- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794222688
作品紹介・あらすじ
「服装を変えることによって自分のパーソナリティのさまざまな可能性を実証できるとしたら、ジキルになったりハイドになったり、まったく愉しいではないか。服装によって人間は縛られているが、縛られること自体がオシャレの快感であると同時に、縛られ方のバラエティがおしゃれの楽しさでもある」(本文より)
日本におけるアイビーの先駆的存在である著者がメンズファッションの極意を説いた、伝説的バイブルの復刻版!時代を超えたスタンダード。
感想・レビュー・書評
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東京オリンピックの年に出版された約60年前の男向けのファッション指南書。
筆者が復刻版まえがきで、書いているとおり、内容は全然古びていない。
「再読して強く感じるのは、ディティールへのこだわりを除けば、一番基本的な状況判断という部分では、アレ?現代のファッション状況とちっとも違っていないじゃないか!」
男のファッションはベースの部分は、60年前と変わっていない。
そして筆者が当時ファッションの芯をよくとらえて書いていたということ。
だからこそ半世紀たっても復刻された(しかも文庫で)。
逆に、当時はそういう価値観だったのか(マンボズボンなど)という、現代と異なる部分も面白い。
筆者はイラストレーターだからこそ、デザインセンス的な切り口で話ができたりするのだと思う。機能美のくだりなど。
流行をおいかけるというよりも、服の持つうつくしさへの接し方のようなものを射ぬいて語っているというような。
また、文章が若々しく、べらんめい調で楽しい。
たとえば
「人に見せびらかすのはおしゃれではない。むしろこれ見よがしというのは、おしゃれの本道に反するものとして好ましくないわけである。人口過剰の日本で、とり立てて人に抜きんずる能力もなく、お脳の程度にもさして自信のないヤツが、とにかく人前で自己表現を試みるには、まあまあ着るものぐらいで目立たせる以外に方法はないのかも知れないが、やれ真っ赤なシャツだ、くるぶし上10センチもののツンツルテンのラッパズボンだ、次は何だかんだ、ということになると、まったくキリがない。」
など、
すがすがしいほどバッサリやってて、気持ちいい。
また、最後のしめくくり「おしゃれ哲学」がしびれる
「実際考えれば考えるほどおしゃれの問題には矛盾が多い。服を着る人間そのものが矛盾だらけなのだからこれも止むを得まい。そしてこの矛盾を十分に認識した時、その人はきっと最高の<おしゃれ>となりえるのであろう。
最高のおしゃれとは何か、すなわち無のおしゃれである。おしゃれにおけるニヒリズムといってもいい。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1964年に刊行された作品で、2017年に文庫化された。なんと53年前。しかし内容に古臭さは感じなかった。メンズファッションの教科書、辞典のような内容。
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50年前ぐらいに出版された本です。アイビーに興味があり手に取りました。古さはあるものの、変わらないファッションの洞察はそれだけ大事ということだと思います。著者が、ファッション関係者ではないことに驚きます。
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男性諸氏のファッションについてIvyの先駆者の穂積和夫さんが軽みのある文体で全般について解説してくれる。挿絵が多く、ファッションのテキストとして眺めるのに楽しい。
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ファッションというよりは、男性における、装いについての基本書のような内容。新社会人などにもおすすめ。