手のひらの小さな愛: 大雪山の森から誕生した伝説のオブジェ

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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794811219

作品紹介・あらすじ

「このまま忘れ去られてしまう人ではない。いつか必ず再評価される日が来ると思っていました」――太田久幸についてこう語るのは、北海道上川郡東川町でギャラリー「コタン・クル・カムイ」を経営しつつ、自ら木工作家【クラフトマン】として活躍する藤田祥【きざし】である。このときの出会いがきっかけで、私たちも太田の作品に魅了され、本書で彼の仕事の奥深さを広く世に問うことになった。
 本書の主人公・太田久幸(1940~2002)は、東川町に住み、抜群のデザイン力で「木の仲間たち」を世に送り出したクラフトマンである。「旋盤の魔術師」と呼ばれ、天才的とも言える旋盤技術とデザインの融合によって、独自のファンタジー・オブジェで全国のクラフト業界を席巻した。この人物の現役時代を蘇らせるため、本書の筆者は現在旭川エリアで活躍しているクラフトマンたちにインタビューを敢行した。
 多くの証言から得られたエピソードの数々、そのどれもが驚きと感動を呼びおこさずにはいない。作品を観ただけでは分からない職人の世界、活字でどこまで表せるかはさておき、「未知なる世界」への入り口になることだけは請け合いだ。「そこまで考えていたのか」「そこまでやっていたのか」など、クラフト作品の制作現場の裏側を知ることで、消費者・鑑賞者の興味を必ずや高めることになるはずだ。
 本書では、太田が遺した数々の作品をカラー写真をまじえて紹介するが、言うまでもなくそれは実物を観たときの感動には及ばない。ぜひ東川町を実地に訪れ、藤田氏の「コタン・クル・カムイ」などで太田の作品をじかに観て、感動を味わっていただきたい。その際、インタビューに応じてくれた現役クラフトマンたちのギャラリーにも足を運び、太田の作品とはまたひと味違う感動を体験してもらえたら嬉しい。「写真の町」として有名な東川町だが、いまや「木工【クラフト】の町」と呼びたい気持ちだ。(編集部)

著者プロフィール

ノンフィクション作家。北海道生まれ。札幌在住。主な著書に、『永訣の朝』(河出書房新社)、『凍れるいのち』(柏艪舎)、『100年に一人の椅子職人』(新評論)ほか。『大きな手 大きな愛』(農文協)で、第56回産経児童出版文化賞JR賞(準大賞)受賞。

「2020年 『ラストアイヌ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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