データの見えざる手: ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則

著者 :
  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794220684

感想・レビュー・書評

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  • 良い意味でこの本は、私の中の「時間管理神話」を崩してくれました。
    その神話とは、一日は自分の意思と思い、
    そして能力でコントロールできるということです。
    しかし、これは著者の行った実験で完全否定されました。

    自分達は、自由意志で自分をコントロールすることは、できず、
    「法則」に従うということです。
    その法則とはU分布に代表される人間行動の「ある規則性」です。
    詳しくは本書を読むことをおススメします。

    あまりに、衝撃的な結果なので、
    最初は、自分の今までの人生を否定されたかのような気分になりました。
    この本は読めば、なぜ、自分で考えたTO―DOに、
    乖離が生じるのかよくわかります。

    それは、人間の活動量は、予め決まっていて、
    その活量量の配分も決まっているからです。
    その意味で、TO―DOリストの作成と実行は、
    害悪すらもたらすかもしれません。
    データー活用が叫ばれていますが、
    これは、今までの常識をひっくり返す魔力を秘めています。

    この本を読んで私はTO―DO並びに、自分の仕事の仕方、
    やりたいこと、キャリア作成、そして、人生における時間の在り方さえも、
    再考する機会に恵まれました。

    ①1日の時間配分を活量量の法則に従って再考する
    ②そして、以前より、何を、なぜ行うかを、より考えるようにする
    ③活動を限定する

    以前は、TO―DOの中で、その時の状況をみて、
    優先順位をつけてアクションを行うことが、
    最も合理的だと思っていました。

    しかし、うまくいきませんでした。やはり自分の能力が低いからなのかと、
    自己嫌悪に陥つていました。今は、それは能力が低いという、
    定量できないことを考えるのはナンセンスで、
    「自分を知らない」だけとわかりました。

    そして、時間配分と行動の選定とその理由と、
    そして明確化を行えば対処可能だと、
    わかりました。

    非常に衝撃を受けた本です。
    全てを信頼するのは、個人の判断ですが、
    定量分析を行っているだけに、その信用力は、
    普通のビジネス本の百倍に相当します。

  • 20180212読了
    人工知能・ビッグデータといった技術と人とのこれからの在り方について書かれた本。
    ウェアラブルセンサを用いて行動データを収集し、人間の幸福度や組織の活性度合いといった指標の向上について定量的に検証している。
    人間の行動と物理学のアナロジーについての考察は興味深かった。

    ・人間が出来て人工知能が出来ないこと
    ・人工知能を使って成果を出す3原則
    ・増幅化する人類 3.0
    ・データの見えざる手による経済活動の向上と人類の幸福の一致

  • ウェアラブルデバイスを身につけることで、人の思わぬ習性が分かると同時に、どうやると自分(および周りの人)を上手く動かすことが出来るのか、が書いてある本。Apple Watch等にこの本に書いてあるノウハウに即したアプリがあれば、ずいぶん自分の行動が変わるのになぁ、と思ったりした。ともあれ、2.3年以内に、自分を気持ちよく動かしてくれるウェアラブルデバイスが発売されるんだろうなぁ、と思う。これからの時代を生きるためには必読の本だなぁ、と思ったりした。

  • 人間の行動も自分の意思で動いていると思えても、マクロ的に見ると一定の法則に基づいて決まっていると言う仮説と検証が面白い。この前提に立って、色んなことを考え直してみるのも良いかもしれないと思わせる研究結果だと思いました。
    ミクロな情報の繰り返しにより、マクロが決定されていくという考え方などは、伊坂幸太郎の「オーデュボンの祈り」のかかしを思わせるし、マクロ視点で見るとある程度のミクロ単位の詳細は無視できるという話は、科学的アプローチだし、文系理系問わず興味深い本なんじゃないかなと思いました。

  • データの見えざる手、タイトルが絶妙です。

  • データによって明らかになった様々な知見について紹介する本。面白い。
    <メモ>
    ・繰り返しの力。資源配分の偏り。幅広い人間行動や社会現象はU分布に則る。

