崩壊学: 人類が直面している脅威の実態

  • 草思社
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感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794224125

作品紹介・あらすじ

欠けているのは全体的な視点だ。崩壊とはどのようなもので、何が引き金となり、
結果として「現世代」にどのような心理的、社会的、政治的な影響を与えるか……
私たちはその学問を勝手に「コラプソロジー=崩壊学」と名づけ、本書では
その基盤となるものを、世界中に四散した研究から集めて紹介することにする。
目的は、これから起きることと、それは何なのかを明らかにすること、
つまり、これらの出来事に意味を与えることである。(本書より)

昨年の世界的な異常気象で注目を浴び、フランスでベストセラーとなった警世の書。
自然環境、エネルギー、社会システム、農業、金融……など多くの分野で、
現行の枠組が持続不可能になっている現状を多角的なデータとともに提示する驚嘆のレポート!

感想・レビュー・書評

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  • いまの我々の産業文明は、人口過多と、エネルギーの過剰消費、環境破壊などにより、遠くない未来(おそらく今世紀中)に崩壊する。
    しかし、崩壊がとのように始まるのか誰にもわからない。すでに始まっているのかもしれない。

    だが、どうも終末論的に一気に人類が消滅するわけではなさそうだ。だからこそ、崩壊を受容し、それを機に新たな未来を切り開いていく準備をしておこう

    …ということを言いたいのかな?

    米タイムズ紙の「今年の人」に選ばれたグレタさんを見習って、少しでも意識や行動を変えていかないとな。

    それにしても「人新世」という言葉、なんか好きくない。

  • 20200312
    危機の事実を整理した以外、世の中に建設的な物事を何ら提示していない、と言う点において、最近触れたFactfulnessや30年後モノの他書籍群に比べ率直、面白くない。

    崩壊とは、「人口の大半に法的な枠組みで供給される生活必需品(水、食糧、住居、衣服、エネルギーなど)が、最終的に供給されなくなるプロセス」のことだと定義している。ふむ、なるほど。

    エネルギー枯渇と金融リスク、人口増、気候サイクル、新型ウイルス。各要素の複雑な関連性による取り返しのつかないシステミックリスクに強めの言及をしている点は頷ける。事実、5年後の今日起きているパンデミックは、崩壊の一局面に過ぎない。

  • 呑気に本ばかり読んでた年末年始が、究極の贅沢だったと思えてくる本。
    脅威の実態は、「いまそこにある危機」とか「子や孫の問題」ではなく、「もはや避けられない我々世代の危機」で、後戻り不能の全面的な大惨事なのだから、"あとどのらい"など悠長な話で、いますぐ目をつぶって歯を食いしばれと言われるてるようなもの。

    この本のレビューに見られる"知見の羅列"という批判は、本当にその通りで、後半では何らかの希望となる指針が出されると期待すると裏切られる。
    著者は、予測不能なリスクや崩壊に対しては「まったくのお手上げ状態」だと認めている。
    そうなったらむしろ「成り行き」に任せ、「理性を直感にゆだねる」やり方に変えなければならないだろう。
    「崩壊学ではしたがって、直感 - 確かな知識にはぐくまれた - がきわめて重要になるだろう。その意味で本書におさめられた情報は、客観的であっても、大規模な崩壊を予告する正式な証拠の類いではなく、あくまでみなさんの知識を増やし、そうして直感を磨き、最後に信念をもって行動するためのものである」。不幸なのは不確実性で、増大する脅威は運命やリスクとしてではなく確信としてとらえること、崩壊が確実なら悲劇ではないはずだ。

