- Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794221759
感想・レビュー・書評
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ジャレド•ダイアモンドの本であることは間違いないのだけど、別の人『レベッカ•ステフォフさん)の編著なので、既刊本の総集編的な部分が結構ある。が、面白く読めた。モト本の「人間はどこまでチンパンジーか?」が未読だったからだろう。
以下の箇所が一番印象に残った。
P223
言語が少なければ世界中の人びとが意思を交わしやすくなるので、消滅はむしろいいことなのではないのかとも考えられる。そうかもしれないが、ほかの面ではまったく望ましくはないのだ。言語はそれぞれ構造や語彙が異なっている。感情や因果関係や個人的な責任をどう表現するかという点でも異なる。人間の思考をどう形づくるのかという点でも言語によって異なる。だから、この言語こそ最善だというひとつの言語は存在しない。そのかわり、目的が異なればもっとそれにふさわしい言語が存在している。言語が死に絶えてしまうとは、かつてその言語を話していた人たちが抱いていた独自の世界観を知る手段さえ失ってしまうことになるのだ。 -
DNA解析の進展により、人類に最も近い生物種はチンパンジーであり、その差異はわずか1.6%であることがわかっている。進化の過程で何が起きたか、要因になったできごととは何か、ヒトの生物学的特質と知能化などの各論で、多面的な分析を駆使しつつ、生物としての優劣ではない視点を導入した展開は斬新。幅広い学問領域の融合と開拓が示唆されている。
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植物は、自家受粉種の方が栽培化に時間がかからず、野生種と交配しにくいため選別した純系を保ちやすい。
アメリカ南西部のプエブロと呼ばれる多層階の住居は、アナサジの人々によって900年頃に建設が始まった。当時はマツやネズの森に囲まれ、建設資材や薪として使われた。伐採が進むと荒涼とした環境に変わり、表土の浸食によって用水路が削られ、灌漑ができなくなったため、12世紀に放棄された。
ヨルダンのペトラは、交易の中心として数百年にわたって栄えたが、かつて森林の中にあり、ヤギも飼育されていた。
最初に北米に進出したクローヴィス人の矢じりは、1万1000年前頃に小さく精巧につくられたフォルサムの矢じりに変わった。この矢じりはバイソンの骨とともに見つかるが、マンモスと同時に発掘されたことはないことから、その頃には大型の哺乳類が絶滅したと考えられる。 -
興味深く読めた
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サル学.分子生物学.社会学.人種等の最新の知見を網羅している。専門書と言うには読みやすく、エッセイよりは深い内容だと思った。
後半はちょっとだれ気味だが、前半は実に面白い。 -
20年ほど前の著書を、新たな内容に改めて出版した本らしい。「銃・病原菌・社会」、「文明崩壊」、「昨日までの世界」をまとめ、人間とはなにかについて、生物学や人類学、考古学などの知見を織り交ぜて論を進めていく。
これまでの著書を読んでいると新たな発見はないのだが、も考える点は満載。
著者の博識と知性にあらためて感嘆した。 -
著者の『銃・病原菌・鉄』『人の性はなぜ奇妙に進化したのか』と被る部分があるが、もともと本書が『人間はどこまでチンパンジーか』として始めに書かれたもの。ヒトの進化から環境破壊まで展開される幅広い考察は、著者の作品が初めての人には目からウロコな内容。ヒトはチンパンジーなどと同様「我ら」と「彼ら」を線引きし、古来より「彼ら」に対して排外や大量虐殺を厭わなかったが、移動と通信技術が発達の結果世界が狭くなり、彼我の境界が曖昧になった今日、その傾向も衰微し、事態は良い方向に向かうだろうという趣旨には実感で、特に印象に残った。
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『人間はどこまでチンパンジーか?』の続きかと思っていたが、どうも底本は同じで編集しているものみたいだ。
そもそも『人間は~』を読んでいないので差分は分からないが、タイトルの通り大分平易。
高校生くらいに丁度いい気がする。
個人的には『銃・病原菌・鉄』の様な徹底的にガッツリ書いてある方が楽しめる。
しかし簡単だし分量も多くないので、数日で読み切るジャレド・ダイアモンド入門書として良さ気。
いや、入門書として、と言っても私もまだ他は『銃・病原菌・鉄』しか読んでないんだけどさ。 -
人間とは何か?ジャレドダイアモンドの名著「銃・病原菌・社会」や「昨日までの世界」に加え「文明崩壊」を、わかりやすく、簡単にダイジェスト版で編集した本。