劇場としての書店

著者 :
  • 新評論
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794805690

感想・レビュー・書評

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  • 2002年7月15日、初、並、カバヤケ、帯付き
    2012年12月7日伊勢BF。

  • 本屋は劇場である。という面白い発想から展開される書店員のバイブル的な感じがする本。

  • ジュンク堂書店池袋店副店長様のご著書でございます。本屋さんがただ本を売るだけでは持たなくなってきている昨今、それでも本を売り続ける大型書店の筆頭ジュンク堂書店さまが考える書店論でございます。


    「接客」とは「説得」なり

    以上の帯文が秀逸でございました。さらに続きまして「いらっしゃいませ、お客様。当店では「本」を売っておりますが「媚」はうっておりません」とあります。素晴らしい。多品種少量生産であるからこそ書店員には媚を売る様なサービスではなく商品知識を背景にしたコンサルティングが必要でございましょう。ですが、大型書店ではコンサルティング業務にうつつを抜かす時間は少ないのでございましょう。それでも如何にして品質を担保できるか。そのための心持が指南されているのでございます。
    とはいえ新古書店以外では本屋さんに勤めたことなどないワタクシでございますので現在進行形で本屋さんをなさっている方からしましたらワタクシの宣っていることなど片腹痛くお感じになられることかとは存じます。
    とはいえ、一人の本屋好きとしましては素晴らしい読書体験であったことだけはここにご報告させて頂けなければいけません。そう考慮しまして記す次第でございます。

  •  福嶋聡「劇場としての書店」(新評論 2002)は、読み手を鷲掴みにする迫力がある。著者の演出家から書店員への転身が、全編を貫く機動力になっていて、書店という空間が、舞台になぞらえられている様が面白い。さあ、まだ見ぬ本との出会いを求めて、書店に行ってみよう! 書店では、あなたが主役なのだ(もちろん、書店員も)

  • 題名の通り、書店を劇場として捉えて、書店のあるべき姿を論じている本。

    書店員がいかにして客と関わっていくべきかという思想が語られている。

    中でも、道具としての情報技術と使用者としての書店員という構図は当たり前ではあるが、この時代において意識すべき重要な考えである。

  • 今まで何冊かの本屋について書かれた本を読んできたけれど、この本ほど角度の違う書店論が展開された本はなかった。
    中には「すっと腹に落ちない」論もあったのだけど、「逆説」の項など、「うむむ…なるほど…」と唸ったりもした。
    色んな意味で、興味深く面白く読んだ。
    勉強になりました。

  • 2011年9月24日「閉店後の本屋さんナイトウォーカー」(http://www.1455634.jp/fsusvles.php?ini=20)の関連図書。教室となったジュンク堂書店の方の著書です。

  • これはいい!けど、やはりビジネスマンだからか、売ることを第一に考えているような気がする。
    一番大切なことは、『読者が心を揺り動かされる本を置き、読者の手に渡るような配置をすること』だろう。
    しかし、これが難しい。だけど、ベストセラーを置くことに比重を置かないジュンク堂ならきっとできるだろう。

    p148
    p210 L3
    p218

  • なるほど劇場での役者と観客の関係は、書店と読者(客)との関係そのものである。演劇は観客を前提にして行われるのと同様に、書店の棚づくりも購買客を前提としたものであるからだ。観客としての購買客なしに書店は生きられない。客の存在が書店のありように決定的に影響を与えているのは、書店では「客」が「主人公」となるからだ。この舞台との決定的な違いは、書店では客席と舞台を仕切る「壁」は存在せず、客が「舞台」に既に、そして常に上がり込んでいるという構造に由来している。

    僕たちが書店に行くのはなぜか。ネット書店を利用しながらも書店通いをやめないのはなぜか、それは僕たちが「誘惑される」ことを望んでいるからだという。たとえ一冊目は目的の本を買うとしても、二冊目以降は「出会い」をきっかけにした衝動的な買い物になるのが普通だから。書店はそんな出会いの場である。また、ネットでの本の購入は、あらかじめ決まったやり方でしか本の情報や購買にたどり着けない。(キーワードを打ち込み、リンクをたどるという行為も象徴的な気がする。)もちろんそれゆえの確実性が生み出す必然があるわけだが、その必然はある意味閉鎖性といえるわけだ。けれども、書店の現場を彷徨いながら果たした奇跡の出会いが、趣味のきっかけを作り出したり、新たなアイディアをインスパイアしたり、大げさに言えば人生を変える本になることだってある。そんな本というメディアのもつ性質を、筆者は「本というパッケージ商品が持つ逆説的な開放性」と呼んでいる。いわゆるネットの時代にあっても本との出会い(偶然)を求めて僕たちは今日も書店を覗くのだ。

  • 書店の現場で起きていることの多くが図書館でも起きていて、「店員は客に説明するのではない。説得するのだ」という話は感銘深かったです。
    「図書館員は利用者に答を差し出すのではない、共闘して答を探すのだ」とつぶやいてしまいました。

  • 書店(ジュンク堂書店)。02年7月。図書館型書店の代表格。

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著者プロフィール

福嶋聡(ふくしま・あきら)―書店員。1959年、兵庫県に生まれる。京都大学文学部哲学科を卒業後、1982年2月ジュンク堂書店に入社。仙台店店長、池袋本店副店長などを経て難波店に。2022年2月まで難波店店長をつとめる。学生時代は俳優・演出家として演劇活動に没頭した。著書に、『書店人のしごと』『書店人のこころ』(以上、三一書房)、『劇場としての書店』(新評論)、『紙の本は、滅びない』(ポプラ新書)、『書店と民主主義』(以上、人文書院)、共著に『フェイクと憎悪』(大月書店)、『パンデミック下の書店と教室』(新泉社)などがある。

「2024年 『明日、ぼくは店の棚からヘイト本を外せるだろうか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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