文庫 少年の日の思い出 (草思社文庫)

  • 草思社
3.73
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本棚登録 : 120
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794221834

作品紹介・あらすじ

『車輪の下』と同時代の初期短編集。青春の心の動きを類い稀な描写で描いた独自の世界。表題作は蝶の標本を巡る話で昆虫好きの訳者がこれまでの誤訳を詳細に正す。

感想・レビュー・書評

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  • 学生時代、教科書の隅に「ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』」とある字面を目にしたことがあったので、ヘッセの名前だけは知っていました。それを近所の塾の恩師(哲学家で面白い)に鴎外さんが好きだと笑って語ると、この短編集とかどうだ?と渡された本のなかにこれがありました。一番最初です。あまりに現実味があるようなお話で、ドキドキしながら読みました。ヘッセの幼い日の実体験だったりして?なんて。読み始めて直ぐ、〝彼が見せてほしいと言ったので、私は収集のはいっている軽い厚紙の箱を取りにいった。最初の箱をあけて見て初めて、もうすっかり暗くなっているのに気づき、私はランプを取ってマッチをすった。すると、たちまち外の景色は闇に沈んでしまい、窓いっぱいに不透明な青い夜色に閉ざされてしまった。〟この部分の表現が好きだなおもいました。〝外の景色は闇に沈んでしまい〟というところ。〝窓いっぱいに不透明な青い~〟というところも好きです。内容としては、自分も似たようなことを客人と同じように幼稚園の頃行ったことがあるので、なんともいえない苦い気持ちになりました。あー、こういうテーマの短編集か。と、少し苦笑い。続きも読みますけどね。幼い日の〝一度起きたことは、もう償いの出来ないこと〟ということを思い返し、酷くへこみました。うまいですね、ヘッセの書き方がとても。主人公が「私」だと思って居たら、「ぼく」だったんだんですから。で、聞いてくれるかね、ではじまり終わった台詞で物語は終わる。切なく苦い後味を残して。上手いです。非常に。こういう書き方をしてみたいなと思いました。『車輪の下』も読んでみたいと思います。★5つで。

  • 「少年の日の思い出」と聞けば、微かにストーリーの断片を思い出す人が多いのではないか。
    細かいエピソードでなくとも、友人から大切なクジャクヤママユを盗んでしまうときの暗い高揚感。そして、二度と戻らない失態を犯してしまった絶望感。
    そんな、「ぼく」の感情の原型とも言える諸々に、共感し、忘れられない作品として自分の中にそっと保存しているように思う。

    この一冊を手にとったのは、そのときの思いが、表紙や、一枚捲ったそこにある鮮やかな蝶と蛾から起こされたからである。

    教科書に掲載されている「少年の日の思い出」と、翻訳が違うとエーミールの道化ぶりが増しているように感じる。

    『するとエーミールは、たけり狂ってぼくをどなりつけるかわりに、ヒューと歯笛を吹いて、ぼくをしばらくのあいだじっと見つめ、それからこう言った。「そう、そう、きみって、そういう人なの?」』

    ただ、クジャクヤママユを潰した犯人と対峙したときのエーミールの気持ちも、分からないではないな、と思う。

    他に「ラテン語学校生」「大旋風」「美しきかな青春」が収録されている。
    これらは「少年の日の思い出」に比べ大人になっていて、宝物は女性や自分のキャリアに移り変わろうとしている。
    しかし、どの作品もすごい、と思うのは語りの美しさ。会話がなくても、細部まで世界を表現できるのは、ヘッセ自身が歩んだ時間だからか。
    けれど、在りし日を、こんなにつぶさに構築できることに感動する。

    「その後まもなく、一人前の男になるために、人生を、この数日はじめてその影が私をかすめた人生を乗り切るために、私はこの町を去った。」

    青春時代から離れた今の暗さが、ところどころに見える表現も、好きだ。
    最後に好きな情景を引用。

    「一番上の煙突からは、コーヒーをわかすかすかな青い煙が、あたたかい空中に立ちのぼり、小さな町の上を流れていた。」

  • 以前ツイッターで『少年の日の思い出』が話題になっているのを見て、「そういえばちゃんと読んだことがなかったかもしれないな」と思い、短編集を手に取りました。
    国語の教科書にも載っているお話ですが、後味の悪さがとても好きでした。
    こちらの本には少年・青年時代の物語が収録されており、初々しい苦さと懐かしさを感じるお話ばかりです。
    我々とは違う文化を知ったり、ドイツの風景を想像しながら読んだりするのはとても新鮮でした。

  •  
    ── ヘッセ/岡田 朝雄・訳《少年の日の思い出 20160202 草思社文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4794221835
     
    …… 蝶の標本を巡る話で昆虫好きの訳者がこれまでの誤訳を詳細に正す。
     Oakada, Asao 独文学 19351119 東京 /東洋大学名誉教授/高橋 健二門下
    /1917 日本昆虫協会設立
     
    ── 《コレクター The Collector 19650617 America 19650814 Japan》
     
    (20200318)
     

  • スバラシイ
    まさに少年時代

  • ドキドキした。自分のあの頃と重ねたか思い出したか。

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著者プロフィール

ヘルマン・ヘッセ(Hermann Hesse)
1877〜1962年。ドイツ・バーデンヴュルテンベルク州生まれ。詩人、作家。1946年ノーベル文学賞受賞。代表作に『青春彷徨』(『郷愁』)『車輪の下』『デーミアン』『シッダールタ』『荒野の狼』『ガラス玉遊戯』などがある。

「2020年 『文庫 地獄は克服できる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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