若い読者のための第三のチンパンジー (草思社文庫)

  • 草思社
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本棚登録 : 315
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794222800

作品紹介・あらすじ

ジャレド・ダイアモンド博士が一般向けに書いた最初の著作『人間はどこまでチンパンジーか?』(王立協会科学図書賞受賞作、新曜社)を、より多くの読者に読んでもらうべくダイジェスト。なぜ「人間」はほかの動物とここまで異なるのか? そもそも「人間」とは何か? という大テーマをさまざまな角度から考察。博士の思想のエッセンスがコンパクトに凝縮された一冊が文庫で登場!

感想・レビュー・書評

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  • ジャレド・ダイアモンドってそんなにいいのか?という疑問を解決すべく手に取った一冊。

    内容としてはラディカルな人間否定が中心となっているように見えた。「人類はXXをしてきた」「我々はXXという過ちを繰り返してきた」という原罪をたっぷりと盛り込んだ感じで、この辺りはちょっと面倒くさいというか、なんだか「生きててスミマセン」みたいな印象をもたらす。なんか他に書き方なかったのか?と思う。

    この自己否定感というか「全人類の自虐ネタ」の部分を除いてしまえば、内容としては進化生物学の本としてはダントツに読みやすく内容も濃い。

  • 著者の他の本と重なる部分はあるが、一冊で様々な側面をさらっと味わえてお得。人間を知る旅へと引き込まれる。高校生くらいの時にこんな本に出会いたかった。

  • ホモサピエンスが地球を征服するに至る要因についての考察

  • タイトルに惹かれてついジャケ買い。
    ハーレムを形成する種のオスは体がデカく、つがいになる種は雌雄の体格差がない。言われればそうなのに気付かなかった。確かにそうだ。チンパンジーと人間の遺伝子についての解説も。分かりやすく「へー」が続くので、暇な時間に何も考えずさらっと読むのに向く。

  • ジャレド・ダイアモンド博士版の「サピエンス全史」で氏の専門分野である生物学や文化人類学、歴史学などの観点で人間の歩んできた道を俯瞰できる。また、人間と動物、人間とチンパンジーの違いについて考えることで、人間の未来についても考えさせられる。人間とチンパンジーは遺伝子的には98.6%まで一致している。にも関わらず、動物実験でチンパンジーに薬物を投与することは禁止されない。捕鯨とどっちが酷いのか。仲間殺しや自ら生息する環境を破壊するのは人間だけでなく他の動物にも見られる。とすると、このDNAに書き込まれた天性を放棄あるいは抑制するのはむしろ困難で、人類の未来は暗いのか。この本が若い読者のためのとあるのは、本書に描かれている人間の本性を学ぶことで、未来を変えようとするきっかけになればという願いらしい。若い人だけでなく、みんなにおすすめです。

  • 「人間はどこまでチンパンジー(動物)か」という視点がとても面白い。よくある視点とは逆をとっていてそれがゆえに人間中心主義とは距離をおいた、リベラルで知的好奇心を満たす本になっている。そしてそのスタンスがゆえにこれから生きる若い世代への強いメッセージを含んでいる。

  • 罪もない市民を理不尽に傷つけるような凶悪犯罪者が、人権を盾にして刑を免れようとしている姿を見てやりどころのない怒りと虚しさを覚えてしまうのは、きっと僕だけではないと思います。
    そういう時に僕の頭をよぎるのは、いっそのこと、そんなことする鬼畜な犯罪者は人間じゃなくてチンパンジーなんだよ、ってことにしてしまえば、チンパンジーには人権なんか無いんだから極刑にでも市中引き回しでも、あるいは生体実験のサンプルとして利用するでも、なんでもできるんじゃないのか、という、ちょっと危ない思想だったりします。
    でも現実にはそんなことはもちろんできない。じゃあ一体、人間とチンパンジーの差って一体なんなんだろう、という疑問を持ったのが、僕がこの本を読むことにしたきっかけです。名著「銃・病原菌・鉄」の著者ジャレドさんならこの僕の疑問を簡単に解決してくれるだろうと。

    ところが、いくらジャレドさんと言えども、この疑問はそう簡単に解決できるものではないようで、本の中でも、この疑問に答えるために実に様々な視点で人間とチンパンジーとの違い、長い進化の過程でチンパンジーはいつチンパンジーから人間になったのかなどの研究と考察が語られていました。
    まず、遺伝子的に見ると、コモンチンパンジーやピグミーチンパンジーと人間の遺伝子は、98.4%が同じなのだそうです。このたった1.6%の違いが、人間に、チンパンジーを捕獲して檻に入れたり生体実験のために殺すことを許しているのか、と問われると、簡単にそうですとは言えない。
    じゃあ遺伝子構造以外で人間とチンパンジーの違いは何なのか。言葉を話す、繁殖期以外でも性行動をする、介護など他人の世話をする一方で他人を殺す、絵画や創作などの芸術を楽しむ、たばこや酒を飲んだりドラッグをやる(自傷行為をする)、ジェノサイド(大量殺戮)をやる、など。これらは、人間特有の行為なのか、そもそもなぜ人間はこういった行為をするのか、チンパンジーや他の動物はこういった行動を取らないのはなぜか、など、ジャレドさんお得意の「なぜ、を突き詰める」がこの本の中でも実践されています。

