廃墟の歌声 (晶文社ミステリ)

制作 : Gerald Kersh  西崎 憲 
  • 晶文社
3.56
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本棚登録 : 57
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794927392

作品紹介・あらすじ

『壜の中の手記』が好評を博した異色作家カーシュの傑作集第二弾。十六世紀のフランスに生まれ、四百年もの間、戦場から戦場へと渡り歩いてきた不死身の男、神の怒りによって滅んだ古代都市アンナンの廃墟に巣くう不気味な生物、ハンガリーの荒野にそびえ立つ「乞食の石」の秘密、魔法の魚のお告げとアーサー王の埋もれた宝、といった奇想天外な物語、不気味な寓話の数々に、稀代の天才詐欺師にして大泥棒(あるいは世界一の大ほら吹き)カームジンが披露する宝石泥棒や贋作詐欺の話など、思わず「そんなバカな!」と叫びたくなる途方もないお話ばかり、全13篇を収録。物語の力を信じる人々に捧げる最高の贈り物。

感想・レビュー・書評

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  • 2018.01.09 図書館

  •  カーシュの短篇集2冊目。相変わらずうまい。なかに詐欺師カームジンものが4作収められていてこれがまたどれもおもしろい。このシリーズは全17作あってまとまった本になっているのでぜひ読みたい。こういう気がきいて洒落た短篇集ってどこかにあったような気がするが誰だったろうか。冬の夜長に炉辺の安楽椅子でポートなんぞを舐めながら読むのに格好のものだ。

  • 作者はロンドン近郊の生まれのようだが、東欧やウェールズといったいわゆるヨーロッパの中心ではない地域や言語などが題材になったり表舞台から外れた登場人物が扱われるところに特有の雰囲気があり、大きな魅力となっていると思う。

  • 「壜の中の手記」以上にこっちの方が好きです。
    表題作のオチにいきなりショックをくらい、中盤の天才詐欺師にして大泥棒(あるいは世界一の大ほら吹き)カームジンのシリーズに笑いを得、どれもオチの気になる素敵な短編集でした。
    早く亡くなってしまったのが本当に惜しい。
    クックー伍長の薬が、本当にあれば良かったのに。

  • パン屋、レスラー、ナイトクラブの用心棒など異色の経歴をもつ作家、ジェラルド・カーシュの短篇集。推理小説家のエラリー・クイーンも認めた作家だとか。
    手軽で読みやすい短篇に飢えていたところ、図書館でたまたま手にとってみましたが、物語らしい物語をたっぷり堪能することができました。

    『廃墟の歌声』
    インディアンたちが『悪い土地』と恐れる荒れ果てた廃墟に、調査のため足を踏み入れた主人公。そこで一人、テントを張って床につくと、なにやら奇妙な歌声が聞こえてきます。その歌声の正体は・・・。

    『乞食の石』
    椅子になったり、寝床になったり、炊事場になったり、乞食たちに愛され、たまり場になってきた巨大な石。ある日、そこに制服を着た男たちがやってきます。その石には秘密があったのですが、乞食の発する最後の一句には強烈な皮肉が効いていて笑いが凍りついてしまいました。

    『一匙の偶然』
    この短編集で一番のお気に入りの作品。たまたま入った料理屋で今は亡き友人の営んでいたレストランのスプーンを見つけます。その店のウェイターと話しているうちに、主人公はその穏和な友人から店を追い出されるハメになった二人の客を思い出します。強烈な個性の持ち主でありながら、予期せぬ偶然に人生を左右される二人には、滑稽ながらも哀愁を感じました。

    また、本作に4編含まれる、史上最大の犯罪者、あるいは史上稀にみる大ぼら吹きのカームジンシリーズはどれも楽しい物語でした。カームジンの突拍子もない詐欺の手口にクスリとせずにはいられません。
    人によってはくだらない小咄と感じるかもしれませんが、ユーモアや機知に飢えている人にはうってつけの一冊。
    ちなみにバートランド・ラッセルやチャーチル、ヘンリー・ミラーなんかもカーシュのファンだそうです。

  •  英国の小説家カーシュ(1911-1968)による短編ミステリー集。謎の生物が棲むという廃墟を訪れた男の恐怖を描いた表題作「廃墟の歌声」や、カームジン・シリーズなど、計13編を収録。
     バラエティに富んだ佳作揃いで、はずれの無い短編集。いずれも、率直に言えば特別感動するほど面白いとは思わなかったが、読みやすい邦訳で楽しめる作品ばかり。表題作の不気味な読後感も良いが、カームジン・シリーズもとっつきやすくて良い。

