- Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794924438
感想・レビュー・書評
-
イーノ&バーンのアルバムで知って手に取ったのは中学生の頃、それから毎年暑い時期に読み返す。完璧な紳士のくだりで、それこそ完璧に魅了されたのとを覚えている。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
鍛冶屋さん志望のナイジェリア人が、ハウスサーバントやってて、そんでお話を英語でやるといふ無茶をかました。
ヨルバ族のお話に出てくるおばけの皆さんがえらいこと出てくるらしい。
主人公が、「全ての父の父」と自分を称するのはナイジェリアの関係だと思ったら、作者クリスチャンか。えー。
なんか、「全ての英雄を一年間癒す木」へ止まった主人公が、既刊の後半の最後になって、オーナーである「白いお母さん」へ宿泊の延長をお願ひして却下されるのが面白かったです。 -
これはすごいものを読んだ。★6点くらいあげたい感じ。
ナイジェリアの作家が、現地の言葉を直した英語と、お役所英語で書いている小説。
あるところに地主の長男(8人兄弟)がいて、他の兄弟はみんな働いていたものの、長男だけば何も出来なかったので取り巻きとやし酒ばかり飲んでいた。専属の「やし酒作り」がいて、日に何百樽ものやし酒をこしらえては長男に持って行っていた。長男もみんな飲んだ。
ある日、地主が死んで、また2,3日してこのやし酒つくりが家にやって来ない。妙に思ってやしの林に見に行ってみると、木から落ちたかなんかで死んでる。で、埋葬した後に「おいおい、お前が死んじゃったら困るじゃあないか」と、死者の国にやし酒作りを呼び戻しに行く話、と、そうなっておるわけです。
ベースにあるのはナイジェリアの自然の容赦無さと、住む人に与える強烈な恐怖心だと思います。この恐怖心が地母神信仰を生み、引いてはシャーマニズムとなる。この恐怖心を、おそらく仏教が伝来する前の日本人も味わってたんじゃないかなぁと思うのです。
んで、この小説の凄さというのは、自然の過酷さに対する人々の明るさにあると思う。この辺の振れ幅の広さというか、懐の広さの違いがどこまでも感動的です。この状況かで、何でそんなにのんきでいられるのか、と。
途中、作品中に死と恐怖を「貸す」というシーンがある。いろいろあって恐怖は返してもらうんだけど、死は貸したっきりにしてしまう。だから、行く先ざきでいろいろな危ない目にあうのだけれども、「死」は持っていないのだからどうせ死ぬことはあるまい、と人々は開き直ってしまう。
おそらくは、この辺のプリミティブな感情は古来の日本人にもあったであろう。でも、どんなに自然が過酷でも「死ぬって大したことじゃないよ」って思うことというのは生活の知恵というか、文化だったんと違うかな。
我々の持ちうる「日本的なもの」より更に大きなスケールの日本的なもの、をどこかで感じ取ることが出来れば、この本、ものすごく面白いんじゃないだろうか。 -
アルジェリアの作家の作品。西アフリカの民話・神話を題材とした冒険小説で、その奇矯なイメージは、日本や欧米のものとまったく違ったもので、非常に新鮮。ただ、作者の英語が相当稚拙らしく、文章がたどたどしい。これで文体がおどろおどろしい雰囲気を盛り立ててくれるような優れたものだったら、最高だったのに。