざまな帯域の活動予算を知って、バランスよくすべての活動予算を使うことが大切だと気づく。一日のうちに「同じ行動をドカッとまとめてやる」は不可能なのだ。

    物理学では、熱機関の効率の上限が「カルノー効率」という式で表されることがわかっている。そして、データから、人間の行動にもこの式が適応できることがわかった。
    例えば、原稿の執筆の場合、一分間の動きは50-70回の幅に収まるとしよう。そうすると、その効率の限界=カルノー効率は、1-50/70≒0.286となる。つまり、1日の活動時間のうち、原稿執筆に28.6%以上を割くことは決してできないのだ。

    ライフタペストリによって、時々刻々変化する「意識」「思い」「感情」「事情」などを考慮しなくても、科学的な予測や制御が可能になるのだ。


    3 幸せを測る
    幸せの50%は遺伝によって決まり、10%は環境要因(収入など)が決める。
    そして残りの40%は、日々の行動のちょっとした習慣や行動の選択の仕方によって決まる。

    論文によると、「行動が成功したか」ではなく、「行動を積極的に起こしたか」がハピネスを決める。となれば、新たな行動を自ら起こすようテクノロジーで支援できないだろうか?

    そこで活躍したのがウェアラブルセンサである。
    センサでの測定と社員へのアンケートにより、「幸福である」と答えた社員は、仕事の能率があがり、労働時間が短くなったことが計測できた。

    また、データにより、幸せを感じている社員は動きが増える(熱い人になる)ことがわかった。同時に、個人だけでなく会社全体としても、「熱い現場」が幸せを産むことが判明している。会話中の活発度が高い職場では「社員の生産性が高まる」ことが測定されたのだ。

    ある人の身体運動が、まわりの人の身体運動を誘導する。この連鎖により、集団的な体の動きが生まれ、社員たちのハピネスと生産性が向上する。


    4 人間行動の方程式
    ●1/Tの法則
    最後に物事を行ってから、再度それを行う確率は、時間が経過するにつれ反比例で減少していくこと。
    ・メールを受けてから返信するまでの時間が長くなるほど、返信する確率が下がる
    ・安静が2時間続いた時には、1時間続いた時と比べて活動に転じる確率が1/2になる

    簡単に言えば、続ければ続けるほど、やめられなくなるのだ。これをフロー現象という。
    ウェアラブルセンサのデータによると、フローになりやすい人は、やや早めの身体運動を継続する傾向が強い。
    これをハピネスの観点から捉えると、仕事や生活に楽しさや充実感を得ている人は、身体運動の継続性が高いということだ。


    5 到達度による職場づくり
    「運に出会う確率」はデータで表せることが研究で分かっている。それは「2ステップで到達できる人の多さ」、分かりやすく言えば「知り合いの知り合い」の多さである。これを「到達度」と呼ぶ。
    組織の中で「到達度」が高まれば、リーダーから各員につながるステップが短縮されるため、現場力が高まる。成員どうしのコミュニケーションを増やすために、リーダーが介入する必要がなくなるのだ。
    大切なのは、部下同士で三角形上にコミュニケーションの輪ができているかであり、これができていれば、現場で自立的に問題が解決される可能性が上昇するのだ。

    また、職場における会話の質にも着目してみると、会話が建設的なものとなるのは、参加者間の「双方向率」が高いときである。

    ウェアラブルセンサを使って、会話中に速い身体運動を行った側を「ピッチャー」、行わなかった側を「キャッチャー」とし、全時間のなかで「双方向」の割合を「双方向率」と定義した。

    実は、会話の双方向率が高まるのに重要なのは、真剣に両者が交わり合うことが必要な挑戦的な目標が設定されていることである。
    根本的には、双方向率の向上そのものは目的ではなく、仕事への「挑戦性」を映す鏡になっている。そのような挑戦の度合いが、企業の収益に強く相関するのだ。

    ウェアラブルセンサでの測定により、「運」という不確かな指標が確固たる指標として、人生と経営を抜本的に変える道を拓きつつあるのかもしれない。


    6 経済活動を科学的に解明できるか?
    ビッグデータによって店員の配置の変更を行った結果、売り上げの向上が起こった。
    しかし、この配置変更がもたらしたのは、売上向上だけではなかった。社員や顧客の活発度を高めることになったのだ。ビッグデータとAIを使って儲けを実現すると、見えないところで人との「共感」や「積極性」や「ハピネス」が得られることになるのだ。