    ・ウェアラブルセンサの結果によると、人の動きは時間の間でやりとりしている。

    ・業績は職場の活性度に強く影響する。コールセンターの事例では、昼食を一緒に摂るようにし、活性度を上げることで成果を上昇させた。個人のスキル以上に業績に影響する効果がある。

    ・会話の時によく動く、活発どの高い現場では積極的な行動のスイッチが入りやすくなる。問題を率先して見つけ、創意工夫して解決する現場が形成される。

    ・社員の身体運動の連鎖による活発度上昇
    →社員のハピネス社員満足の向上
    →高い生産性・高い収益性

    ・到達度の高いリーダーは多くの部下と2ステップ以内につながっている。リーダーの運が良くなるとメンバーの運が良くなる。メンバー間に三角形が多くなると各メンバーの到達度が高まる。周りの持つ能力や情報を活用できる可能性が高まる。

    ・新たな行動を自ら起こすようにテクノロジーが支援するという発想。人が積極的に行動するように寄与できるのであればハピネスに40%寄与しうる。

  • ビッグテータの重要性が具体的にわかった。賢いひとは、優れた質問をし、仮説をたてる、が、それをAIが担うのか、と思うとわくわくする。
    たくさんの人のたくさんのデータを集めたら、たくさんの法則がわかったり、自分の行動を把握できたりできる、というのも楽しい。
    それを利用するかしないか、をきっと選べない状況に向かうのが悩ましいところではある。

  • 2冊おいてあります。

  • ちまたでよく耳にするビッグデータとは?という疑問から。

    ウェアラブルセンサーによって集約されたデータから、人の行動をデータとして読み解く。
    特に専門的知識がなくとも読める内容で、俄然興味が惹かれたのは職場環境の「活気」についての項。現代ではムダで悪しき習慣とされる家族的ともいえる団結が、生産性に結びついていたという。サンプルが少ないので一概には言えないだろうが、示唆に富み表面的な合理化を推し進めるのも考えものかもしれない。なんとなく、自身も身に覚えがあることだった。無根拠であっては精神論と思われることも、こうした裏付けがあればまた新しいものとして受け入れられるかもしれない。間違いなく今後必要になってくる分野であるので、他の書籍も読んでみたい。

  • 非常に優れた本である。
    現在は大量のデータをAIによって解析して演繹的に法則を見いだす時代が来ているが、人間の行動や社会に関するデータを取るのが難しかった。そのデータを取れるようにしたのが筆者の考案したウェアラブルセンサーである。これにより企業業績や人間の幸福等に飛躍的にコンピューターが役立てる時代が来る。
    人間の脳の処理能力には限界があり、コンピュータは大量のデータを処理するスピードははるかに上を行っているので、これからは大量の情報を分析する演劇的な事はコンピューターが行うようになる。これまでの科学は人間が限られた情報から仮説を作り検証するということであり、コンピュータはその検証に使われてきた。今後は仮説作りもコンピューターが1のようになるどういうこと。
    コンピュータのできないことは、問題(目的)の設定、定性的な目標の解こと、及び結果の責任をとること。

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著者プロフィール

矢野 和男(やの・かずお)
株式会社日立製作所フェロー。株式会社ハピネスプラネット代表取締役CEO。1959年山形県酒田市生まれ。1984年早稲田大学物理修士卒。日立製作所入社。91年から92年まで、アリゾナ州立大にてナノデバイスに関する共同研究に従事。1993年単一電子メモリの室温動作に世界で初めて成功し、ナノデバイスの室温動作に道を拓く。2004年から先行してウエアラブル技術とビッグデータ解析を研究。論文被引用件数は4500件、特許出願350件を超える。「ハーバードビジネスレビュー」誌に、開発したウエアラブルセンサが「歴史に残るウエアラブルデバイス」として紹介される。開発した多目的AI「H」は、物流、金融、流通、鉄道などの幅広い分野に適用され、産業分野へのAI活用を牽引した。のべ1000万日を超えるデータを使った企業業績向上の研究と心理学や人工知能からナノテクまでの専門性の広さと深さで知られる。2014年に上梓した著書『データの見えざる手:ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』(草思社)が、BookVinegar社の2014年ビジネス書ベスト10に選ばれる。

「2021年 『予測不能の時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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