    新しい学問分野として「壊滅的な変化」学が生まれたのは、気候や生物多様性などに見られる「境界」に着目したのがきっかけだ。
    生態系は自らの回復力で、外部からの妨害に対して、制止したりうまく調整したりできるが、ある一線を越えるとすべてのシステムが急激に変化する、目に見えない閾がある。
    転換点は、水一滴などささいなものでも起き、すべてが変わるのだ。
    それがどれほど突然で予測不能かは飼育小屋の七面鳥を想像すればいい。
    小屋はつねに暖かく、毎日欠かさず餌も与えられ、将来について心配もせず快適に暮らせる - クリスマスの前の日までは。

    こうした破局や崩壊の話に対して、人はどのように反応するかというのを、リストとして分類している。
    1)"崩壊、万歳"と叫ぶ「それ見たことか的反応」、
    2)他人を犠牲にして利用するタイプである「それがどうした?的反応」、
    3)"一人で生きて行きます"のサバイバリスト的反応、
    4)いま非暴力的デモをやってる"一緒に乗り切ろう"をモットーとするトランジション運動のメンバー、である。
    あとこのテーマは、概して男女の溝を広げやすいという指摘も面白い。
    妻は崩壊を単なる会話のテーマと考え、あまり家族以外とは話題にしたがらないが、その一方で夫はシェルターを準備しはじめたりするのだから、離婚の原因にもなる。

  • ふむ

  • 日本経済新聞社

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    崩壊学 パブロ・セルヴィーニュ、ラファエル・スティーヴンス著 近づく破局描き警鐘鳴らす
    2019/10/5付日本経済新聞 朝刊

    気候変動、資源の枯渇、生物多様性の喪失などがこのまま進めば人間活動に必要なエネルギーは手に入らなくなる。経済は行き詰まって飢饉(ききん)や紛争が多発、「取り返しのつかない破壊的な結果」に至ってすべてが崩壊せざるを得ないという。この現実にしっかり向き合おうというのが「崩壊学」だ。







    理屈だけでなくデータをもとに議論を展開する。気温、経済指標、人口などの推移を見れば指数関数的な変化を経て、後戻りのきかない段階を越えつつあることがわかる。それでも社会・経済のシステムを変えられない理由の一つが、過去に投資、建設したものをすべて放棄することはできない「ロック・イン現象」だと説く。「これまでの年月を無にすることはできないから」と、愛情を抱かないパートナーと一緒にいるのに近いという比喩はわかりやすい。


    崩壊後の文明にも言及するが、再活性化は難しいとあくまで悲観的だ。だからといって絶望してはいけない。破局への道筋をこれでもかと描くのは、崩壊しないよう「トランジション」へ向けてすぐに行動せよと人々の背中を押すためでもある。イノベーションさえあれば何でも解決できるかのような安易な考え方がまん延するなかで、「世の中そう甘くはない」とくぎを刺す意味もあろう。鳥取絹子訳。(草思社・2000円)

    UNQTE
    QTE

    BIノルウェービジネススクール名誉教授 ヨルゲン・ランダース氏

    2019/12/26付1990文字[有料会員限定]
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    気候の変化やその影響をさまざまな計算モデルで予測した結果を見ると、今まさに気候は「後戻りできない段階」に達しつつあるかもしれない。修復しようとしても何百年もかかることを意味する。たとえば南洋のサンゴ礁は、2年続けて海水温が高くなるだけで打撃を受け、元通りになるのに600年を要する。同じようなことがいろいろな場面で起きる。


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    特に北極圏のツンドラ地帯の気温上昇は温暖化を加速する。永久凍土が溶け、とじ込められていたメタンが大気中に出るからだ。メタンは二酸化炭素(CO2)よりも大きな温室効果をもつので気温はさらに上がり、より多くのメタンが出る。すでに北極海沿岸からロシアの永久凍土地帯の南限までの距離は、産業革命前に比べて約5分の1縮んだ。

    今年、温暖化ガスがゼロになったと仮定して計算しても今世紀いっぱい気温が上昇し続け、永久凍土は溶けてしまう。一方、もし1970年ごろにゼロにしていたら今が気温のピークで、100年かけて産業革命前の状態に戻っていく。その結果、永久凍土は残る。つまり、永久凍土に関しては「後戻りできない段階」をすでに50年前に迎えていたともいえる。