  • ちょっと内容が難しかったけど、
    知的好奇心がくすぐられるようなスリリングな本だった。

    ビッグデータを用いて、幸福・フロー・運といったちょっと抽象的な概念を
    科学的に分析してみようと試みた本。
    学生時代(かなり昔…)、「ザ・ゴール」という本を読んで、
    ビジネスと物理学の交差点にいたく感動した記憶があるが、
    今回も同じような感覚を受けた。

    熱力学の概念と人間の行動とに類似性を見つけていくのだが、
    細かい公式はチンプンカンプンでも本全体の内容は大まかに理解できるようになっていて。
    読んでいて驚きの連続である。

    個人的には著者の運の定義が「知識/情報/力を持っている人で出会うこと」というのがちょっと違和感を感じたが、
    まぁそれでもそこから導き出される示唆はとても興味深い。
    100年後、「昔の人たちは超非効率なヒエラルキーのある組織で働いていたんだってさー、ありえないよね~」
    なんて話が歴史の教科書に載っているかもしれない。

    何でもかんでも身体の動きと関係しているというFACTは、
    普通に考えると違和感を覚えざるを得ないが、データとして示されたら、
    ぐうの音も出ない。。
    実際に、ある店舗で有名なコンサルが提案した改革案は、
    売上UPにほとんど何の影響を及ぼさなかったのにたいして、
    日立のAIがビックデータを分析して出した答えは、
    全く論理的でないにもかかわらず、成果が上がった、らしい。
    人間の頭は、因果がないと納得考えられないのだが、
    これからの時代は因果を超越したところに新たな「解」が存在するのかもしれない。

    文庫本も出ているみたいなので、
    これから読む方は文庫本の方がベターかも。

    【メモ】
    ・幸せの50%は遺伝、残り50%の内、環境要因は10%だけで、40%はちょっとした行動を移せるかどうか

    ・仕事のパフォーマンスが高い人が幸せになるのではなく、幸せな人が仕事のパフォーマンスが高くなる

    ・やや早めの身体運動を行うことで、フロー状態になりやすくなる

    ・組織内に三角形の繋がりが増えると、組織のパフォーマンスが上がる

    ・ビッグデータを活用するためのポイント
    第一の原則 向上すべき業績(アウトカム)を明確にする
    第二の原則 向上すべき業績に関係するデータをヒトモノカネに広く収集する
    第三の原則 仮説に頼らず、コンピュータに業績向上策をデータから逆推定させる

    ・人間にしかできないこと:課題設定、データのない(未知の)領域での意思決定、責任をとること

  • ウェアラブルセンサーで、ビッグデータを統計すると、U分布になる。
    性別も年齢も異なる人が、同じU分布に従って、24時間行動している
    実社会のビッグデータに登場する統計分布は「右肩下がり」のU分布が圧倒的に多い

    「繰り返しの力」という我々が普段感覚として意識していない力が、社会を動かしている
    やりとりが繰り返されるとU分布が現れる
    「繰り返しの力」を背景にした「資源配分の偏り」こそが、幅広い人間行動や社会現象を説明する。これを理論化したのがU分布
    人は毎日、有限の腕の動きという資源を、繰り返し、時事刻々の行動に分配する存在
    統計力学の重要な原理が「やりとりの繰り返しが多くなると、ミクロな詳細状態を知らなくとも、マクロな現象の予測や制御ができる」

    1分間に60回以下の動きをともなう活動には、活動時間全体の半分程度の時間を使わないといけない、1分間に60〜120回の活動は、1/4程度の時間、120回〜180回は、1/8程度の時間、180〜240回は、1/16程度の時間
    人によって、1分あたりの平均的な動きの数は異なる、多いと「活動温度が高い」逆を「活動温度が低い」
    これを考慮して活動予算を使わないと、活動ができなくなる、あるいは、やりたくなくなる

    エントロピーは、自由さの尺度と捉えることが重要
    人間の活動についても効率の上限がある。カルノー効率と同じ式が成り立つ
    「ある活動を行う際に使われるもっとも活発な動きの値(〇〇回/分のように表される)と、もっとも穏やかな動きの値の比を1から引いたもの」
    たとえば、原稿の執筆の場合、1分間の動きは50〜70回の幅に収まるとする。その効率の限界=「カルノー効率」は、1-50/70≒0.286となるので、効率の限界は28.6%となる。1日の活動時間のうち、原稿執筆には28.6%以上を割くことは決して出来ないと予想される