    この、人間とチンパンジー(あるいは人間以外の動物)の違いってなんだろう、その違いはなぜ生じたんだろう、という疑問が突き詰められていった結果、この本の最後の方では自分が人間であることが嫌になってきます。この地球に生きる生物の中で、自然を損ない、他種を絶滅危惧に追いやり生態系を破壊している唯一の生物が僕たち人間だけであるという絶望的な結論がこの本のクライマックスだからです(この本の後半1/3はほとんど人間が地球にもたらした害悪について述べられています)。

    凶悪犯罪者はもうチンパンジーってことにしていいんじゃね?、という良からぬ思想がきっかでこの本を読み始めた結果、凶悪犯罪者どころか自分も含めて人間みんなクソじゃん、という結論に至ってしまいました。そんな読了後のなんとも言えない後味の悪さを味わいたい方に、この本をおすすめしたいと思います。(←そんな人おらんやろ)。

  • 現在の人類が置かれている状況ー大量殺戮、環境破壊を目の前にして「何も学ばれることなく、忘れ去られていく」と感じるのが自然であるように思う。「過去を理解し、将来の手引きに」できる新たな人々の出現を是非見てみたい。

  • 配架場所 : 文庫
    請求記号 : BUN@469@D100@1
    Book ID : 80600065855

    http://keio-opac.lib.keio.ac.jp/F/?func=item-global&doc_library=KEI01&doc_number=002600545&CON_LNG=JPN&

  • なんか、タイトルを見て、勝手に、もっと哲学よりの本だと思ってたんだけど、めっちゃ思いっきり、人類学というか生物学というか的な内容だった(笑)。
    結構淡々と書いてあるから、しかも大発見があるというわけでもないから、その辺は、そんなに「面白い!」という物ではなく、じゃあなんでそんなにこの本が山積みだったのか??と思ったくらいだったが、どうやら、この著者、銃・鉄・病原菌、だかの著者だったらしい!何も知らずにタイトルだけで買ったんだけど(笑)、期せずして、興味のあった著者のを読んだことに(笑)。しかも、解説を読む限り、そのエッセンスは、十分本書にも入っている、と。大体展開は読めたゼ、らっきぃ。
    あと、こういう分野って、まだまだ未知のことも多いし、そもそも考古学的な世界の話になると、化石とかから仮説を立てて想像せざるを得ないから、結局、淡々と事実を書いているかのようにも読めるものの、このロジック自体が、この著者の独特な思想と知識によるもので、十分面白いものということなのだろうということも、解説等読むとすごく分かった。そこ理由だな。

    でも、もちろん、読んで面白かったことも結構あり。チンパンジーも200語以上の語彙を教えれば覚える(視覚情報を使用)のであって、知恵の差ではない、要は人間は、たまたま声帯が発達したからこれだけ言語が扱えるようになったんだ、とか、人間とチンパンジーの遺伝子の差は2パーセント未満、とか。地球外生命を探すとかいうけど、本気か??地球の歴史を考えれば、自分たちより発展した文明の人と出会った場合には確実に蹂躙されたり虐殺されたりすると思うが…信じられん。とか(笑)。確かに、って思った。進化の歴史を考えれば、同じタイミングで進化することなんて相当レアなのに、って。
    あとは、、何かまだあったはずだが…何だっけ。。あ、そうそう、農耕文明が何故ヨーロッパではすぐ広がったのに他の大陸では広がらなかったのか。これは、土地が東西に延び同じ気候だったから。ペトラが実は森林の中に王国があった(超衝撃だった)が、薪とかの取りすぎで滅亡したと思われ、侵略どうのではない、とか。他の文明も意外と同様とか。そんな感じで昔から人類は環境破壊と他種の絶滅を加速させてきたのであって、昔に戻るべきとか言う人もいるが、むしろ今の方が、いろんな不安要素もあるものの、一応は過去から学んだ行動を起こしているから希望があるのではないか、とか。人間以外の動物も虐殺的な、同種の殺しも行うらしいとか。
    個人的には、that's it !だけど、サクッと読める感じの本でこれだけ得られれば十分よね。

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著者プロフィール

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)地理学教授
1937年ボストン生まれ。ハーバード大学で生物学、ケンブリッジ大学で生理学を修めるが、やがてその研究領域は進化生物学、鳥類学、人類生態学へと発展していく。カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部生理学教授を経て、同校地理学教授。アメリカ科学アカデミー、アメリカ芸術科学アカデミー、アメリカ哲学協会会員。アメリカ国家科学賞、タイラー賞、コスモス賞、ピュリツァー賞、マッカーサー・フェロー、ブループラネット賞など受賞多数。

「2019年 『危機と人類(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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