昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか

著者 :
  • 草思社
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本棚登録 : 190
レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794221179

感想・レビュー・書評

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  • そういえば、なんで昔話ってたいてい「むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました」って定型文で始まるの?という、わりと誰でも一度は思いそうな疑問を突っ込んでくれている本。おじいさんってなんで「山へ芝刈り」に行ったりするの?とかね。
    平安後期とか江戸盛期とか、女性の持参金が多額になる時代なんかに特に、そもそも男女とも結婚できる比率がぐっと下がることとか(英国のヴィクトリア時代を思い出す)、姥捨てとか、老人の社会的地位とか、色々面白い話が載っていた。
    現代の日本のように子供より老人のほうがずっと多くなる時代には、どんな話が生まれたり、残っていくんだろうとふと思った。

  • 「むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんがいました」で始まるのがほとんどの昔話。なぜ昔話では、老人がこんなにも活躍するのか?
    昔話や古典文学を読み解くと、「老人」知られざる実態が見えてくる。

    年老いてなおあくせくと働き、時には厄介者として山に捨てられてしまう・・・決してお話の中だけではなかったようで。お年寄りは敬い大事にするものとした考えが割と新しいものだと知り愕然としました。さらに、老いは醜いと蔑まれバカにされていたとは・・・日本人は昔から若い女性(男性も)の方がもてはやされていたんですね。
    ただちょっと、私の思ってた内容とは違いました。もっとお伽噺をメインに考察するのかと思っていたのですが、源氏物語とかの方が多かったです。

  • なぜ昔話に老人が多いのか。著者は、社会的地位の低い老人が、知恵や体力の無さ、鈍感さといった老人ならではの特徴により成功を収めるギャップや逆転の面白さから来ていると分析。加え、語り手が老人である事が多かったからだとも。
    昔話は、語る方も聞く方も極貧の事が多く、夢物語りたいが故、老人が一発逆転する話が多いのだと納得した。老いた人は捨てられてきた社会、だからこそ庶民の夢が昔話には詰まっている。
    子ども達に昔話をたくさん聞かせよう!という風潮が学校図書館では盛んだが、本当の昔話は学校では語れないものが多いな。。
    本当は怖いグリム童話なんかより、日本の昔話の方が怖いな。。
    最終章で、イカす老人達を紹介してくれた所に救いがあった。
    面白く読めた。

  • 本のタイトルを読んで「そういえばなぜだろう」と思って
    手に取る本の割には、内容が多い。
    それでもP.196で要約されているように、要は(富をもたない)老人が今だけでなく昔も弱者であり、その弱者が活躍することが物語として面白いこと、そして人生を歩んで固まった老人の人格が善悪の二元対立を語りやすいことの2つが要因。加えて昔話の語り手自体が老人であることも挙げられる。

    江戸時代以前は結婚率が低かったので独居老人も多かった、など滔々と老人の立場の弱さを示す事例を挙げている。

  • 図書館で借りた本。
    むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんが・・・で始まることの多い、昔話。
    当たり前すぎて、考えたこともなかったけど、なぜお爺さん、お婆さんなのか?そして、その老人たちはだいたい働き者で貧しいのは、なぜ?と言うところをいろいろな角度から掘り下げて書かれている本。
    面白くて、すいすい読み進んでいき、同著者の「本当はひどかった昔の日本」を合わせて読みたくなりました。

著者プロフィール

1961年横浜市生まれ。古典エッセイスト。早稲田大学第一文学部日本史学専攻。個人全訳『源氏物語』全六巻、『源氏の男はみんなサイテー』『カラダで感じる源氏物語』『ブス論』『愛とまぐはひの古事記』『女嫌いの平家物語』(以上、ちくま文庫)、『快楽でよみとく古典文学』(小学館)、『ひかりナビで読む竹取物語』(文春文庫)、『本当はひどかった昔の日本』(新潮社)など著書多数。

「2016年 『文庫 昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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