前-哲学的 初期論文集 (草思社文庫)

  • 草思社 (2024年6月5日発売)
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本 ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784794227294

作品紹介・あらすじ

なぜ人を殺してはいけないのか。
いかにして成熟した大人になるか――。

思想家・内田樹が駆け出しのフランス文学者時代に執筆した、
フランス文学・哲学関連の論文を集成。
偏愛するエマニュエル・レヴィナス(『フッサール現象学における直観の理論』)、
アルベール・カミュ(『異邦人』『シシュポスの神話』『カリギュラ』『ペスト』)、
モーリス・ブランショ(『文学はいかにして可能か』)を題材に、
緊張感溢れる文章で綴った七篇の論考。
著者の原点である倫理的なテーマに真摯に向き合う。

[目次]
まえがき

20世紀の倫理――ニーチェ、オルテガ、カミュ
(1倫理なき時代の倫理/2啓示はいつその効力を失ったのか?/3人間中心主義の流れ──ラブレー、モリエール、ラ・ロシュフーコー公爵/4道徳の歴史主義──ホッブズ、ロック/5道徳の系譜学へ/6大衆社会の道徳/7「超人」道徳/8大衆の反逆/9不条理の風土/10異邦人の倫理/11抵抗の理論と粛清の理論/12反抗の倫理/13ペスト患者あるいは紳士の礼節)

アルジェリアの影――アルベール・カミュと歴史
(1徹底的に属人的な思想/2『シシュポスの神話』/3サルトル=カミュ論争/4男か/男でないか/5絶対的なものと真理に対する情熱)

「意味しないもの」としての〈母〉――アルベール・カミュと性差

鏡像破壊――『カリギュラ』のラカン的読解

アルベール・カミュと演劇

声と光――レヴィナス『フッサール現象学における直観の理論』の読解

面従腹背のテロリズム――『文学はいかにして可能か』のもう一つの読解可能性
(1「謎」への誘い/2『コンバ』の思想的立場/3『コンバ』におけるブランショ/4占領時代のブランショ/5読解I/6読解II/7読解III/8読解IV/9結語)

解題
文庫版のためのあとがき

感想・レビュー・書評

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  • エマニュエル・レヴィナスによる鎮魂について - 内田樹の研究室(2011-01-12)
    http://blog.tatsuru.com/2011/01/12_1030.html

    死刑について - 内田樹の研究室(2018-07-08)
    http://blog.tatsuru.com/2018/07/08_0713.html

    前–哲学的 初期論文集 | 話題の本 | 草思社
    https://www.soshisha.com/book_wadai/books/2478.html

    前-哲学的 初期論文集 | 草思社
    https://www.soshisha.com/book_search/detail/1_2478.html

  •  本書は、内田先生が80年代から90年代にかけて書いた、フランス文学、哲学についての論文をまとめた一冊。正に「論文」の形式で書かれているので、最近の語り口調の文章とはかなり色合いを異にするが、読み応えは十分。

     以下、主な感想。 
    ・冒頭の「20世紀の倫理」
     道徳、倫理は超歴史的なものではなく、歴史的に形成されてきたものであり、ニーチェの「神は死んだ」により、啓示・神の戒律がその効力を完全に失ってしまったこと、そうした中、大衆社会において倫理はいかにして成り立つものであるかを、ニーチェ、オルテガ、カミュを通して考えたもの。丁寧に論旨がまとめられていて分かりやすい。

    ・「鏡像破壊」
     カミュの『カリギュラ』では鏡が大きな役割を果たしているが、その意味をラカンの鏡像段階で読み解こうとするもの。ラカンの鏡像段階論の解説もされているのだが、ラカンが良く分からないので、本論文の論旨も十分には理解できなかった。

    ・「面従腹背のテロリズム」
     モーリス・ブランショの『文学はいかにして可能か』を、ドイツ占領軍当局の検閲下における暗号で書かれた政治的テクストとの仮説の下、その暗号を解読しようとするもの。当時の政治的、文学的党派、分派などの状況が分からないので、全く歯が立たなかった。

  • 20世紀の倫理――ニーチェ、オルテガ、カミュ
    (1倫理なき時代の倫理/2啓示はいつその効力を失ったのか?/3人間中心主義の流れ──ラブレー、モリエール、ラ・ロシュフーコー公爵/4道徳の歴史主義──ホッブズ、ロック/5道徳の系譜学へ/6大衆社会の道徳/7「超人」道徳/8大衆の反逆/9不条理の風土/10異邦人の倫理/11抵抗の理論と粛清の理論/12反抗の倫理/13ペスト患者あるいは紳士の礼節)

    アルジェリアの影――アルベール・カミュと歴史
    (1徹底的に属人的な思想/2『シシュポスの神話』/3サルトル=カミュ論争/4男か/男でないか/5絶対的なものと真理に対する情熱)

    「意味しないもの」としての〈母〉――アルベール・カミュと性差

    鏡像破壊――『カリギュラ』のラカン的読解

    アルベール・カミュと演劇

    声と光――レヴィナス『フッサール現象学における直観の理論』の読解

    面従腹背のテロリズム――『文学はいかにして可能か』のもう一つの読解可能性
    (1「謎」への誘い/2『コンバ』の思想的立場/3『コンバ』におけるブランショ/4占領時代のブランショ/5読解I/6読解II/7読解III/8読解IV/9結語)

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著者プロフィール

うちだ・たつる:1950年東京生まれ。武道家(合気道7段)、思想家、神戸女学院大学名誉教授。東京大学文学部仏文科卒。2011年11月、合気道の道場兼私塾「凱風館」を開設。『寝ながら学べる構造主義』『日本辺境論』『下流志向』をはじめ多くのベストセラーをもつ。 近著に『勇気論』(光文社)、『小田嶋隆と対話する』(イースト・プレス)、『だからあれほど言ったのに』(マガジンハウス)、『凱風館日乗』(河出書房新社)があるほか、『困難な結婚』『もういちど村上春樹にご用心』(アルテスパブリッシング)、『街場の米中論』(東洋経済新報社)など著書・共著多数。

「2024年 『図書館には人がいないほうがいい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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