    幸せは、およそ半分は遺伝的に決まっている
    環境要因が幸せに対する影響は全体の10%に過ぎない
    残りの40%は、日々の行動のちょっとした習慣や行動の選択の仕方による。特に、自分から積極的に行動を起こしたかどうかが重要。自ら意図を持って何かを行うことで、人は幸福感を得る
    行動を起こした結果、成功したかが重要なのではない、行動を起こすこと自体が、人の幸せ
    幸せは加速度センサーで測れる
    「幸せな人の身体はよく動く」
    1人あたり毎日1000万個を超える数値の系列が収集される
    この研究が進めば、人間行動データに潜む意味をすべて解読することも夢ではない
    価値が高いのは、幸せに関わるメッセージの解読

    「活発な現場」では「社員の生産性が高まる」
    まわりの人たちが活発だと自分も活発になりやすい
    物理学の「協力現象」と同じ
    身体運動の活発度とハピネスが相関することが重要で、ハピネスとは実は集団現象だということになる
    休憩時間や昼休みのための環境は特に重要
    会社の運動会の意味も今回のような科学的根拠があれば存続していたのかも
    社員の身体運動の連鎖による活発度上昇→社員のハピネス・社員満足の向上→高い生産性・高い収益性 という因果関係が成り立っている
    活気ある職場づくりが経営の重要項目になる
    ITが生産性を下げる効果も考慮すべき
    新しいITは、社員の積極行動を後押しするものにしなければならない
    昔はこれを活気と言った


    方程式の特徴は、多様で一見個別ばらばらに見える現象に、統一的で普遍的な法則が成り立つことを示す点
    方程式は、状態そのものではなく、状態を表す量の変化(勾配)に注目している
    「現在の状態から次の瞬間の状態が創られる」ジェネレータを表す言語が「微分」
    方程式に微分が使われるのは、科学的に世界を理解するのに必要だった
    人間行動の方程式を見つけるには、時事刻々の変化を作り出している法則を見つける必要がある
    人との面会で「ジェネレータ」を見いだせるか?最後に会ってからの時間(期間)が長くなると、ますます会いにくくなる(面会確率が下がる)ことが明らかになった「1/Tの法則」綺麗な反比例の法則に順
    仕事の場合は面会の確率が低くなると、仕事がなかなか進まなくなる
    メールを受け取ってから、返信するまでの時間も「1/Tの法則」に従う
    安静を続けるほど、活動に転じにくくなる、これも『1/Tの法則』が成り立つ
    この法則を言葉で表現すると「続ければ続けるほど、止められなくなる」
    実はこの法則は、U分布から統一的に導くことができる
    人間行動の方程式(P119)
    この方程式に隠されたもっとも重要なメッセージは「行為に集中することが、人間のもっとも自然な状態である」
    『フロー状態』と『1/Tの方程式』との間に関係はあった
    身体を制御することにより、心を制御する新たな道が拓ける

    運をビジネスの上で詳しく定義し直すと、「確率的に、自分が必要とする知識や情報や力を持っている人に出会うこと」
    人と人が出会い、会話することは、運と出会う通路を開くもの
    センサで運との出会いの機会を定量化できる
    2ステップ以内の「到達度」が顔の広さとする
    到達度が高いと運が良くなる
    これは必ずしも職位が高いだけでは成り立たない
    リーダーの運はメンバー間の「三角形」のつながりが多いとよくなる
    「三角形」の数を結束度とすると、多いほどショートカットが豊かになるので運が良くなる
    数値化すると言葉の呪縛から自由になる、リーダー力と現場力、トップダウンとボトムアップ、政治主導と官僚主導、営利と非営利、ワークライフバランスなど

    運をつかむには会話の質も重要
    言語的な要素は、コミュニケーションの10%以下しか影響せず、残りの90%以上は、身体運動などの非言語的な要因による
    会話の品質は、会話の「双方向率」が指標となる
    双方向率が高まるのに重要なのほ、真剣に両者が交わりあうことが必要な挑戦的な目標が設定されていること

    情報処理は「演算と帰納」に分類される
    これまでは主に演算
    ビッグデータの活用に求められているのは帰納的な能力
    自ら学習するマシンが帰納的
    アナリティクス、データサイエンティストは、実は、親方と弟子の勘と経験によるまったく手作業の世界
    日立の人工知能H(hitachi online learning machine for elastic society)は入力された多様なデータを互いに掛け合わせて、業績に影響のある要因の候補を自動で大量に創り出す仕組み
    ミクロとマクロのギャップを埋める独自技術「跳躍学習」(leap learning)

    人工知能には3つの分類がある
    ・運転判断型
    ・質問応答型
    ・パターン識別型
    人工知能Hや将棋や囲碁のソフトウェアを運転判断型
    原理的な特徴は、現実世界をミクロな要素の「あつまり(=集団)」として理解するところ
    ルートヴィッツ・ボルツマンがとったアプローチを発展させたもの
    多くの人の「人工知能」のイメージにもっとも近いのが質問応答型、Googleのウェブ検索や、IBMのワトソン
    音声認識ソフトや顔認識などはパターン識別型

