作品紹介・あらすじ
人権擁護、人道的干渉権、保護する責任、そしてテロとの戦い、予防戦争…戦争正当化イデオロギーは誰によってどのように生産されてきたか。これを乗り越える道筋はあるか。現代国際政治・経済システムの欺瞞の根源を捉え、「もう一つの世界」を共に作り出していくための怒りと希望の書。
感想・レビュー・書評
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ジャン・ブリクモン『人道的帝国主義 民主国家アメリカの偽善と反戦平和運動の実像』新評論、読了。戦争の歴史とはあらゆる美徳を動員する正当化の歴史といってよいが、その急先鋒を邁進するのが米国の人道的帝国主義。本書は欺瞞のイデオロギーと政治・経済システムの諸相を徹底的に告発する一冊。
現代社会を規定する植民地支配の歴史の継承者・肯定者として君臨する合衆国はやりたい放題だ。介入する理由など本来存在しない。著者は人権主義左派と自らを規定、国際政治の原点に立ち返ることで対抗する(国家主権の尊重と国際法の厳守)。
著者はオランダ・ルーヴァン大の理論物理学者。執筆動機は「怒り」であり「本書の目的は思想戦を行うこと」。随所に断言が見られるが、著者が指摘する米国中心の一元化社会の諸相は、現代世界を読み解く上で必須の一冊か。緒言はN.チョムスキー。
著者プロフィール
Jean BRICMONT 1952年生まれ。ベルギーの理論物理学者、ルーヴァン大学教授。『「知」の欺瞞』の共著者。ラッセル法廷(ベトナム戦犯国際法廷)メンバー。チョムスキーなどとともにさまざまな社会批判活動を行っている。
「2011年 『人道的帝国主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」
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