人間というこわれやすい種

制作 : Lewis Thomas  石館 康平  石館 宇夫 
  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794962720

感想・レビュー・書評

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  • 訳者あとがきにもあるが、題は「生命と共生」の方が相応しい。生命とはおそろしくややこしい依存により成り立っており、そのため脆弱なのは分かるがそれはミスリードだろう。書かれた当時の90年代の後半という空気が伝わる。
    生命進化において、ミトコンドリアは他の生物を取り込んだ云々は幾つかの書籍で語られてはいた。その根拠にはついぞ出会わなかったのだが、この本ではバクテリアの例で紹介している。ずっと引っかかっていたことだったので大きな発見だった。
    この本ははっきりいってテーマが時代遅れの感は否めない。HIVを使って売り上げアップを狙ったのがミエミエである。そのあたりは最近の書籍等でアップデートすべきだろう。
    逆に核兵器の影響はもっと掘り下げるべきである。戦争での使用はほぼないとしても、テロ、もしくは設備の劣化、担当者のスキル•ノウハウの低下を考えると、悲観的にならざるをえにい。3.11以降我々はその教訓を得ているのだから。
    古い本を読むということについて、考えさせられる一冊であった。

  •  医学生は必読。


      H・Aジョンソンによる「熱ノイズと生物学的情報」という論文がある。生命にとって必要な純然たる熱によって生ずる内在的なノイズが
    生きている細胞やその機能している部分が生命活動のために必要としている情報の質を、間断なく劣化される原因となっているというのがその内容である。この考えたかたによれば酵素がいちばんよく働く37度という最適温度は、情報システムの長期的保持にとっては熱すぎることになる。そして結局は、(特にこれが寿命だというつもりはないが)、たとえば75年の間に、熱による破壊作用がゆっくりろ活性化機能を上回るようになってくる。温室だったらもっと具合がよかったかもしれない。亀のように変温動物でもよかっただろう。いちばんよいのは絶対零度で不死の生を生きることだろう。
     しかし、話がそうなっている場合には、もちろん私たちは永遠に生きつづけるだろうが、当然のなりゆきとして私たちは37億年前に生まれた古細菌のままで、分子レベルでの間違いを犯すことができず、偶然に賭けることもできず、したがって、脳をもつというような事態にもたちいたらなかっただろう。ハーバード大学医学部を卒業してから50年、これが世界について身につけた最高の知恵だったかもしれない。(p20)

  • 環境問題に向き合うときによくみかける、自然とともに生きるというセンチメンタルに響きがちなスローガンを、バクテリアとともに生きるという考え方で生々しく、鮮やかに、かつエレガントに塗り替えてくれる一冊。
    37億年前に誕生した私たちの祖先へのまなざしが、エイズや薬物中毒といった病や経済格差や医療格差などの社会問題、自然環境の破壊という問題を照らし出す。原著の出版は1992年、知識は古びても、古びることのない自然への態度と絶妙の距離感。

  • 326夜

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