  • ジェラルド・カーシュ氏著、『廃墟の歌声』を読みました。
    『豚の島の女王』で虜になってから、ずうっと読みたかったカーシュ!
    本当は、『冷凍の少女』か『廃墟の歌声』の前作『壜の中の手記』を読みたかったのですが、どちらも書店にはなく、図書館のも書庫で眠っているご様子だったので、何故か趣味の偏るローカルの図書館で見つけたこの『廃墟の歌声』を自分的記念カーシュ一冊目としました。
    感想を一言で表せば、

    −−−この文体、魅せられる…!−−−

    巧みな語りに呑み込まれ、時の流れも、目前の世界も忘れてしまいます。

    『廃墟の歌声』は全部で13篇の短編です。

    >>
      廃墟の歌声
      乞食の石
      無学のシモンの書簡
      一匙の偶然
      盤上の悪魔
      ミス・トリヴァーのおもてなし
      飲酒の弊害
      カームジンの銀行強盗
      カームジンの宝石泥棒
      カームジンとあの世を信じない男
      重ね着した名画
      魚のお告げ
      クックー伍長の身の上話
      ジェラルド・カーシュ 語り/騙りの天才 (あとがき)
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    個人的には、「一匙の偶然」と「飲酒の弊害」が面白かったです。
    「一匙の偶然」は、酒場で知り合ったいけ好かない男の数奇な身の上話とその結末。
    「飲酒の弊害」は、<交換苦痛>、双子や兄弟に現れる、例えば、一方が銃で死んだときに無事なもう一方が同じ苦痛を味わう、みたいな内容の飲酒ヴァージョン。
    “史上まれに見る大ほら吹きか史上最大の犯罪者”カームジンシリーズの中では「カームジンの宝石泥棒」がよかったかな。
    カームジンの単純なる完全犯罪が軽快で快いです。
    もうし遅れましたが、この短編集は、単体が9とカームジンのシリーズが4纏められています。
    カームジンは“史上まれに見る大ほら吹きか史上最大の犯罪者”カームジンの話を聞く“私”が語る、一種のミステリで、テレビドラマ化の話題もあったそうです。

    どこか滑稽で、でもどこかゾッとする物語たち。
    「お、いい表現」と思ってメモをしても、自分では操ることができないような文章たち。
    引き込まれたらお仕舞い。でも、読んでしまう。
    騙されたら負け。でも、騙されたい。

  • スーパースター"ジーザス"をえがいた二作品。1
    収録作"無学のシモンの書簡"(1947)

  • 2006/7/31購入

  • 収録作品は
    ・『廃墟の歌声』
    ・『乞食の石』
    ・『無学のシモンの書簡』
    ・『一匙の偶然』
    ・『盤上の悪魔』
    ・『ミス・トリヴァーのおもてなし』
    ・『飲酒の弊害』
    ・『カームジンの銀行泥棒』
    ・『カームジンの宝石泥棒』
    ・『カームジンとあの世を信じない男』
    ・『重ね着した名画』
    ・『魚のお告げ』
    ・『クックー伍長の身の上話』
    の13作品。

    ハリウッド映画とかで、
    「なあ、みんな聞いてくれよ、こんな話が……」てな感じで、
    アメリカンジョーク(下ネタ)を披露する場面があるけど、
    カーシュの作品はまさにそんな風に始まる。

    お気に入りは『無学のシモンの書簡』、『一匙の偶然』、『飲酒の弊害』、『クックー伍長の身の上話』、『カームジン』シリーズ。前回の『壜の中の手記』のような薄気味悪い話はむしろ少なくて、
    落語みたいな小咄が多かったような読後感。
    『カームジン』が多かっただけか?
    こっちの方が好みかも。

    また数年後には入手難、なんてことにならないように、
    今の内に買っておきましょう(笑)

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著者プロフィール

イギリスの小説家。パン屋、ナイトクラブの用心棒、新聞記者などの職を転々としながら文筆生活に入り、幅広いジヤンルにまたがる夥しい作品を発表した。独創的なアイディアと特異なスタイルはエラリイ・クイーンやハーラン・エリスンなど目利き達も熱烈な賛辞を寄せている。

「2006年 『壜の中の手記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジェラルド・カーシュの作品

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