    CO2の回収・貯蔵(CCS)などを駆使する解決法はある。巨大なCCSシステムを1万基の規模で建設するほか、燃料を全面的にバイオマスに切り替える。ただ、CO2や熱は海からも放出されるために非常にゆっくりしか除去できず、かなりの困難を伴う。産業革命前の濃度に下げるには150年もかかる。だからこそ、直ちに温暖化ガス排出を減らさねばならない。

    温暖化ガス削減行動の制約要因となるのは政治だ。収益性の高い化石燃料の利用をなかなかやめられない。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は政府に削減計画の作成を迫るが、コストが割高な対策は実効性に乏しい。厳しい規制や財源確保に必要な高い税金を誰も好まないからだ。

    こうしたなかで、中国の取り組みには期待できる。政府の力が強く、長期的な視野で、経済成長が多少鈍っても温暖化対策を遂行しようとする。温暖化が原因とみられる深刻な干ばつや洪水が起き、手を打たざるを得ない国内事情も背景にある。今後30年間に世界でもっとも対策が進むだろう。欧州連合(EU)も積極的だが、世界の排出に占める比率は小さいので影響力は限られる。

    温暖化ガスを減らすのに、新たなブレークスルーをもたらすイノベーションは必要ない。それよりも石炭と石油、ガスの使用をやめることだ。石炭火力は太陽光や風力、水力、バイオマス発電などに置き換えられる。コストは割高だが、石炭火力に課税するなどの方法で転換を促せばよい。

    石油は車の燃料向けが多いが、これは電気自動車(EV)に変えられる。ハイブリッド車(HV)はEVと呼ぶべきではなく、あくまで化石燃料車だ。船も電気で動かせる。ノルウェーでは、電動の大型フェリー70隻が建造中だ。飛行機も脱炭素化は可能だ。仮に燃料費が4倍に上がっても、飛行1時間あたりの航空料金に換算すると一人30ドル(約3200円)程度の値上げで済む。飛行機の使用をやめなくても解決策はある。

    必要なのは技術よりも社会的イノベーションだ。コスト増を伴うエネルギー源への転換などについて、過半の人たちの同意を得る方法を探さなくてはならない。議会下院で温暖化ガスの排出増につながる法案が通った場合、上院は拒否権を行使できるようにするといった仕組みだ。法律は、人々が利益を追求するだけでなく(気候変動を防ぎ生態系を維持するといった)倫理観をもつよう、導かなくてはならない。

    (談)

    Jorgen Randers 専門は気候戦略。母国ノルウェーの温暖化ガス削減計画や企業の持続可能性戦略の作成に関与。中国の温暖化対策にも協力する。ローマクラブ正会員。74歳
    限界点超える恐れ

    ランダース教授は72年に共著で「成長の限界」を出版し、限られた地球資源という制約の下で50年間に世界の経済や人口、環境などがどんな経路で変化しうるかを示した。12年には続編の「2052 今後40年のグローバル予測」を出し、破滅的な状態を避けるにはどうすべきか考察を試みている。なかでも重視するのが温暖化ガス削減だ。

    自然はよくできたもので、何かのはずみで気温が上昇すると、今度は逆に引き下げる作用が働き、元の状態に戻って均衡を保とうとする。しかし、ある限界を超えると極めて戻りにくくなる。温暖化はこの段階に達しつつあると、多くの専門家が警告する。

    20年には温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が本格運用されるが、ルールを詰める12月2~15日の国連交渉(COP25)は主要な点で合意できなかった。温暖化ガスの削減が遅れるほど、高コストで急激な変化を伴う対策が必要になる。すると各国は二の足を踏み、ますます対策が遅れる。こんな悪循環は避けなければならない。

    UNQTE

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