    「ビッグデータで儲けるための3原則」
    1.向上すべき業績(アウトカム)を明確にする
    2.向上すべき業績に関係するデータをヒトモノカネに広く収集する
    3.仮説に頼らず、コンピュータに業績向上策をデータから逆推定させる
    もっとも重要な第3の原則は、短くいうと「コンピュータに仮説を作らせる」
    財務的な業績に結びつかないものは、最終的な価値にならない、というのが第1の原則
    第2の原則はもっとも難しい、情報システムのデータはモノとカネでヒトのデータが不足、ヒトのデータを取得する方法は、例えば「ヒューマンビッグデータクラウド」とか

    人間と仕事は機械と共進化していく
    ドラッカーがナレッジワーカーという言葉を創った
    ナレッジワーカーとは、看護師や販売員や自動車の整備工など
    ナレッジワーカーにおいて重要なのは、仕事の目的やゴールを設定すること
    学習するマシンがこれを補完する
    機械やコンピュータが人間に合わせる
    仕事が無くなる?そんなことはない。人間にしかできないところが3つある
    1.学習するマシンは、問題を設定することはできない
    2.学習するマシンは、目的が定量化可能で、これに関わるデータがすでに大量にある問題にしか適用できない
    3.学習するマシンは、結果に責任をとらない
    機械への移行が進むのは、代表は、ソフトウェアの処理手順(アルゴリズム)を考える仕事

    アダム・スミスがいいたかったのは、経済性と人間性とは、相反するものではなく、互いに関係しあうことだった。このスミスの考えが、いよいよ大量データと知的なコンピュータの出現により可能になった

    ワールドカフェは効果がある
    直島宣言

  • 読んで衝撃を受ける、とてつもない名著だと思う。データがなぜ人を幸せに出来るようになるのかを、技術の進歩、時代の流れ、具体事例を盛り込み、説明してくれている。腹落ち感がすごく、ワクワクすると同時に進歩に自分がついていけていないのではと焦る。

  • 日立の人工知能「Hくん」の開発者が、ビッグデータ解析技術を用いた人間科学、社会科学上の成果を実例を使って分かりやすく解説した書。

    第1章では、人間の活動が自然法則、熱力学の法則に従っている事が示されている。当たり前のようでもあるが、我々の行動が統計的に見て物理法則に厳密に従っているとしたら、我々の意志や感情っていったい何なのだろう。単なる揺らぎに過ぎないのだろうか。

    第2章では、人は(行動の結果が成功したかではなく)積極的に行動を起こすことで幸福感を感じ、しかも身体運動の活発度と強い相関がある事、身体運動の連鎖が集団全体にハピネスをもたらし、モチベーションが高まることがが示されている。ということは、体を活発に動かしながらコミュニケーションをとること、このようなコミュニケーションがとりやすいような職場環境を調えることが生産性向上に繋がる、ということだ。すぐにも実践したくなる、目から鱗の何とシンプルな法則。

    第3章では、「1/Tの法則」=「最後にある人に会ってからの時間をTとすると、再開の確率は1/Tに比例して減少していく」法則が示されている。これは、「去るものは日々にうとし」、あるいは、「続ければ続けるほど、止められなくなる」を表しているのだという。

    第4章では、運を、人との繋がりの量(知り合いの知り合いまでで何人に到達できるか=到達度)と定義して、到達度を高めることが、組織の問題解決速度を向上させることが示されている。これは常識的な結論だが、センシングデータの分析により、企業合併の際などに誰と誰を繋げるのが効果的か、といった具体的な処方箋を示せるところが凄い。

    第5章でやっと、人工知能の話になる。人工知能に出来ること出来ないこと、人工知能の役割と人間のやるべきこと、が、明快に示されていて納得。人工知能は、問題を設定することができず、目的が定量化可能でこれに関わるデータが大量にある問題にしか適用できず、結果に責任をとらない。人工知能が人を超えるというのは、少なくとも現時点では飛躍した夢物語であることがわかって少し安心。
    人工知能を使ったビッグデータ解析が、社会に共感とハピネスをもたらすという著者の展望は、明るい未来を予感させる。本当にそうなって欲しい。

