古民家再生ものがたり?これから百年暮らす

著者 :
  • 晶文社
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794966513

感想・レビュー・書評

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  • 昔使われていた農具などは、ほとんど昭和20年代頃に役割を終えて、現在使われているような農具に取って変わったという。プラスチックやビニールなど大量生産で作られた道具は、確かに丈夫で長持ちだろうが、画一的で味わいもなく、またいつまでも腐らず、償却にはまたその為のエネルギーが必要だったり、循環再利用できなくなっている。

    古民家は、もともとは家族が何代にも渡って使うことを前提に建てられていたものだという。現代社会の家族の在り方から考えても、現在の家はおよそその家族一代で使って終わり、として建てられているものも多いのだろう。

    著者はもともと建築家であり、古民家は解体廃棄して、新しく家を建てるのが当たり前と考えていたが、どこかで違和感を感じるようになり、やがて、古民家の良さに築き、その再生を多く手がけるようになった。古民家を目の前にすれば、再生して欲しいという古民家自体が訴えてくる声が聞こえてくるようだという。

    農具にしても民家にしても、時間と手間がかかることに対して、我々はあまりに一度に否定しすぎてきたのではないかと、最近は強く思う。速く、大量に、効率よく、といった物事ばかりを追い求めて、そこに何が得られるのか。他者との競争に勝つことだけがすべて是とされるはずはない。

    人間にとって、唯一絶対のものは、時間だけである、という考え方もあるようだ。それ以外の尺度は、それをどう捉えるかによって、人にとってよい面も悪い面も、その状況によってどうとでも考えることができる。つまり、ゆっくり、少なく、丹念に、という価値観も捨てたものではない。

    ついつい書評と言えない内容になってしまった。本書は著者が関わった古民家の再生事例の紹介であり、内容はむしろあっさりとして、決して声高に何かを訴えるような雰囲気ではない。が、それゆえ、かえって色々と考えさせられる気がする。

  • ほんの2、30年ほど前まで、古い民家は解体の対象でしかなかった。築百年以上の建物で再生の対象となるのはお寺や神社など、住居以外のものくらいだった。現在は住宅メーカーも、古民家の再生を手がける時代になった。著者の降幡氏は(この本を読むまで知らなかったが)古民家再生のパイオニアらしい。

    古い家の再生には、ただ建物を修理し今風の暮らしに馴染むようにするといった以上の、家族の思いや葛藤があり、それが読んでいて面白い。
    ただ後半の方になると、実際に住むのではなく再生して置いている例やコンサートホールとして使っている例も載っていて、やっぱり再生住宅は現在の住まい方としては様々な問題があるのかなとも感じる。

  • 我が家の母屋は古い町屋(だいぶ厚化粧されていますが)、妻の実家も日本建築の家屋。
    大事にしていきたい。

  • 1.病んだ民家の医者になる・・・草間家(松本市)と星野訓子さん
    2.民家再生が町づくりに・・・小手川家(小手川商店:大分県臼杵市)と小手川映子さん
      佐々木工務店、臼杵こども図書館
    3.蔵造りの家は西洋の香り・・・得能(とくのう)家(大分市)と得能信子さん
    4.建築家・清家清さんの導き・・・岩本家(東武日光線:春日部)と清家清・幸子夫妻
    5.嫁ぐ娘の一途な思い・・・奥野家(交野市私部:かたのしきさべ)と奥野博子さん
    6.お嫁さんの涙・・・中山家(岐阜県瑞浪市:みずなみし)と中山俊子さん
    7.十年後の民家・・・藤原家(大阪府和泉市:いずみし)と藤原しのぶさん
    8.「栗の家」ができるまで・・・小澤家(市川家:岩間駅)と小澤辰巳さん
    9.農家の主婦の行動力・・・山田家(長野県豊科町:とよしな)と山田やちさん
    10.地域に開く・・・橋本さん(吹田市)橋本邸:コンサートホール
    ・飯田さん(大阪市桃谷)「このむら」
    ・奥野さん(大阪府豊中市)多目的ホール「桜の庄兵衛」
    ・安波さん(別府温泉:富士屋旅館)

  • 今すでに古い民家に住んでいる人にはいいかも。

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