微妙におかしな日本語: ことばの結びつきの正解・不正解

著者 :
  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794223234

作品紹介・あらすじ

『声に出して読みたい日本語』の齋藤孝さん推薦!

「満面の笑顔」「汚名挽回」「息を吞み込む」
「眉をしかめる」「足もとをすくわれる」「的を得る」……
これらは従来誤用とされてきたが、必ずしもそうとは言い切れないものもある。 

『日本国語大辞典』の元編集長で、辞書一筋37年のことばの達人が
ことばの結びつきの基本と意外な落とし穴を紹介。
聖徳太子の時代から現代まで、1400年のスパンで日本語の変化を見てきた著者だからこそ言える、
日本語の「正解・不正解」とは──

【項目例】
●暗雲が垂れ込める? 暗雲が立ち込める? 
●寸暇を惜しんで? 寸暇を惜しまず?
●三日に上げず? 三日と上げず?
●腑に落ちる? 腑に落ちない?
●油断も隙もない? 油断も隙もならない?
●暇にあかす? 暇にまかす?
●間が持てない? 間が持たない? 
●足をすくわれる? 足元をすくわれる?

どっちが正解? どっちも正解…!?

感想・レビュー・書評

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  • 「明るみに出る」の誤用「明るみになる」は「明らかになる」の混同から生まれた。「初心忘るべからず」の誤用「初心忘るるべからず」は、「忘る」の口語形「忘れる」に「忘るる」が似ていることから。「符節を合わせる」の誤用「符丁を合わせる」は、馴染みのない言葉をうろ覚えで使ったことから派生した物。一つひとつに誤りにはルーツがあり理由がる。解説はいずれも興味深く結構笑えたりもする。他方、根拠もなく誤用と決めつける風潮に一石を投じてもいる。許容の範囲は随分広く、激しい意外の感にかなり打ちのめされてしまった。

  •  ことばのつながりをある程度固定化した表現をコロケーションと呼ぶ。そのコロケーションの正誤。それを組み合わせで説明していく。何となく正しい方が分かるとしてもそれがなぜ正しいのか、深く考えると分からないものも多いが、昔からの慣用表現であることが多そう。それが日本語の変化の中で、正しいものが拡大していっていることが、各辞書の説明から理解できるものらしい。著者はこの他、青春文庫に収容されている過去の文豪の文章、国会議事録などを分析。豊富なデータの説明は説得力がある。コロケーションを誤用する作家たちが多く存在し、単なるミスなのか、むしろ積極的に別義を与えようとしたのか。コロケーションは常に変化し、増え続けていることがよく分かった。しかし、私自身としては正しいとされる許容範囲であっても、本来の言葉(コロケーション)を使うように心がけたいと思った。例えば次を参照。
    前者のみが正しい例:食指が動く/食指をそそる 念頭に置く/念頭に入れる、間が持てない/間が持たない 幕があく/幕がひらく …
    双方正しい例:油断も隙もない/油断も隙もならない 采配を振る/采配を振るう 暇にあかす/暇にまかす …
    昨年大流行した「忖度」は本来は単に推し量るという意味だったが、配慮する、気配りするという意味が突然入り込んできた!実に愉快な話だ。

  • 読み終えてしまったが、これは、自分が思い込んでいた言葉や、間違いであろうと思われる言葉が、文豪の小説で、書き表されていたりしていたことに気付かされた。

    何度も読み返しをしないと、いけない言葉がある。
    コロケーション辞典というものもあるのだと、参考文献で、知った。
    小学生から、英語教育も賛成だが、日本語をしっかりと、学んでほしいものだと、思った1冊である。

  • 生徒の作文を添削したり、日常の生活で日本語を見聞きしたりするなかで、違和感を覚える言い回しに触れることが少なくありません。
    とはいえ、自分が間違えて覚えてしまっている可能性もあるので、一概に批判するわけにもいかず、というところに、本書は役に立つように思います。

    解説は実際の用法や原典にも遡って説明されているので説得力もありますし、結論としてどのように語(言い回し)を使うべきか、ということもわかりやすく述べられています。ただ、限られた紙面ですから、誤用が多発するもののすべてを網羅することはできていませんし、本全体を通して「解説」と「説明」が展開されていますので、「読物」として楽しむことは少し難しいかもしれません。

    日本語そのものに興味がある人が情報を得て楽しんだり、調べ学習で活用したり、という使い方が中心になるかと思います。
    自宅に1冊、コロケーションの参考図書としてあっても悪くはないのかもしれません。

  • ●日本語って難しいなぁと改めて思った。そんな誤用があるのかというものもあったり、間違って覚えていたというものもあったり、勉強になった。

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著者プロフィール

【神永 曉】(かみなが さとる)

辞書編集者。元小学館辞典編集部編集長。1956年、千葉県生まれ。80年、小学館の関連会社尚学図書に入社。93年、小学館に移籍。尚学図書に入社以来、37年間ほぼ辞書編集一筋の編集者人生を送る。担当した辞典は『日本国語大辞典 第二版』『現代国語例解辞典』『使い方のわかる類語例解辞典』『標準語引き日本方言辞典』『例解学習国語辞典』『日本語便利辞典』『美しい日本語の辞典』など多数。2017年2月に小学館を定年で退社後も『日本国語大辞典 第三版』に向けての編纂事業に参画している。著書に『悩ましい国語辞典』『さらに悩ましい国語辞典』『美しい日本語101』(いずれも時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞典編集、三十七年』(いずれも草思社)などがある。

「2022年 『やっぱり悩ましい国語辞典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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