    とても読みごたえのある、面白い本でした。

  • とても面白かった。日立製作所の研究所に在籍する筆者が、ウェアラブルセンサによる人間行動の膨大なデータを集積し、時間の使い方、幸福の感じ方、運といった人間行動の法則化を試みている。その試みが、冒険のようでもあり、感動すら覚える。ハピネスの半分は双生児の研究などにより遺伝で決まっている。お金や人間関係、健康といった環境要因からのハピネスは40%。残り10%は積極的に行動してるかどうか。そんな「ハピネスの方法」をビッグデータから裏付ける。ジョブズがノーベル賞教授とたまたま昼食会で隣り合わせたことが復帰の糸口なったことを例に、運=人との出会いの多さととらえる。名札型センサにより、企業内の人と人の出会いをデータ化。知っている人、その人が知っている人という2段階までの人の数を「到達度」とし、それを多くすることが運につながる、と結論づける。さらには、会話の中身も、双方向的であることをウェアラブルセンサによる動きから読み解き、共通目標のあるものが双方向のコミュニケーションをとることも、裏付ける。ビッグデータが、PCに演繹から帰納という革命を起こし、科学→応用→実装というリニアなモデルを変えていくことを、実例を通して語っている。

  • 人間の行動(腕の動き)が、実は一定の法則に従っているという。
    1日の中でエネルギーをうまく配分して活動しているらしい。もちろん日によってずれ(法則からの乖離)はある。
    しかし原則的にはある法則に従って人間は1日の行動(腕の動き)に使うエネルギー配分を決めている。
    確かに言われてみれば、生活の中で無性に力を抜きたい時間がある。身体を動かしたいと思うこともある。それが実は法則に従っていたのかという驚きがあった。
    1日の時間配分に対する考え方を改めるきっかけとなった。

    ビッグデータ活用についても筆者は述べる。
    従来型の「演繹的」なコンピューターの活用では、自明な結論しか得られないという。大量のデータを基にコンピューターが「帰納的」に法則、すなわち「方程式」を導き出すことが今後必要とされる。
    ホームセンターの売上向上の実例が取り上げられているが、目から鱗であった。人間にはとても見抜けない原因と結果の関係をコンピューターが解き明かしているように感じた。

  • とても興味深い内容で、新鮮なインプットであった。

  • 仮説検証では到達できない
    向上すべき業績を明確にする
    向上すべき業績に関係するデータをヒトモノカネに広く収集する。
    仮説に頼らず、コンピュータに業績向上策をデータから逆推定させる。

    時間の使い方は法則により制限される
    社員のハピネスを高めると会社は儲かる
    休憩中の会話が活発だと生産性は向上する
    身体運動は伝染する。ハピネスも伝染する
    行動は続ける程止められなくなる
    最適経験フローを測る
    運は人との出会いによってもたらさせる
    運の良い人は組織のどこにいるか
    運をつかむには会話の質も重要
    会話とは「動き」のキャッチボールである
    ビックデータでもうける原則
    人間のやるべきこと、やるべきでないこと
    >問題を設定する。未知の領域で意思決定。責任をとる。
    繰り返しの力
    腕の動きの総数は決まっている
    行動を起こすこと自体が人の幸せ
    今日あったよかったこと

    データーをいかに生かして、会社を楽しく稼げる場にするか。身体を継続的にやや速く動かせるような状況を創ること。行動すること自体がハピネス。会話は動きのキャッチボール。

    行動にうつせる状況、状態をつくる。制約をできるだけなくす。予算的にも、気持ち的にも。

  • ウェアラブルセンサを利用したビッグデータによる分析。
    最も興味深かったのは「運の引き寄せ」をビッグデータにより科学した章。
    以前学んだ組織論と同じ事を言ってたと解釈できたがアプローチがより科学的。とても面白かった。

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著者プロフィール

矢野 和男(やの・かずお)
株式会社日立製作所フェロー。株式会社ハピネスプラネット代表取締役CEO。1959年山形県酒田市生まれ。1984年早稲田大学物理修士卒。日立製作所入社。91年から92年まで、アリゾナ州立大にてナノデバイスに関する共同研究に従事。1993年単一電子メモリの室温動作に世界で初めて成功し、ナノデバイスの室温動作に道を拓く。2004年から先行してウエアラブル技術とビッグデータ解析を研究。論文被引用件数は4500件、特許出願350件を超える。「ハーバードビジネスレビュー」誌に、開発したウエアラブルセンサが「歴史に残るウエアラブルデバイス」として紹介される。開発した多目的AI「H」は、物流、金融、流通、鉄道などの幅広い分野に適用され、産業分野へのAI活用を牽引した。のべ1000万日を超えるデータを使った企業業績向上の研究と心理学や人工知能からナノテクまでの専門性の広さと深さで知られる。2014年に上梓した著書『データの見えざる手:ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』(草思社)が、BookVinegar社の2014年ビジネス書ベスト10に選ばれる。

「2021年 『予測不能の時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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