- Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794960405
感想・レビュー・書評
-
(2005.01.31読了)(2002.12.04購入)
ピーター・フランクル。不思議な人だ。渋谷の路上で、棍棒やボールを使って大道芸をやっている姿を何度か見かけた。発音が少し変だけど、日本語が話せる。本業は数学だと言う。
日本の高校生も数学オリンピックに参加させるよう働きかけたのも、ピーター・フランクルだという。この本は、彼の自伝だ。
●ユダヤ人について
「チェコスロヴァキアの一般市民は、自分がチェコスロヴァキア人だなどとは全く思っていない。彼らはチェコ人かスロヴァキア人のどちらかなのだ。チェコスロヴァキアで自分をチェコスロヴァキア人と思っているのはユダヤ人だけなのである。」(今は、チェコとスロヴァキアに分かれてしまった。正真正銘、チェコ人とスロヴァキア人になった。)
「キリスト教徒がユダヤ人に抱く恨みの原因は、イエスがユダヤ人だった事実にある。マリアも、マリアの夫ヨゼフもユダヤ人なのだから、イエスもまたユダヤ民族の一員である。キリスト教徒は、自分のもっとも大切な人物がユダヤ人であるからこそ、ユダヤ人が許せなかったのだ。」
日曜日のミサで神父たちは「われわれのイエス・キリストを殺したのはユダヤ人であった」と語るのが常だった。この語句が神父の説教から取り除かれたのは、わずか25年前のことである。
●父の教え
戦争で両親を失った父は、もし本当に神様がいるならこんな残酷な行為を許すはずがないと、どんな神も信じず、子供たちも無神論者として育てた。「弱いものは宗教に頼る。強いものは自分に頼る」と言う父の教えを聞いて、僕も父のように強い人になりたいと思った。
●進歩
語学でも数学でもスポーツでも、人の習熟度は、始め急激に進歩して、それから止まってしまう。あるいは後退するかのように感じられる。しかし、伸び悩んだ長い時期を過ぎると、また急激に進歩する時期がやってくる。それを何度も繰り返して、物事は身についてゆく。全く進歩がかんじられないような時でも、いつかよくなることを信じて努力をつづけなければならない。
文庫版が出ています。
「世界青春放浪記―僕が11カ国語を話す理由」集英社文庫、2002/04
●ピーター・フランクルの本
「ピーター流らくらく学習術」ピーター・フランクル著、岩波ジュニア新書、1997.10.20
「数学の愛しかた」ピーター・フランクル著、NHK人間講座、2004.08.01
著者 ピーター・フランクル
1953年 ハンガリー生まれ
1971年 高校生対象の国際数学オリンピックで金メダル獲得
1979年 フランスに亡命
1982年 初来日
1987年 フランス国籍取得
数学者・大道芸人。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
#2828-123
-
いろんな国、いろんな人に出会う著者の体験談。エルデシュと同郷ハンガリー出身だから多少の縁はあると思ってはいたが、怒りを買う程のことになっているとは思わなかった。日本のことが好きになってくれたのも嬉しかった。組み合わせ論の研究者でもある。ユダヤ系の人は数学が得意なのかもと思ってしまった。