「衣食足りて礼節を知る」は誤りか: 戦後のマナー・モラルから考える

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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794810427

作品紹介・あらすじ

日本は戦後、急速な経済発展を遂げて豊かになった。その一方で、人々の心は貧しくなり、道徳は低下していった――。今日、多くの人がこうした言い回しを定説のごとくとらえています。とくに近年は、「道徳の低下が顕著になっている」という指摘も少なくありません。実際、それを裏付けるかのような出来事は日々起きています。
 一方で、海外との比較において、日本の治安の良さや日本人のマナー・モラルの高さがメディアで取り上げられることがしばしばあります。なかでも、二〇一一年の東日本大震災に際しては、人々が冷静に秩序ある行動をとっていた様子が海外メディアで報じられ、世界中で賞賛の的となったことは記憶に新しいところです。
 今日、こうした相反するような言説が並存しています。いったい、日本人のマナー・モラルは高いのでしょうか、低いのでしょうか? もし低いのなら、それは戦後にもたらされたのでしょうか? また、諸外国におけるマナー・モラルの水準は、日本をさらに下回っているのでしょうか? あるいは、今日の日本人の道徳水準は、総体的に見れば十分高い水準にあるのでしょうか?
 本書では、こうした疑問を解くため、戦後日本が経済発展を遂げていくなかで、人々のマナー・モラルがどう変化していったのかを考察します。なかでも、日本人が「衣食足りて」の段階へと進んだ昭和三〇年代から四〇年代を中心に、日本社会の状況を分析します。そして、今日の日本人の道徳水準をいかに捉えるべきか、そのメンタリティーにも踏み込みながら、一つの視点を提示します。
 なお、本書はご高評をいただいた『「昔はよかった」と言うけれど』の続編にあたります。前書とあわせて読むことで、近代以降の日本人のマナー・モラルについて、より深く理解することができるでしょう。(おおくら・ゆきひろ)

感想・レビュー・書評

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  • 「戦後、豊かになるに従ってモラルは低下した」的な言説は正しいか? 戦前を取り扱った『「昔はよかった」と言うけれど」の続編として、戦後のマナー・モラルの変遷を追う。無論、著者の結論は「正しくない」である。「豊かになる」から「モラルが増す」のだ。人を押しのけて割り込むものだった電車、ゴミだらけ乱闘だらけの花見、道ばたは犬の糞だらけ、多発する暴力事件……昭和30年代・40年代のひどい実例が多数紹介されている。そんなひどいマナーが「いつから向上したのか」「その背景には何があるのか」というところにも触れられているのが、前著との違い。東京オリンピック前後を境にマナー向上の呼びかけが起こり、実際に豊かになって世間が広くなったからモラル・マナーが向上したとする。いま、中国人観光客のマナーに眉をひそめる向きもあるが、日本人だって昔は「ホテルの廊下をステテコ1枚で歩くな」とか言われたものだと。日本スゴイ論者には耳にいたい本だろう。

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著者プロフィール

1972年愛知県生まれ。新聞社、広告制作会社等を経て、現在はフリーランスのライター。著書に『「衣食足りて礼節を知る」は誤りか―戦後のマナー・モラルから考える』、『「昔はよかった」と言うけれど―戦前のマナー・モラルから考える』など。

「2019年 『100年前から見た21世紀の日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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