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- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794808929
作品紹介・あらすじ
骸骨姿の聖母を信仰し、そこに癒しや救済を求めるメキシコの人々の新しい精神生活と、そこから溢れ出るように生まれている多彩な図像表現を日本で初めて詳しく紹介。写真200点収録、カラー口絵8ページ。
感想・レビュー・書評
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メキシコにおける「骸骨の聖母」サンタ・ムエルテ信仰を包括的に論じた一冊。
サンタ・ムエルテ信仰とは、メキシコで近年活発化している、一種の聖人信仰です。ご本尊たるサンタ・ムエルテが、ローブをまとった骸骨聖母という何ともキャッチーな姿なのが特徴。新聞などでも取り上げられいるため名前を聞いたことがある方も多いでしょうが、日本語でのまとまった著述はほとんどありませんでした。その意味で本書の存在は貴重です。
サンタ・ムエルテ信仰のルーツ、祭壇の構成、儀式や祈祷の文言など一通りのところは扱っています。また、著者が中南米美術の専門家ということもあり、図像学的な解説が多いのも読みどころですね。特に、サンタ・ムエルテ像に用いられた各色の意味するところの解説は興味深いです(赤は愛情問題を解決し、黒はサンタ・ムエルテの超越性を示しあらゆる負のエネルギーを阻止するなど)。
入信儀式の体験レポートや祈祷の詳細な手順など、他ではあまり見られない記述も多いですね。手にとって損はないかと。
なお、図版は充実してます。特にサンタ・ムエルテ像の写真が多いのが嬉しい。中でも本書119ページ、「眼窩に白い花を差した像」は素晴らしいですね。ドレスめいたレースの衣装をまとい、葉巻をくわえ、左の眼窩に白い花を差した骸骨聖母という絵面が素敵すぎます。必見。
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